DV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)とは、配偶者に対して振るわれる暴力や虐待のことをいいます。
具体的には身体的な暴力に限らず、性的暴力、暴言やストーキング行為といった心理的虐待、生活費を与えないという経済的虐待なども含まれます。
配偶者から酷いDVを受けている場合は離婚原因となり得ますし、慰謝料を請求することも可能です。
しかし、実際には、暴力を振るわれることの恐怖や逃げることができないという心理状態から、冷静な判断をすることができないことが多々あります。また、稀にある優しい配偶者の姿が本当の姿だと思い込んで、離婚や別居になかなか踏み切れないという方もおられます。
また、離婚をするにしても、DV被害が大きくならないよう、離婚の手続を進める際には慎重な対応が要求されます。
そのため、DV被害を受けられている方は、まずは離婚問題に注力する弁護士に相談することが大切だと考えます。
以下ではDV被害を受けている場合の離婚方法を北九州・小倉の弁護士がご説明していきます。
このページの目次
1 DVは離婚原因となる
夫婦間であっても暴力や心理的虐待などが許されることはなく、耐え難い身体的・心理的虐待などが原因となって夫婦関係が破綻すれば、法定離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事情」に該当します。
そのため、離婚協議や離婚調停などの話し合いにより離婚することができなくとも、離婚訴訟を提起し、裁判所に認めてもらえれば離婚することができます。
ただ、裁判所に離婚が認められるには、DVの程度がひどいものであることを証明する必要があります。例えば、頻繁に殴る蹴る、髪の毛を引っ張られて引きずり回される、怪我を負わされているなどの事情があれば離婚できる可能性が高いといえますが、年に1回程度軽くたたかれる程度では離婚が認められる可能性は低いといえます。
2 DVで請求できる慰謝料の相場
DVで離婚する場合、相手方配偶者に対して慰謝料を請求することができ、ケースにもよりますが、慰謝料の金額は、50~200万円程度といわれています。
DVの頻度や程度、行われていた期間、怪我の内容などによって金額が大きく変わります。
3 DVで離婚する際の注意点
⑴ 配偶者から暴力を振るわれないようにする
DVを理由に離婚する場合、離婚を希望していることを告げると、相手方配偶者が激高し、暴力を振るわれる危険があります。そのため、安全な状況を確保して離婚の話を進めていくことが重要になります。
⑵ 別居したうえで離婚調停の申し立てを行う
配偶者と直接離婚の話し合いを行うことに危険を伴う場合には、別居をしたうえで、離婚調停の申し立て行うことをお勧めします。
離婚調停では男女2名の調停委員が間に入り、待合室も別部屋で、調停室にも交互に入るため、直接顔を合わせることはありません。また、現住居を明かすことなく手続きを行うこともできますので、危険性が低下します。
⑶ 住民票の取扱いにも注意が必要
DV被害に遭い別居したにもかかわらず、新たな住所に住民票を異動した結果、配偶者に調べられ新居まで来られてしまうことがあり得ます。このような危険がある場合には、役所で住民票の「閲覧制限」の手続きを行い、あなたの住所を知られないように対処しましょう。
また、離婚が成立するまでは新たな住所に住民票を異動させないという方法もあります。
4 DV防止法による保護命令について
DVには身体的暴力から心理的虐待まで配偶者への虐待行為を広く含みますが、最も深刻なのは生命・身体の安全を直接的に脅かす身体的暴力です。
配偶者から暴力を受けている方は、DV防止法による保護命令の発令を受けられる可能性があります。
保護命令は、裁判所がDVをしている相手方に対して、あなたに近寄らないように命ずる決定であり、あなたへの接近禁止命令に加えて、お子様への接近禁止、親族への接近禁止、電話等の禁止の命令を出してもらうことが可能です。裁判所の命令を受けた配偶者がこれに違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があり、DVに対する効果的な対処方法です。
DV被害者の方がお一人で離婚手続きを進めるのは、物理的にも精神的にも簡単なことではありません。当事務所は女性弁護士も所属しておりますので、DVでお悩みの方は、離婚・男女問題に注力する北九州・小倉の弁護士までご相談ください。