離婚を考えられている会社経営者の方から、養育費や婚姻費用はいくらぐらい支払えばいいのか、離婚するにあたってどれだけ財産分与をしなければならないのか、財産分与をするにあたって保有する株式はどうなるのかといった相談を受けることがあります。
そこで、今回は、このような不安を解消すべく、離婚するにあたって会社経営者の方が知っておくべき法律知識を北九州・小倉の弁護士が解説いたします。
このページの目次
１ 養育費・婚姻費用について
会社経営者の方は、役員報酬として極めて高額の収入を得ている方がいらっしゃいます。このような場合において、養育費や婚姻費用はどのように算定するべきなのでしょうか？
養育費や婚姻費用の算定ついては、家庭裁判所が公開している「養育費算定表」、「婚姻費用算定表」に夫婦それぞれの収入をあてはめて相場の金額帯を算定し、その範囲内で妥当な金額を定めることが一般的です。
しかし、この算定表には、支払義務者（支払う側）の年収が2000万円までの場合しか記載されておらず、2000万円を超える役員報酬を受け取られている会社経営者の方の場合には、そのまま利用することができません。
このような場合の算定方法としては、確定的なものがあるわけではなく、基礎となる収入の割合を修正したり、貯蓄率を修正するなど事案ごとに異なるのが一般的です。
そこで、高額の役員報酬を受け取られている会社経営者の方の養育費・婚姻費用の相当額は、それぞれのご夫婦の個別具体的事情により異なってくる可能性があるため、弁護士に相談することをおすすめします。
２ 財産分与について
会社経営者の方は、ご自身の経営手腕により高額の資産を保有している場合も多いです。このような場合の財産分与割合はどのように考えるのでしょうか？
財産分与の割合は、一方のみに収入があり、もう一方は専業主婦（夫）で収入がない場合や夫婦間の収入格差が大きい場合でも、夫婦それぞれ2分の1ずつというのが基本になります。これは、妻（夫）は家事労働により夫（妻）を支え共同で資産を形成していると考えられるからです。
したがって、会社経営者の方であっても、財産分与割合は、基本的には夫婦それぞれ2分の1ずつということになります。
しかし、ご自身の特殊な才能、能力によって高額の資産形成がなされた場合には、この2分の1ずつというルールが適用されず、個別具体的に夫婦の寄与度を算定し、財産形成に大きな役割を果たした方の寄与度が大きく評価されることもあります。
このように、会社経営者の方場合の財産分与の割合は、それぞれのご夫婦の個別具体的事情により異なってくる可能性があるため、弁護士に相談することをおすすめします。
３ 保有する株式について
自身が経営する会社の保有株式は、婚姻期間中に取得し、価値が増加したものであれば、原則として財産分与の対象となります。
保有株式が自由に譲渡をすることができる株式であれば、株式の金銭評価が容易です。そのため、その評価額を加味して分与を行うという処理をすることで、会社経営者である一方が株式を保有したままにするという処理も容易です。
しかし、自由に譲渡することができない譲渡制限株式の場合、株式の金銭評価が難しいだけでなく、仮に評価できたとしても、その評価額が適正かどうかも問題になります。そのため、上記同様に容易に処理することができないことが多く、非上場会社の経営者の方の場合、保有する株式の処理に関して大きな争点となることが多々あります。
このように、会社経営者の方が離婚する場合には、婚姻費用・養育費の算定方法や財産分与の割合や株式の処理など争点となりうる点が多くあります。そのため、会社経営者の方で離婚についてお悩みの方は、まずは、離婚問題に注力する北九州・小倉の弁護士にご相談ください。
