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【まず確認】ダブル不倫でお悩みの方へ
「配偶者と不倫相手、どちらも既婚者だった…」「慰謝料を請求したいが、相手の配偶者から自分も訴えられるのではないか…」
ダブル不倫という複雑な状況に置かれ、誰にも相談できず、強い怒りや不安で夜も眠れない日々をお過ごしかもしれません。
この記事では、ダブル不倫の慰謝料問題に直面している方のために、以下の点を法律の専門家である弁護士が分かりやすく解説します。
- 慰謝料を片方だけに請求できるのか、その場合のメリット・デメリット
- どのような場合に慰謝料が減額されてしまうのか
- 複雑な問題を解決し、次の一歩を踏み出すための具体的な道筋
ダブル不倫の問題は、通常の不倫以上に法律関係が複雑に絡み合い、当事者同士での解決は極めて困難です。感情的な対立が激化し、かえって事態を悪化させてしまうケースも少なくありません。
もしあなたが今、どうすべきか一人で悩み、途方に暮れているのであれば、まずは私たち専門家にご相談ください。平井・柏﨑法律事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料です。お手元にある証拠が法的に有効かどうかの見立ても含め、あなたの状況に合わせた最善の解決策を一緒に考えます。
ダブル不倫の慰謝料請求、その複雑な仕組みとは?
ダブル不倫の慰謝料問題を正しく理解するためには、まずその特殊な構造を知る必要があります。通常の不倫との違いは、登場人物とその間の権利・義務関係の複雑さにあります。
通常の不倫と何が違う?四者が絡む権利関係
通常の不倫では、登場人物は「あなた」「あなたの配偶者」「不倫相手」の3人です。慰謝料を請求する権利を持つのは、裏切られた「あなた」一人です。そして、支払い義務を負うのは、不法行為(民法709条)を共同で行った「あなたの配偶者」と「不倫相手」の2人となります。
一方、ダブル不倫では登場人物が4人になります。
- あなた
- あなたの配偶者(不倫をした側)
- 不倫相手
- 不倫相手の配偶者
この場合、慰謝料を請求する権利を持つのは、「あなた」と「不倫相手の配偶者」の2人になります。そして、支払い義務を負うのは、不倫をした当事者である「あなたの配偶者」と「不倫相手」の2人です。つまり、2つの慰謝料請求権が同時に発生しうる、これがダブル不倫の最大の特徴であり、問題が複雑化する根本的な原因です。
注意すべき「求償権」とは?
ダブル不倫問題をさらに複雑にするのが「求償権(きゅうしょうけん)」という権利です。
不倫の慰謝料は、共同の不法行為として、不倫をした当事者は不真正連帯債務の関係に立つとされ、被害者は各当事者に対して全額請求が可能です。ただし「真正の連帯債務」とは異なる性質があり、求償や時効の影響など法的扱いは事案ごとに異なります(民法第719条等参照)。例えば、あなたが不倫相手から慰謝料200万円を全額受け取ったとします。この場合、不倫相手が被害者に全額支払った場合、後に共同不法行為者である配偶者に対して求償(負担の按分を求める請求)をすることができます。ただし求償の具体的な割合や方法は事案の事情や改正民法・実務の解釈によって異なり、一律に「半分」とは限りません。これが求償権です。
つまり、不倫相手に全額請求して一旦は解決したように見えても、後から不倫相手があなたの配偶者にお金を請求し、結局あなたの家庭のお金が支払われるという事態になりかねません。この求償権の存在を無視して請求を進めると、思わぬトラブルに発展する可能性があるため、細心の注意が必要です。
慰謝料の金額については、不倫・不貞の慰謝料の相場の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ダブル不倫の慰謝料、片方だけに請求は可能?

「慰謝料は、配偶者ではなく不倫相手にだけ請求したい」これは、ご相談者様から非常によく寄せられるご質問です。ここでは、片方だけに請求することの可否と、そのメリット・デメリットを解説します。
結論:不倫相手か自分の配偶者、どちらか一方への請求はできる
結論から申し上げますと、法律上、不倫をした当事者の一方(例えば不倫相手)にのみ慰謝料の全額を請求することは可能です。不倫の当事者2人は「不真正連帯債務」という関係にあり、被害者であるあなたは、どちらか一方、あるいは両方に対して、自由に請求することができます。
しかし、「法律上可能であること」と「それが最善の選択であること」は必ずしもイコールではありません。次に解説するメリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
片方だけに請求するメリット
不倫相手にだけ慰謝料を請求する主なメリットは以下の通りです。
- 離婚しない場合に家庭への影響を避けられる:
もしあなたが配偶者と離婚せず、夫婦関係を再構築したいと考えている場合、家計を共にする配偶者に慰謝料を請求しても、結局は家庭内でお金が移動するだけで意味がありません。不倫相手にのみ責任を追及することで、直接的な経済的打撃を家庭外に求めることができます。 - 精神的な満足感:
「配偶者よりも、家庭を壊した不倫相手にこそ責任を取らせたい」というお気持ちは当然のものです。不倫相手にのみ請求を集中させることで、精神的な区切りをつけやすくなる場合があります。 - 手続きの簡素化:
請求相手を一人に絞ることで、交渉や手続きの窓口が一本化され、解決までのプロセスが比較的シンプルになる可能性があります。
片方だけに請求するデメリットと注意点
一方で、片方だけに請求する場合には、看過できないデメリットとリスクが存在します。特に以下の2点は重要です。
- 求償権を行使される可能性:
前述の通り、あなたが不倫相手から慰謝料全額を回収した場合、その不倫相手はあなたの配偶者に対して負担分を請求する「求償権」を行使する可能性があります。結果的に、あなたの家庭からお金が出ていくことになり、家庭内で新たなトラブルの火種となるリスクがあります。 - 不倫相手の配偶者から訴えられる可能性:
あなたが慰謝料請求のアクションを起こすことで、不倫の事実が相手方の家庭にも発覚します。そうなれば、今度は不倫相手の配偶者が、あなたの配偶者に対して慰謝料を請求してくる可能性が十分に考えられます。最悪の場合、お互いが慰謝料を請求し合う「泥沼」の紛争に発展しかねません。
このように、安易に片方だけに請求すると、かえって問題を複雑化させてしまう危険性があります。どの方法がご自身の状況にとって最も有利かは、専門家である弁護士と相談しながら慎重に戦略を立てることが不可欠です。
ダブル不倫で慰謝料が減額・免除されるケースとは?
慰謝料を請求された側にとっては、「少しでも支払う金額を減らしたい」と考えるのは当然のことです。ここでは、特にダブル不倫のケースで慰謝料が減額または免除される可能性がある代表的な事情について解説します。
弁護士の視点:北九州での実務経験から
私たち平井・柏﨑法律事務所は、福岡家庭裁判所小倉支部や福岡地方裁判所小倉支部での離婚・不貞慰謝料事件を数多く担当してまいりました。北九州市(小倉北区・小倉南区・八幡東区・八幡西区・戸畑区など)や行橋市やその近郊にお住まいの方々から日々ご相談をいただく中で感じるのは、特にLINEやSNSのやり取りが不貞の証拠となるケースが非常に多いということです。
しかし、その証拠が法的にどれほどの価値を持つのか、また、これから解説するような減額事由が存在しないかといった点は、専門家でなければ正確な判断が難しい部分です。慰謝料請求は、単に感情をぶつけるだけでなく、法的な根拠に基づいた冷静な主張と立証が求められます。請求する側も、請求される側も、まずは一度、客観的な状況を整理するために弁護士にご相談いただくことを強くお勧めします。
相手方夫婦の関係がすでに破綻していた場合
不倫(不貞行為)によって慰謝料が認められるのは、それが「平穏な婚姻共同生活を送る権利」を侵害する不法行為だからです。裏を返せば、不倫関係が始まる時点ですでに相手方夫婦の関係が修復不可能なほどに壊れていた(破綻していた)場合は、保護されるべき「平穏な婚姻生活」が存在しないため、慰謝料は大幅に減額されるか、場合によっては認められないこともあります。
具体的には、以下のような事情が考慮されます。
- 不倫関係が始まる前から長期間にわたって別居していた
- すでに離婚調停や離婚訴訟を申し立てていた
- 家庭内での会話や交流が全くなく、夫婦としての実態が失われていた
北九州の裁判実務においても、単に「夫婦仲が悪かった」というだけでは破綻とは認められにくく、客観的な事実(別居期間など)が重視される傾向にあります。
自分たちの夫婦関係も破綻していた場合
同様に、慰謝料を請求するあなた自身の夫婦関係が、不倫以前からすでに破綻していた場合も、慰謝料が減額される可能性があります。これも、すでに保護されるべき婚姻生活の実態がなかったと評価されるためです。
ダブル不倫のケースでは、双方の夫婦関係がともに破綻していた、いわば「ダブル破綻」の状態であることもあり得ます。このような状況では、お互いに慰謝料請求権が認められないか、認められても極めて低額になる可能性があります。
相手の配偶者からも慰謝料を支払っている場合
これはダブル不倫特有の減額事由です。例えば、あなたの配偶者が、不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受け、すでに100万円を支払ったとします。その後、あなたが不倫相手に慰謝料を請求した場合、裁判所は「すでに不倫の責任の一部は果たされている」と判断し、あなたが受け取れる慰謝料額から、あなたの配偶者が支払った金額を考慮して減額調整を行うことがあります。
これは、一つの不倫行為に対して二重に賠償を支払うことを避けるための調整です。請求された側にとっては、重要な反論材料となり得ます。
ダブル不倫の慰謝料に関するよくあるご質問(Q&A)
ここでは、ダブル不倫の慰謝料に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. ダブル不倫の慰謝料相場は通常の不倫と変わりますか?
A. 相場自体は大きく変わりませんが、最終的な負担額は減額されやすい傾向があります。
慰謝料額を算定する際の基本的な考え方(不倫の期間・頻度、婚姻期間、子の有無など)は、通常の不倫とダブル不倫で大きくは変わりません。そのため、裁判上の相場としては50万円~200万円程度が一つの目安となります。
ただし、ダブル不倫の場合は、相手方にも有責配偶者がいることや、求償権の問題、相手の配偶者からの請求リスクなど、複雑な事情が絡むため、交渉段階や裁判において、通常のケースよりも減額調整がなされやすい傾向にあると言えます。
Q2. 相手の配偶者から訴えられました。どうすればいいですか?
A. 無視せず、すぐに弁護士に相談してください。
裁判所から訴状が届いたにもかかわらず無視していると、相手の主張が全面的に認められた判決が出てしまい、強制的に財産を差し押さえられる可能性があります。絶対に無視してはいけません。
まずは冷静になり、すぐに弁護士に相談しましょう。弁護士は、請求内容が妥当か、証拠は十分か、こちらに有利な減額事由はないかなどを専門的な観点から検討し、あなたの代理人として適切な対応をとることができます。感情的に反論するのではなく、法的な根拠に基づいて対応することが重要です。北九州市やその近郊にお住まいの方は、当事務所の無料相談をご利用ください。
Q3. お互いが「お互い様」ということで、慰謝料請求なしにできますか?
A. 不倫をした当事者2人だけの合意では不十分です。
不倫をした当事者同士で「お互いの家庭には請求しないでおこう」と口約束をしても、法的な効力はほとんどありません。なぜなら、慰謝料を請求する権利は、不倫をされた配偶者(あなたと、相手の配偶者)にそれぞれあるからです。
あなたが請求しなくても、相手の配偶者があなたの配偶者に請求してくる可能性は残ります。後々のトラブルを防ぐためには、あなた、あなたの配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者の四者全員が合意の上で、示談書などの書面を作成する必要があります。安易な口約束は大変危険です。
北九州でダブル不倫の慰謝料問題は弁護士にご相談ください
ここまで解説してきたように、ダブル不倫の慰謝料問題は、権利関係が複雑に絡み合い、求償権や相手方配偶者からの請求など、多くのリスクを考慮しながら進める必要があります。専門的な知識がないまま当事者同士で交渉しようとすると、問題をさらにこじらせ、精神的にも経済的にも大きな負担を強いられることになりかねません。
感情的な対立を避け、有利な解決を目指すために
ダブル不倫は、当事者全員が強い感情的なショックを受けている状態です。そのため、冷静な話し合いは非常に難しく、些細なことで対立が激化しがちです。
弁護士があなたの代理人として交渉の窓口に立つことで、相手方と直接顔を合わせる精神的負担を軽減できます。また、法律の専門家として、民法709条(不法行為責任)などの法的根拠に基づき、感情論ではなく事実と証拠を元に交渉を進めることができます。求償権の問題なども含めて、将来的なリスクを回避できるような包括的な解決を目指すことが可能です。早期にご相談いただくことが、結果的にあなたの負担を軽くする最善の道筋です。
平井・柏﨑法律事務所の初回無料相談をご利用ください
平井・柏﨑法律事務所は、開設以来、離婚・男女問題に一貫して注力し、北九州市(小倉北区、小倉南区、八幡西区、八幡東区、戸畑区、門司区など)や行橋市といった近郊の皆様から、数多くのご相談をお受けしてまいりました。
当事務所では、離婚・男女問題については初回60分の法律相談を無料で実施しております。無料相談では、以下のような点について具体的なアドバイスが可能です。
- 今後の法的な見通し
- お手持ちの証拠が法的に有効かどうかの判断
- 慰謝料請求が認められる可能性や、おおよその金額の見立て
- ご状況に応じた最適な解決策のご提案
ご相談はプライバシーに最大限配慮した完全個室で行いますので、安心してご自身の状況をお話しいただけます。一人で抱え込まず、まずは専門家である私たちにご相談ください。あなたの心を少しでも軽くし、未来に向けて新たな一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
この記事は、平井・柏﨑法律事務所の弁護士 平井章悟(福岡県弁護士会所属)が監修しました。
最終更新日:2025年12月18日
免責事項:本記事の内容は、一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的アドバイスを保証するものではありません。具体的な問題については、必ず弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
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