不倫とモラハラの慰謝料請求|北九州の弁護士が解説

不倫とモラハラ、慰謝料は両方請求できる?

配偶者による不倫、そして日常的なモラルハラスメント(モラハラ)。この二つの裏切り行為が重なったとき、その精神的苦痛は計り知れません。多くの方が「この二重の苦しみに対して、きちんと慰謝料を請求できるのだろうか」と深く悩まれています。まず結論からお伝えしますと、不倫とモラハラは、それぞれが精神的苦痛を生じさせる不法行為として、慰謝料請求の対象となり得ます。

ただし、実務上は「不倫の慰謝料」と「モラハラの慰謝料」を単純に足し算するわけではありません。裁判所は、これらの行為が一体となって婚姻関係を破綻させたと考え、その悪質性や被害者が受けた精神的苦痛の大きさを総合的に評価して、慰謝料額を算定する傾向にあります。

原則:不倫とモラハラは別個の不法行為

法律上、なぜ両方の慰謝料を考えられるのか、その根拠をご説明します。不倫(不貞行為)とモラハラは、それぞれが民法709条に定められた「不法行為」に該当します。これは、故意または過失によって他人の権利や利益を違法に侵害する行為であり、それによって生じた損害を賠償する責任がある、という考え方です。つまり、不倫によって「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」が侵害されたことによる精神的苦痛と、モラハラによって人格を否定され続けたことによる精神的苦痛は、いずれも損害賠償請求の根拠となり得るのです。

参照:民法 | e-Gov 法令検索

慰謝料額の算定:単純な合算ではないが考慮される

前述の通り、慰謝料額は「不倫150万円+モラハラ100万円=250万円」といった単純な計算にはなりません。裁判所は、一連の行為全体を見て、婚姻生活の平和をどれだけ破壊したか、被害者の精神的苦痛がどれほど甚大であったかを総合的に判断します。しかし、「日常的なモラハラがあった上で、さらに不倫までされた」という事実は、加害者の行為の悪質性を際立たせ、精神的苦痛を著しく増大させる要因と見なされます。そのため、不倫単独のケースよりも、慰謝料が増額される重要な事情として考慮される可能性が高いのです。

不倫とモラハラが慰謝料増額につながる仕組みを図解したインフォグラフィック。それぞれが精神的苦痛となり、総合的に評価されることを示している。

慰謝料増額の鍵となる証拠の集め方【実践編】

慰謝料請求を有利に進めるためには、客観的な「証拠」が何よりも重要です。不倫とモラハラでは、証明すべき内容が異なるため、集めるべき証拠の種類も変わってきます。ここでは、私たちが北九州の皆様からご相談を受ける中で、特に重要となる証拠について実践的に解説します。

弁護士としての経験から
最近、特に北九州市内でご相談が多いのが、LINEやSNSのやり取りが発覚して不倫が疑われるケースです。例えば、「昨日は楽しかったね、また会いたいな」といったメッセージだけでは不貞行為の証拠としては弱いですが、これが性交渉をうかがわせる内容であったり、配偶者の勤務先の同僚との親密すぎるやり取りであったりすると、話は変わってきます。モラハラに関しても同様で、日常的な暴言が録音されていたり、お子様の前で罵倒する様子が日記に克明に記録されていたりすると、それは強力な証拠となり得ます。一つ一つの証拠は小さく見えても、それらが組み合わさることで、相手の悪質性を浮き彫りにすることができるのです。

不倫の証拠:客観的な「肉体関係」を示すもの

不倫(不貞行為)の慰謝料請求で最も重要なのは、「配偶者と第三者の間に肉体関係があったこと」を推認させる客観的な証拠です。単に仲が良さそう、というだけでは不十分です。

  • 探偵の調査報告書:ラブホテルへの出入りを撮影した写真や動画など、極めて強力な証拠です。
  • LINEやメールのやり取り:性交渉があったことを直接的・間接的に示す内容。「昨日のホテル、良かったね」といった具体的な文言は有効です。
  • 写真や動画:二人で裸で写っている写真など、肉体関係を強く推認させるもの。
  • クレジットカードの明細:ラブホテルや遠方の宿泊施設の利用履歴。
  • 相手が不倫を認めた音声データや念書

一方で、二人で食事をしているだけの写真や、「好きだよ」といったメッセージだけでは、肉体関係の証明としては弱いと判断される可能性があります。

モラハラの証拠:継続的な「精神的暴力」を示すもの

モラハラは目に見える傷が残らないため、立証が難しい側面があります。だからこそ、継続的に精神的暴力があったことを示す証拠を、粘り強く集めることが重要になります。

  • 暴言や侮辱的な発言の録音データ:ICレコーダーなどで録音した音声は非常に有力です。
  • メールやLINEの履歴:「誰のおかげで生活できているんだ」「お前は頭が悪い」といった人格を否定するメッセージ。
  • 詳細な日記やメモ:いつ、どこで、誰から、何を言われ、どう感じたかを具体的に記録したもの。感情だけでなく、事実を客観的に書くことがポイントです。
  • 心療内科や精神科の診断書:モラハラが原因でうつ病や適応障害を発症した場合、その因果関係を示す重要な証拠となります。
  • 友人や親族への相談メールやLINE:精神的に追い詰められていた状況を客観的に示すことができます。

これらの証拠集めは、辛い記憶を思い出す作業でもあります。ご自身の心身の安全を第一に考え、決して無理はしないでください。どのような証拠を集めるべきか、その方法についてお悩みであれば、私たち専門家がアドバイスいたします。

不倫とモラハラの証拠(スマートフォンの履歴、日記、ICレコーダー)を机に並べ、深刻な表情で考える女性。

【要注意】違法な証拠収集のリスク

慰謝料請求を焦るあまり、違法な手段で証拠を集めてしまうと、かえってご自身が不利な立場に追い込まれる危険性があります。例えば、以下のような行為はプライバシー侵害や不正アクセス禁止法違反などに問われる可能性があります。

  • 相手のスマートフォンに無断でスパイアプリをインストールする。
  • IDとパスワードを盗用してSNSやメールにログインする。
  • 寝室など、プライベートな空間に盗聴器を仕掛ける。

このような違法な手段で得た証拠は、裁判で証拠として採用されない可能性があるほか、証拠収集の態様によっては、相手から損害賠償を請求されるリスクもあります。どこまでが正当な証拠収集の範囲なのか、不安に思われたら、行動を起こす前に必ず弁護士にご相談ください。

「この証拠は法的に有効だろうか?」そんな疑問をお持ちではありませんか?当事務所では、初回のご相談の範囲で、お持ちの証拠が慰謝料請求に使えるかどうかの見立てを無料で確認いたします。お一人で判断せず、まずはお気軽にご相談ください。
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北九州の実務|不倫・モラハラ慰謝料請求の流れ

ここでは、実際に北九州地域で不倫・モラハラの慰謝料請求を進める場合の具体的な流れを解説します。私たちは、福岡家庭裁判所小倉支部や福岡地方裁判所小倉支部での離婚・不貞慰謝料事件を多数担当してまいりました。その実務経験に基づき、各ステップで弁護士がどのように皆様をサポートできるかをご説明します。

STEP1:弁護士への法律相談

すべての始まりは、専門家である弁護士に相談することです。お一人で抱え込んでいる問題点や、集めた証拠を客観的な視点から整理します。

  • 集めた証拠は法的に有効か、追加で必要な証拠はないか
  • 慰謝料請求が認められる可能性と、その見込み額
  • 今後の最適な進め方(交渉、調停、訴訟など)

当事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料です。まずは専門家の意見を聞き、ご自身の状況を正確に把握することから始めましょう。

STEP2:内容証明郵便による交渉

いきなり裁判を起こすのではなく、まずは相手方との話し合い(交渉)から始めるのが一般的です。弁護士があなたの代理人となり、内容証明郵便を送付して慰謝料を請求します。弁護士の名前で請求することで、こちらの本気度が伝わり、相手方が交渉に応じやすくなる効果が期待できます。また、何より、精神的に大きな負担となる相手方との直接のやり取りから解放されるというメリットがあります。

STEP3:離婚調停・慰謝料請求調停

交渉で合意に至らない場合、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停は、裁判官や調停委員といった中立な第三者を交えて行われる話し合いの場です。訴訟のように勝ち負けを決めるのではなく、双方の事情を聴きながら、妥当な解決策を探っていく手続きです。福岡家庭裁判所小倉支部での調停は、比較的落ち着いた雰囲気で進められることが多く、訴訟に比べて柔軟な解決が期待できる場合もあります。

STEP4:訴訟(裁判)

調停でも話し合いがまとまらない場合の最終手段が、訴訟(裁判)です。訴訟では、お互いが主張と証拠を出し合い、最終的に裁判官が法的な判断として判決を下します。時間や費用はかかりますが、判決が出れば、相手方に慰謝料の支払いを法的に強制することができます。不倫とモラハラの悪質性が高い事案では、訴訟によってこちらの主張が認められ、適正な賠償額を得られる可能性も十分にあります。ここまでこじれる前に、早期の段階で弁護士に相談することが、有利な解決への近道です。

慰謝料請求が認められない・難しくなるケース

残念ながら、慰謝料請求が常に認められるわけではありません。ご相談者様に無用な期待を抱かせることのないよう、請求が難しくなる代表的なケースについても誠実に解説します。ただし、ご自身の状況がこれらに当てはまるかもしれないと感じても、慰謝料を請求できないケースだと自己判断せず、一度は専門家にご相談ください。

不倫・モラハラ以前に夫婦関係が破綻していた場合

不倫やモラハラが始まるよりも前に、夫婦関係が客観的に見て修復不可能な状態(破綻)にあったと判断されると、慰謝料請求は認められないか、大幅に減額される可能性があります。これを「破綻の抗弁」といいます。例えば、長期間の別居状態にあり、生活費のやり取りもなく、夫婦としての実態が全くない場合などがこれに該当します。北九州の家庭裁判所実務でも、単に仲が悪いというだけでは破綻とは認められず、客観的な別居期間や経済的な独立性などが厳しく判断される傾向にあります。

慰謝料請求が難しくなるケースとして「夫婦関係の破綻」をイラストで説明。仲の良い夫婦と、別居して背を向け合う夫婦が対比されている。

慰謝料請求の時効が成立している場合

慰謝料請求権には「時効」という期限があります。この期限を過ぎてしまうと、原則として請求することができなくなります。

  • 不倫の慰謝料:不倫の事実と不倫相手を知った時から3年、または不倫行為があった時から20年。
  • モラハラの慰謝料:原則として、損害及び加害者を知った時から3年で時効となり得ます。もっとも、モラハラのように継続する行為では、いつから時効が進行するか(起算点)は個別事情により判断が分かれることがあります。

「もう3年経ってしまったかも」と思っても、いつから時効期間が始まるか(起算点)の判断は法的に難しい場合があります。慰謝料請求の時効について諦める前に、一度弁護士にご確認ください。

不倫・モラハラの慰謝料に関するQ&A

ここでは、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 離婚しない場合でも慰謝料は請求できますか?

【結論】はい、離婚せずに慰謝料を請求することは可能です。
【理由】不倫やモラハラは、離婚に至らなかったとしても、平穏な婚姻生活を送る権利を侵害する不法行為だからです。ただし、一般的には、離婚に至ったケースに比べて慰謝料の金額は低くなる傾向にあります。婚姻関係を継続する代わりに、相手方に謝罪させ、二度と繰り返さない旨の誓約書を作成させるという解決方法もあります。

Q. 不倫相手にだけ慰謝料を請求することはできますか?

【結論】はい、不倫相手にだけ請求することも可能です。
【理由】不倫は、配偶者と不倫相手の二人による「共同不法行為」です。そのため、あなたはどちらか一方、または両方に対して慰謝料を請求する権利があります。ただし、例えば不倫相手から満額の慰謝料(例:200万円)を受け取った場合、精神的苦痛はすでに賠償されたと見なされ、その後に配偶者へ請求することは原則としてできません(二重取りは不可)。

Q. 弁護士費用はどれくらいかかりますか?

【結論】弁護士費用は法律事務所や事案の難易度により異なりますが、一般的には「着手金」と「成功報酬」で構成されます。
【具体例】当事務所では、ご依頼いただきやすいように明確な弁護士料金体系を設けております。初回のご相談は無料ですので、費用倒れのリスクがないかどうかも含め、ご依頼いただく前に費用について詳しくご説明いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

Q. 北九州市外に住んでいても相談できますか?

【結論】はい、もちろんご相談いただけます。
【具体例】当事務所は北九州市小倉北区にございますが、小倉南区、八幡西区、八幡東区、戸畑区、門司区、若松区といった市内全域はもちろんのこと、中間市、行橋市、直方市など近隣の市町村からも多くのご相談をお受けしております。また、オンラインでのご相談にも対応しておりますので、遠方にお住まいの方も、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ:一人で悩まず、まずは北九州の専門家にご相談ください

不倫とモラハラが同時に存在する問題は、法的に複雑であるだけでなく、被害者の方の精神的負担が非常に大きいものです。証拠を集める過程でさらに傷ついたり、相手方との交渉で疲弊してしまったりすることも少なくありません。

どうか、その苦しみを一人で抱え込まないでください。

早期に弁護士へ相談することで、法的に有効な証拠を効率的に集める方法がわかり、感情的な対立が悪化する前に対処できる可能性が高まります。何より、あなたの味方となる専門家がいるという事実は、大きな心の支えとなるはずです。

私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉北区を拠点に、これまで数多くの離婚・男女問題に取り組んでまいりました。あなたのその苦しみに寄り添い、法的な観点から最善の解決策をご提案します。

初回のご相談は60分無料です。お持ちの証拠が有効かどうかの確認だけでも構いません。未来に向けて新たな一歩を踏み出すために、まずは私たちにお話をお聞かせください。

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※本記事は一般的な説明であり、個別事情により結論が異なる場合があります。

弁護士 平井章悟(福岡県弁護士会所属)監修

最終更新日:2026年1月7日

 

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