不倫慰謝料の弁護士費用は相手に請求できる?北九州の弁護士解説

不倫慰謝料の弁護士費用、なぜ被害者が払う?専門家が現実を解説

「不倫をしたのは相手なのに、なぜ被害者である私が弁護士費用を負担しなければならないのか」。
配偶者の裏切りによって心に深い傷を負い、慰謝料請求を決意されたとき、多くの方がこのような理不尽な思いを抱かれることでしょう。そのお気持ちは、決して間違っていません。むしろ、当然の感情です。

しかし、残念ながら現在の法律の仕組みでは、ご自身が依頼した弁護士の費用を、そのまま全額相手に支払わせることは非常に難しいのが現実です。

ですが、どうかここで諦めないでください。交渉の進め方次第では、解決金の設計(いわゆるグロスアップ)などにより、結果として弁護士費用分に近い金額まで回収でき、自己負担を軽減できる可能性があります。

この記事では、北九州市で数多くの男女問題を手がけてきた専門家の視点から、「感情論」ではなく「経済合理性」に基づき、不倫慰謝料請求における弁護士費用の現実と、費用倒れのリスクを回避し、最終的に手元に残る金額を最大化するための具体的な方法を解説します。不倫慰謝料請求の全体像については、不倫慰謝料請求|証拠の集め方と手続きの流れを弁護士が解説で体系的に解説しています。

【結論】弁護士費用を相手に全額請求するのは難しいが、やり方がある

まず大原則としてご理解いただきたいのは、弁護士との間で交わす契約(委任契約)に基づいて発生する費用は、依頼者ご自身が支払う義務を負う、ということです。

しかし、相手の不法行為(不倫)によって弁護士を依頼せざるを得なくなったのですから、その費用も損害の一部として相手に負担してほしいと考えるのは自然なことです。この点について、法律実務では「裁判(判決)」で決着をつけるか、「示談(交渉)」で解決するかによって、全く異なるルールが適用されます。

裁判と示談交渉における不倫慰謝料の弁護士費用請求方法の違いを比較した図解。裁判では慰謝料の1割程度しか認められないが、示談では交渉次第で実質回収が可能であることを示している。

裁判(判決)の場合:認められるのは「慰謝料の1割程度」が限界

交渉が決裂し、裁判で慰謝料を請求する場合、判決では弁護士費用の一部が損害として認められることがあります。これは、相手の不法行為(不倫)と、弁護士に依頼せざるを得なかったことの間に「相当因果関係」が認められるためです(民法709条)。

しかし、ここで極めて重要な注意点があります。裁判所が損害として認める弁護士費用は、実際にあなたが弁護士に支払った金額の全額ではありません。

福岡地方裁判所小倉支部などでの実務を見ても、判決で認められるのは「認容額(裁判所が認めた慰謝料本体)の10%程度」が上限となるのが一般的です。例えば、裁判の末に200万円の慰謝料が認められたとしても、弁護士費用として上乗せされるのは、その1割である20万円程度に留まります。仮にあなたが弁護士に着手金・報酬金として合計50万円を支払っていたとしても、差額の30万円は自己負担となってしまうのです。

この「1割ルール」は、訴訟をしなければ権利を実現できなかった場合に限られるという、厳しい現実を直視する必要があります。あなたのケースにおける慰謝料の相場を把握した上で、裁判に踏み切るかどうかを慎重に判断しなければなりません。

示談交渉の場合:戦略的な「グロスアップ交渉」で実質回収を目指す

裁判とは異なり、当事者間の話し合いである示談交渉には、決まったルールはありません。極端な話、相手が合意すれば、弁護士費用全額を上乗せして支払ってもらうことも可能です。

しかし、現実には「慰謝料は払うが、あなたの弁護士費用まで払う義務はない」と感情的に反発されるケースがほとんどでしょう。そこで我々専門家が用いるのが、より現実的かつ戦略的な「グロスアップ交渉」という手法です。

これは、最初から「弁護士費用」という項目を立てて請求するのではなく、慰謝料や解決金の総額(グロス)に、あらかじめ弁護士費用相当額を上乗せして交渉するというアプローチです。

例えば、慰謝料の適正額が200万円、弁護士費用が50万円かかると見込まれる事案で考えてみましょう。この場合、相手には「慰謝料200万円と弁護士費用50万円、合計250万円を支払え」と請求するのではなく、「本件を解決するための解決金として、300万円を請求します」といった形で交渉をスタートさせます。そして、交渉の過程で譲歩し、「250万円で早期に解決する」という着地点を目指すのです。

この手法の利点は、相手方に「裁判を回避できる(早期解決)」「職場や家族に知られるリスクを減らせる(秘密保持)」といったメリットを提示し、それと引き換えに、こちらが実質的に弁護士費用分を回収した金額での合意を引き出しやすくなる点にあります。これは、裁判の厳格なルールとは異なる、交渉だからこそ可能なプロの交渉術と言えるでしょう。交渉で合意した内容は、将来の不払いを防ぐためにも、法的な強制力を持つ書面に残すことが重要です。特に、相手が分割払いを希望する場合には、より一層専門的な対応が求められます。

費用倒れのリスクを避けるための3つの鉄則【弁護士が解説】

弁護士に依頼することは、慰謝料を増額させるための有効な手段ですが、一方で「費用倒れ」、つまり弁護士費用を支払ったら手元にお金が残らなかった、という最悪の事態は絶対に避けなければなりません。北九州のシビアなコスト意識を持つ皆様なら、なおさらでしょう。

私たち平井・柏﨑法律事務所では、ご依頼者様の利益を第一に考え、ご相談の際に必ず以下の3つの「鉄則」を確認し、費用倒れのリスクがないかを慎重に診断しています。

鉄則1:相手の支払い能力(資産状況)を事前に見極める

慰謝料請求で最も重要なのは、相手に支払い能力があるか、という点です。たとえ裁判で300万円の支払いを命じる判決が出ても、相手が無職で預貯金もなければ、その判決は「絵に描いた餅」に過ぎません。回収できないにもかかわらず、弁護士費用だけがかさんでしまう、これが費用倒れの典型例です。

だからこそ、弁護士に依頼する前に、相手の勤務先、おおよその収入、預貯金の有無、不動産などの資産について、ご自身が把握している情報を整理しておくことが不可欠です。私たちは、ご相談時のヒアリングでこれらの情報から回収可能性を慎重に判断し、リスクが高いと判断した場合は、その旨を正直にお伝えします。慰謝料が支払われない場合、最終手段として給与差し押さえといった強制執行も考えられますが、まずは相手の支払い能力を見極めることが先決です。

鉄則2:勝てる見込み(証拠の強さ)を冷静に分析する

慰謝料の金額は、不倫(不貞行為)を立証できる証拠の「強さ」に大きく左右されます。感情的に「許せない」というお気持ちはもっともですが、法的な請求が認められるかは、客観的な証拠があるかどうかにかかっています。

例えば、ラブホテルに出入りする写真や、性交渉があったことを明確に示すメッセージなどは強力な証拠となります。一方で、二人で食事をしているだけの写真や、「好きだよ」といった程度のやり取りだけでは、証拠として弱いと判断される可能性があります。証拠が不十分なまま交渉や裁判に臨むと、慰謝料が低額になったり、最悪の場合請求が認められなかったりして、費用倒れに陥る危険性が高まります。お手元の証拠でどれだけの請求が見込めるのか、専門家による冷静な分析が不可欠です。たとえ性交渉の直接的な証拠がなくても、状況証拠を組み合わせることで戦えるケースも少なくありません。

鉄則3:費用対効果をシミュレーションする

最終的に弁護士に依頼すべきかどうかの判断基準は、ただ一つです。
「弁護士費用を支払ってでも、自分一人で進めるより手元に残る金額が増えるか」

例えば、ご自身で交渉して100万円で示談が成立しそうなケースを考えてみましょう。もし弁護士に依頼し、交渉の結果250万円を回収できたとします。弁護士費用が50万円かかったとしても、あなたの手元には200万円が残ります。この場合、弁護士に依頼したことで、手取り額が100万円も増えたことになります。

私たちは、ご依頼いただく前に、必ずこの費用対効果のシミュレーションをご提示します。回収見込み額、弁護士費用、そして最終的にご依頼者様の手元に残る金額の見通しを具体的にお示しし、ご納得いただいた上でなければ契約をお受けすることはありません。当事務所の弁護士費用体系は明確に定めておりますので、ご安心ください。

法律事務所で弁護士から費用対効果のシミュレーション説明を受ける女性相談者。費用倒れのリスクを回避するための専門家による診断の重要性を示唆している。

弁護士費用の請求に関するよくあるご質問(Q&A)

ここでは、弁護士費用の請求に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 自動車保険などの「弁護士特約」は使えますか?

A. 原則として、不倫慰謝料請求に自動車保険の弁護士費用特約は利用できません。

弁護士費用特約は、一般に「日常生活における偶然な事故(自動車事故を含む)」など、一定の事故類型に関する損害賠償請求を対象とするものが多く、不倫慰謝料請求のような男女問題は補償対象外となるのが通常です。具体的な補償範囲は保険商品・約款により異なるため、加入中の保険会社に確認してください。

ただし、ご加入の火災保険や個人賠償責任保険に付帯する特約で、まれに利用できるケースも存在します。お手元の保険証券をご確認いただくか、一度保険会社に問い合わせてみることをお勧めします。

Q. 探偵費用も相手に請求できますか?

A. 裁判で「必要不可欠な費用」と認められれば、一部請求できる可能性があります。

探偵に依頼して得た調査費用も、弁護士費用と同じ考え方が適用されます。裁判において、その調査が不貞行為の証拠を得るために「必要かつ相当な範囲」であったと裁判所が判断すれば、損害の一部として認められる可能性があります。ただし、これも支払った全額が認められるわけではありません。

詳しくは、不倫の証拠集めに関する記事もご参照ください。

Q. 実際に支払う弁護士費用と、相手に請求できる費用は別物?

A. はい、全くの別物です。この違いを理解することが非常に重要です。

不倫慰謝料請求における「費用」には、主に3つの種類があり、これらを混同すると大きな誤解を生む原因となります。

  1. 弁護士費用(着手金・報酬金):あなたが弁護士との契約に基づき、直接弁護士に支払う費用です。
  2. 弁護士費用相当額:裁判の判決で、損害の一部として相手に支払いを命じられる金額のことです。前述の通り、慰謝料認容額の10%程度が目安です。
  3. 訴訟費用(印紙代・郵券代など):裁判所に訴訟を提起するために納める実費です。これは原則として敗訴当事者の負担とされます(民事訴訟法61条)。ただし、全部勝訴でない場合などは負担が按分されることもあります。金額自体は、事件内容にもよりますが、印紙代・郵券代は一般に数万円程度に収まることが多いです。

①の「弁護士費用」と、②の「弁護士費用相当額」はイコールではない、という点を必ず覚えておいてください。この点は不倫慰謝料のよくある誤解の一つでもあります。

北九州で費用対効果を重視するなら、平井・柏﨑法律事務所へ

不倫慰謝料請求は、感情的な側面と、経済的な側面の両方を持つ複雑な問題です。私たちは、ご依頼者様の心のケアを大切にすると同時に、弁護士として「経済合理性」と「費用対効果」を徹底的に追求します。

「私のケースで弁護士に頼んだ場合、結局、費用を差し引いて手元にいくら残るのか?」

この最も重要な疑問にお答えするため、平井・柏﨑法律事務所では無料の法律相談の中で「費用対効果シミュレーション」を実施しています。あなたの状況を詳しくお伺いし、回収できる慰謝料の見込み額と、発生する弁護士費用、そして最終的な手取り額を具体的にお示しします。

北九州市(小倉北区、八幡西区、若松区、戸畑区、小倉南区、門司区、八幡東区)はもちろん、行橋市、中間市、直方市など近郊にお住まいで、費用倒れのリスクを避け、賢く慰謝料を請求したいとお考えの方は、一人で悩まず、まずは当事務所にご相談ください。経済的な見通しを立てるだけでも、心の負担はきっと軽くなるはずです。

監修:弁護士 平井章悟(福岡県弁護士会所属/平井・柏﨑法律事務所)

 

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