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不倫相手の妊娠が発覚|まず冷静に2つの問題を切り分ける
不倫相手から妊娠を告げられた。あるいは、夫の不倫相手の妊娠が発覚した。この事実は、あなたの人生を根底から揺るがす、まさに青天の霹靂(へきれき)と言えるでしょう。頭が真っ白になり、怒り、不安、絶望といった感情が渦巻き、冷静な判断など到底できない状態にあるかもしれません。
しかし、このような緊急事態であるからこそ、感情的に行動することは事態をさらに悪化させるだけです。まずは一度深く呼吸をし、目の前にある複雑に絡み合った問題を、法的な観点から整理することから始めなければなりません。
不倫相手の妊娠という問題は、法律的に見ると、性質の異なる2つの責任が同時に発生している状態です。この2つを混同せず、それぞれを切り分けて考えることが、解決への第一歩となります。
- 配偶者(妻)に対する責任:これは、不貞行為そのものによって配偶者の婚姻共同生活の平和を破壊したことに対する責任です。具体的には、不貞慰謝料の支払い義務として表面化します。
- 生まれてくる子に対する責任:これは、不貞行為とは直接関係なく、一人の人間をこの世に生み出す親としての責任です。具体的には、子の「認知」と「養育費」の支払い義務という形で現れます。
この2つの問題は、それぞれ根拠となる法律も、対処すべき相手も異なります。これらを一緒くたにして感情的に交渉しようとすると、問題はますますこじれ、取り返しのつかない事態を招きかねません。この記事では、私たち平井・柏﨑法律事務所が、北九州市での豊富な実務経験に基づき、それぞれの問題にどう向き合うべきかを具体的に解説していきます。不倫・浮気が原因の離婚問題の全体像については、不倫・浮気・不貞が原因で離婚で体系的に解説しています。

【ケース別】これから起こりうる法的責任の全貌
不倫相手の妊娠が発覚したとき、当事者は「出産する」か「中絶する」かという、極めて重大な選択を迫られます。どちらの選択をするかによって、あなたが負うべき法的責任の内容は大きく変わってきます。ここでは、それぞれのケースで具体的にどのような問題が発生するのかを、法的な観点から客観的に解説します。どちらの選択を推奨するものではなく、あくまで冷静な判断材料としてお読みください。
ケース1:不倫相手が出産する場合の3つの責任
不倫相手が出産を決意した場合、不倫をした男性には、主に3つの重い法的責任がのしかかります。これらは、あなたが望むと望まざるとにかかわらず、法律上発生する義務であることをまず認識してください。
①子の認知義務
認知とは、法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子について、父親が自分の子であると法的に認める手続きです。認知をすれば、戸籍に父親として記載され、法律上の親子関係が確定します。あなたが任意に認知届を提出すれば手続きは完了しますが、もし拒否したとしても、相手方は家庭裁判所に「強制認知」を求める調停や訴訟を起こすことができます。その場合、最終的にはDNA鑑定が行われ、生物学的な親子関係が証明されれば、裁判所の判決によって強制的に認知させられることになります。「認知したくない」というあなたの意思は、法的には通用しないのです。
②子の養育費支払義務
認知によって法律上の親子関係が確定すれば、父親として子を扶養する義務が生じます。これが養育費の支払い義務です。養育費は、子が経済的に自立して「未成熟子」といえなくなるまで支払うことが多く、終期は合意内容や個別事情(進学状況など)によって異なります。金額は、あなたと不倫相手の収入に応じて、裁判所が公表している「養育費算定表」を基準に決定されるのが一般的です。養育費は子の生活に直結する重要な費用であり、支払義務そのものは原則として否定されにくい一方、金額や支払方法は当事者の収入状況等に応じて協議・調停・審判等で調整されることがあります。
③配偶者(妻)への慰謝料の増額
不倫相手の妊娠・出産がある場合、事案によっては配偶者(妻)の精神的苦痛が大きいと評価され、慰謝料額の判断で不利に考慮されることがあります。単なる肉体関係に留まらず、新たな命が誕生するという事実は、裏切られた配偶者(妻)に与える精神的苦痛を計り知れないほど増大させるからです。そのため、妻からあなたや不倫相手に対して請求される不貞慰謝料は、通常の不倫事案よりも大幅に増額される傾向にあります。北九州エリアの実務でも、妊娠・出産は慰謝料算定における極めて重大な増額事由として考慮されています。

ケース2:不倫相手が中絶する場合の2つの重要事項
当事者間の話し合いの結果、やむなく中絶という選択をする場合もあります。これは非常にデリケートな問題ですが、法的な観点からは、将来の更なるトラブルを防ぐために、最低限押さえておくべき2つの重要事項があります。
①中絶費用の分担
中絶手術には費用がかかり、誰がどの程度負担するかは当事者間の合意や経緯によって異なります。たとえば、経緯によっては男性側が多く負担すべきと整理されることもあります。実務上は、折半、あるいは妊娠させた男性側が全額または多くを負担する形で合意するケースが多く見られます。
②合意書の作成
中絶問題で最も重要なのが、必ず書面で「合意書」を作成しておくことです。口約束だけで済ませてしまうのは極めて危険です。後になって不倫相手から「本当は産みたかったのに、無理やり中絶させられた」と主張され、高額な慰謝料を請求されるといった泥沼のトラブルに発展するケースが後を絶ちません。こうしたリスクを回避するため、弁護士の関与のもと、以下の内容を盛り込んだ合意書を作成することが不可欠です。
- 中絶が双方の合意に基づくものであることの確認
- 中絶に関する費用(手術費用、通院費など)の分担割合
- 解決金の支払いに関する取り決め(もしあれば)
- 本件に関し、今後互いに金銭的な請求を一切行わないという「清算条項」
- 本件の事実を第三者に口外しないという「口外禁止条項」
このような専門的な合意書は、当事者だけで作成するのは困難です。特に、法的に有効な清算条項を設けるためには、専門家による公正証書の作成なども視野に入れるべきでしょう。
不倫相手の妊娠に関するよくあるご質問(Q&A)
この問題に直面された方から、特に多く寄せられる切実なご質問について、弁護士として明確にお答えします。
Q. 夫が不倫相手に「認知したくない」と言っていますが通りますか?
A. 通りません。
結論から申し上げますと、夫の「認知したくない」という希望は法的には通りません。子の権利は、親の都合よりも優先して保護されるべきというのが日本の法律の基本的な考え方です。
夫が任意での認知を拒み続けても、不倫相手は福岡家庭裁判所小倉支部などの家庭裁判所に「認知調停」や「認知の訴え」を申し立てることができます。訴訟になった場合、DNA鑑定の実施が争点になることがありますが、実際に鑑定を行うには当事者の協力が必要です。協力が得られない場合でも、交際状況や同居の有無、連絡履歴などの証拠関係を総合して父子関係が判断されることがあります。その結果、提出された証拠(DNA鑑定結果を含む場合があります)などから父子関係が認められれば、裁判所は判決で認知を命じることがあります。この判決が確定すれば、夫の意思に関係なく、戸籍に父親として記載されることになります。認知を拒否し続けることは、問題をいたずらに長引かせ、相手の感情を逆なでするだけで、何一つ良い結果をもたらしません。無戸籍の問題については、無戸籍でお困りの方へ(法務省FAQ)もご参照ください。また、家庭裁判所での調停は、このような法的手続きの一つです。
Q. 妻は、夫から不倫相手の子への養育費支払いを止められますか?
A. できません。
妻として、家計から夫の不倫相手の子に養育費が支払われることに納得できないお気持ちは痛いほど分かります。しかし、法律上、妻が夫の養育費支払い義務を止めることはできません。
法律上の大原則として、「親の不貞行為という過ち」と、「子が親から扶養を受ける権利」は、全く別の問題として扱われます。たとえ不倫によって生まれた子であっても、その子が父親から経済的な扶養を受ける権利は、何人たりとも奪うことはできないのです。したがって、妻が反対したとしても、夫の養育費支払い義務が消滅することはありません。
ただし、妻が被る経済的な不利益については、別の形で考慮される可能性があります。例えば、夫との離婚に際しての財産分与の割合を多めに主張したり、夫に対して請求する慰謝料の金額に反映させたりといった形で、法的な救済を図ることは考えられます。
【北九州の皆様へ】当事者間の交渉は危険です。弁護士にご相談を
不倫相手の妊娠という問題は、これまで解説してきたように、複数の法的な問題が複雑に絡み合っています。特に、当事者双方の感情が激しく対立している状況で、冷静な話し合いをすることは不可能に近いと言えるでしょう。
当事者同士で交渉しようとすれば、感情的な言葉の応酬になり、本来解決すべき法的な論点から話が逸れ、収拾がつかなくなるケースがほとんどです。慰謝料、養育費、中絶の合意といった、あなたと相手の将来を左右する重要な取り決めを、法的知識のないまま口約束や不十分な書面で済ませてしまうことは、将来に更なる紛争の火種を残すことになり、極めて危険です。
私たち平井・柏﨑法律事務所の弁護士が、あなたの代理人として交渉の窓口に立つことで、相手方との直接の接触を避け、感情的な対立を排した冷静な交渉が可能になります。
当事務所は、これまで北九州市(小倉北区、小倉南区、八幡西区、八幡東区など)やその近郊の行橋市、中間市といった地域で、数多くの男女問題を解決に導いてまいりました。不貞行為に関する慰謝料の問題は地方裁判所(福岡地方裁判所小倉支部)、子の認知や養育費の問題は家庭裁判所(福岡家庭裁判所小倉支部)と、扱う裁判所も異なります。私たちは、これらの手続きを踏まえ、全体を見通した上で、事情に応じた解決方針をご提案します。
一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。慰謝料を請求されてしまった立場であっても、法的に適切な対応をとることで、ダメージを最小限に抑えることは可能です。私たちが、あなたの未来を守るために、全力でサポートいたします。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
