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不倫トラブル、義父母の責任はどこまで問えるのか
配偶者の不倫という裏切りだけでも耐え難い苦痛であるのに、その親である義父母が不倫の事実を知りながら容認していた、あるいは隠蔽に加担していたとしたら、その絶望感と怒りは計り知れないものでしょう。一方で、成人した我が子の問題に突然巻き込まれ、子の配偶者から厳しい追及を受け、平穏な生活を脅かされている親御様の戸惑いも、また深刻な問題です。
このような複雑な状況において、まずご理解いただきたい重要な原則があります。それは、親としての道義的な責任と、法律上の賠償責任は明確に区別して考える必要がある、ということです。
結論から申し上げますと、成人した子どもの不貞行為について、その親が法的な慰謝料の支払い義務を負うことは、原則としてありません。この記事では、なぜ請求が認められないのかという法的な理由から、極めて例外的に請求が認められ得るケース、そして実際に請求された場合の対処法まで、北九州市小倉北区の弁護士が双方のお立場に配慮しながら、冷静かつ的確に解説します。
不倫慰謝料請求の全体像については、不貞行為の慰謝料請求|請求できる条件とできないケースを弁護士が解説で体系的に解説していますので、併せてご参照ください。
義父母への慰謝料請求が「原則認められない」法的な理由
義父母に対して慰謝料を請求したいというお気持ちは、感情的には十分に理解できます。民法上、不法行為による損害賠償責任は、原則として故意・過失により権利等を侵害した「当事者」が負います(民法709条)。もっとも、共同不法行為(民法719条)など、関与の態様によっては例外的に責任が問題となる場面もあります。
つまり、不倫という不法行為を行ったのはあくまで配偶者とその不倫相手であり、その親ではありません。たとえ成人した子どもの監督や教育に問題があったとしても、あるいは子の不倫の事実を黙っていたとしても、それだけでは親が法的な賠償責任を負うことにはならないのです。
「不倫相手を家に泊めていた」「不倫の事実を知りながら隠していた」といった義父母の行為は、道義的には強く非難されるべきかもしれません。しかし、それらの行為が、被害者であるあなたの権利を直接的に侵害したと法的に評価されることは、極めて稀です。法律は、あくまで個人の行動とその結果責任を直接結びつけて判断するため、親という立場だけで自動的に責任が及ぶことはないのです。
この法的な限界を冷静に理解することは、感情的な対立をエスカレートさせ、時間と費用を浪費する無謀な訴訟を避けるために非常に重要となります。
(参考:民法 | e-Gov 法令検索)
【例外】義父母への慰謝料請求が認められ得るケースとは
原則として義父母への慰謝料請求は認められませんが、ごく稀に例外的な状況が存在します。それは、義父母の行為そのものが、あなたに対する「独立した不法行為」と評価される場合です。

具体的には、以下のような極端なケースが考えられます。
- 不倫を積極的に教唆・幇助したケース: 義父母が単に不倫を黙認していただけでなく、「離婚してあの人と一緒になりなさい」などとそそのかし、不倫関係を積極的に後押ししたような場合。
- 名誉毀損や精神的虐待にあたる言動があったケース: 例えば、義父母があなたに対して「あなたが悪いから息子は不倫したんだ」といった暴言を執拗に繰り返したり、周囲に虚偽の悪評を流したりして、あなたの名誉や精神的な平穏を著しく侵害した場合。
- 夫婦関係を破綻させるための具体的な工作を行ったケース: 義父母が不倫相手と共謀し、あなたを家から追い出す、夫婦の居住スペースに不法に侵入するなど、夫婦関係を破壊するために具体的な妨害工作を行った場合。
しかし、これらはあくまで極めて例外的なケースです。多くの場合、慰謝料請求が認められない可能性が高いのが実情です。さらに、これらの事実を法廷で立証するための客観的な証拠(録音、メール、第三者の証言など)を集める必要があり、そのハードルは非常に高いという現実も知っておく必要があります。
親族間の慰謝料請求|立場別のよくあるご質問
ここでは、親族が関与する不倫慰謝料の問題について、【請求したい側】と【請求された側】それぞれの立場から寄せられる切実なご質問に、Q&A形式でお答えします。
Q. 義父母公認で不倫が続いていました。それでも訴えられませんか?
A. 結論として、義父母を訴えて慰謝料を認めてもらうことは、極めて困難です。
義父母が不倫の事実を知りながら、不倫相手を自宅に招き入れるなどしていた場合、その行為は道義的に許されるものではありません。しかし、その行為自体が、ご相談者様の権利を直接的に侵害する「不法行為」とまで法的に評価されるハードルは、残念ながら極めて高いのが実務上の現実です。
怒りのお気持ちは痛いほど理解できますが、法的に認められる可能性が低い相手に時間と費用をかけて裁判を起こすことは、さらなる精神的・経済的負担を増やす結果になりかねません。今は、怒りの矛先を法的に責任を負うべき人物、つまり不倫をした配偶者と不倫相手本人に向けることが重要です。この二者に対して、事情に応じた適正な慰謝料を請求することに注力することが重要です。ご自身の状況でどの程度の慰謝料を請求できるか、一度冷静に検討されることをお勧めします。
Q. 息子の妻から「親が払え」と内容証明が。無視してもいいですか?
A. 無視は危険ですが、ご両親が法的に支払う義務は原則としてありません。
ある日突然、息子の妻から内容証明郵便が届けば、誰でも恐怖と不安を感じるでしょう。しかし、前述のとおり、成人した子の不法行為に対して親が賠償責任を負う法的な義務は原則ありませんので、慌てて支払いに応じる必要はありません。
ただし、内容証明を完全に無視することは得策ではありません。相手方が感情的になり、ご自宅や職場へ執拗に連絡をしてくるなど、平穏な生活が脅かされる事態に発展する恐れがあります。このようなトラブルを避けるためにも、専門家である弁護士を代理人に立て、「親には法的責任がない」という旨を毅然と、かつ法的に正確に回答することが、有力な対応策の一つです。弁護士が介入することで、ご両親をトラブルの矢面から遮断し、不当な要求からお守りすることができます。
北九州で親族が絡む不倫問題にお悩みの方へ

親族が絡む不倫トラブルは、誰が、いつ、どこで、何をしたのか、という事実関係が複雑に絡み合います。感情的な対立も激しくなりがちで、当事者同士での冷静な話し合いによる解決は極めて困難です。特に、北九州エリアの実務経験から申し上げますと、不倫問題に親族が介入すると、事態は長期化・複雑化する傾向が顕著です。
怒りに任せて義父母を訴えたとしても、福岡地方裁判所小倉支部などでの訴訟実務においては、その請求が棄却されるリスクは非常に高く、かえって時間と費用を無駄にしてしまうケースが少なくありません。法的に有効な主張を組み立てるには、時系列や証拠の緻密な整理が不可欠となります。
解決の鍵は、弁護士との対面による緻密な状況整理です
親族が不倫にどこまで関与していたのか、そのニュアンス(単に事後報告を受けて黙認していたのか、積極的に手助けをしていたのか)は、お電話やメールのやり取りだけで正確に把握することは不可能です。誰に、どのような法的責任を問えるのか、あるいは問われている責任からどう身を守るのか。その法的に有効な一手を見極めるためには、直接お会いし、お手元にある資料を拝見しながら状況を整理することが不可欠です。
当事務所では、こうした複雑な親族間の事情を正確に把握するため、お電話やオンラインでのご相談は承っておりません。必ず小倉北区の当事務所へ直接ご来所いただき、関係する手紙やLINEの画面などを対面で拝見しながら、最も合理的で平穏な解決策をご提案いたします。
一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。それが、泥沼化した状況から抜け出し、平穏な日常を取り戻すための大切な第一歩となり得ます。
平井・柏﨑法律事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせいただき、弁護士との対面相談をご予約ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
