同性パートナーの浮気。慰謝料請求の法的根拠を北九州の弁護士が解説

同性パートナーとの浮気は慰謝料請求の対象となるか

配偶者が同性と交際している事実が発覚した際、一般的な異性間の不倫とは異なる特有の戸惑いや、深い精神的苦痛を感じる方は少なくありません。法的にどのように扱われるのか、先例が少ないのではないかという不安も当然のことでしょう。

結論として、近時の裁判例では、交際相手が同性であっても、婚姻共同生活の平穏を害する程度の親密な関係(性的関係を含む場合など)であれば、不法行為として慰謝料請求の対象となり得ると判断された例があります。

かつて、民法上の「不貞な行為」は、男女間の性的関係を前提とする解釈が中心とされてきました。しかし近年は、個別事案により結論は異なり得るものの、性別の形式にとらわれず、問題となる関係が「婚姻共同生活の平穏」を侵害したかという観点から不法行為該当性が論じられる場面が増えています。つまり、問題の本質は交際相手の性別ではなく、その行為が夫婦間の信頼関係を破壊したか否かという点にあるのです。

この記事では、同性パートナーとの浮気問題をめぐる慰謝料請求の法的根拠、最新の裁判例、そして実務上の課題について、専門家の立場から客観的に解説します。このテーマの全体像については、不貞行為の慰謝料請求|請求できる条件とできないケースを弁護士が解説で体系的に解説しています。

慰謝料請求の法的根拠は「婚姻の平穏」の侵害

同性間の交際がなぜ慰謝料請求の対象となるのか、その核心的な法的根拠は、民法709条に定められた「不法行為」にあります。不法行為とは、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した場合に、その損害を賠償する責任を負うというものです。

婚姻関係において法律が保護する重要な利益の一つが、「婚姻共同生活の平穏」です。これは、夫婦が相互に協力し、平穏な家庭生活を維持していくという利益を指します。配偶者以外の人物と、夫婦の信頼関係を根底から覆すような親密な関係を持つことは、この「婚姻共同生活の平穏」を侵害する行為に他なりません。

裁判所は、相手が異性であるか同性であるかという形式的な区別ではなく、その行為が客観的に見て夫婦関係の基盤を破壊したといえるか否かを実質的に判断します。したがって、配偶者と第三者が性的関係を含む極めて親密な交際をしていた場合、それは不法行為を構成し、慰謝料請求の根拠となり得るのです。

同性間の浮気における慰謝料請求の法的根拠の変化を示す図解。従来の「不貞行為=異性間」という解釈から、近年の「不法行為=婚姻共同生活の平穏の侵害」という司法判断への移行を天秤で表現している。

実務上の課題:立証の難しさ

法的根拠は明確である一方、実務上、同性間の関係を不法行為として立証するには特有の難しさが伴います。異性間のケースと比較して、相手方から「親密な友人関係に過ぎない」という反論がなされやすいのが現実です。

例えば、二人きりで旅行に行ったり、ホテルに宿泊したりといった事実があっても、それだけでは直ちに性的関係の存在を推認させる決定的な証拠とは見なされない可能性があります。異性間であれば不貞の強力な証拠となる行為も、同性間では「友人として自然な行動」と主張される余地があるためです。

このため、単一の事実だけでなく、恋愛感情の存在をうかがわせるLINEやメール等の通信記録、交際の頻度や態様、第三者への紹介の仕方など、社会通念上の友人関係の範囲を逸脱した、排他的かつ親密な関係であったことを示す客観的な証拠を、複数積み重ねていく作業が極めて重要となります。不貞行為の証拠となるもの・ならないものの境界線については、性交渉の証拠がなくても慰謝料請求が可能かについて解説していますので、ご参照ください。

【立場別】同性間の浮気に関するQ&A

ここでは、請求する側と請求される側、それぞれの立場から寄せられることの多いご質問にお答えします。

法律事務所の相談室で、弁護士に同性パートナーとの浮気問題について相談している様子。プライバシーが守られた空間で真剣に話し合っている。

Q. 配偶者が同性と肉体関係を持っています。慰謝料は請求できますか?

【結論】
請求できる可能性があります。

【法的理由】
前述のとおり、近年の裁判例では、同性間の性的行為等であっても、夫婦の平穏な婚姻生活を害するものであれば不法行為を構成し、慰謝料の支払い義務が生じ得ると判断されています。性的関係の存在は、婚姻共同生活の平穏を著しく侵害する行為と評価される重要な要素です。

ただし、相手方からは「単なる友人関係である」との反論がなされる可能性も十分に考えられます。そのため、性的関係の存在を客観的に示す証拠や、それを推認させるだけの親密な交際の事実を具体的に主張・立証していくための、詳細な事実確認が必要となります。慰謝料請求の手続きを進めるにあたっては、慎重な準備が求められます。

Q. 既婚の同性と親密な関係に。異性ではないので責任はありませんか?

【結論】
異性ではないという理由だけで法的な責任を免れることは困難です。

【法的理由】
不法行為責任の有無は、性別によって形式的に判断されるものではなく、ご自身の行為が相手方の婚姻共同生活の平穏を侵害したか否かという実質で判断されます。相手が既婚者であると知りながら、社会通念上許容される友人関係の範囲を逸脱した親密な関係(性的関係を含む)を持った場合、共同不法行為者として損害賠償義務を負う可能性があります。

もし相手方の配偶者から慰謝料を請求する旨の通知が届いた場合は、安易にご自身で判断せず、速やかに法律の専門家に相談し、適正な対応を検討することが重要です。

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