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自衛官との不倫問題|まず押さえるべき3つの特殊性
配偶者や交際相手が自衛官であるという特殊な状況で、不倫問題に直面されている方へ。任務に伴う長期不在や頻繁な転勤を理由に、話し合いが進まず、問題がうやむやにされてしまうのではないかと、深い不安と焦りを感じていらっしゃるかもしれません。
自衛官という職業には、確かに一般の会社員とは異なる3つの特殊性があります。しかし、まずお伝えしたいのは、職務の特殊性は法的な責任を免れる理由にはならないということです。むしろ、その身分や給与の安定性から、法律に則った適正な解決を図りやすい側面さえあります。
このページでは、北九州市小倉北区の平井・柏﨑法律事務所が、自衛官との不倫慰謝料問題に特有の課題と、それに対する冷静かつ法的に確実な解決策を解説します。
① 任務・演習による長期不在とすれ違い
自衛官は、演習、航海、災害派遣といった任務のため、数週間から数ヶ月にわたり家庭や大切な人と離れて過ごすことが少なくありません。こうした物理的な距離やコミュニケーションの不足が、心のすれ違いを生み、不倫関係の遠因となることや、不倫の事実発覚が遅れる要因となる可能性は否定できません。
当事務所が拠点を置く北九州・京築エリアには、小倉南区の小倉駐屯地、行橋市や築上郡にまたがる築城基地、そして遠賀郡の芦屋基地など、多くの隊員が勤務されています。私たちは、こうした地域事情を踏まえ、自衛官の方々の特殊な生活サイクルを理解した上で、法的な問題解決に取り組んでいます。しかし、いかなる理由があろうとも、それが不貞行為を正当化するものではなく、慰謝料請求の免責事由にはならないことを明確に認識しておく必要があります。
② 数年単位の転勤と「問題の先延ばし」リスク
読者の皆様が最も懸念されているのが、この「転勤」の問題ではないでしょうか。自衛官は全国規模の異動(転勤)が比較的多い職種であり、不倫の当事者が転勤を機に「物理的に距離を置けば話し合いを先延ばしにできる」と考え、問題解決が長期化することはあり得ます。
しかし、ご安心ください。これは法的手続きの障害にはなりません。相手方がどれだけ遠方へ異動しようとも、慰謝料を請求する権利が失われることはなく、問題解決は十分に可能です。具体的な対応策については、後の章で詳しく解説しますが、転勤は「逃げ得」には繋がらないと、まずはご理解ください。
③ 国家公務員としての身分と給与の安定性
問題解決の確実性という観点から見ると、自衛官が国家公務員であることは、実は大きなメリットとなります。民間企業と異なり、防衛省という組織が倒産することはなく、不当な理由で解雇されるリスクも極めて低いため、給与や賞与、そして将来の退職金が非常に安定しています。
これは、万が一、慰謝料の支払いが滞った場合に、「給与の差押え」という強制執行手続きが極めて有効な手段となることを意味します。相手方の経済的な安定性は、慰謝料という金銭債権を確保する上で、非常に心強い基盤となるのです。このため、給与差し押さえという法的手続きは、支払いが滞った場合の債権回収手段として有力な選択肢となり得ます。
「転勤・訓練で逃げられる?」自衛官特有の懸念への法的対応策
「相手がもうすぐ転勤らしい」「訓練中で全く連絡が取れない」――。自衛官との不倫問題では、こうした特殊な状況が大きな不安要素となります。しかし、弁護士が介入することで、相手の状況に左右されることなく、法的な手続きを粛々と進めることが可能です。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、小倉駐屯地や築城基地などに勤務される自衛官が関わる離婚・慰謝料問題について、豊富な解決実績を有しております。地域に根差した法律事務所として、自衛官特有の生活サイクルや全国転勤といった事情を深く理解し、それらを前提とした迅速かつ実効性の高い対応を得意としています。感情的な対立を避け、法に基づいた冷静な解決を目指しましょう。
転勤が決定した場合:異動前の迅速なアクション
相手の転勤が判明した、あるいはその可能性が高いという状況では、迅速な初動が極めて重要です。まず、不貞行為の客観的な証拠(メッセージのやり取り、写真など)を確実に保全してください。その上で、弁護士名義で「内容証明郵便」を送付し、慰謝料を請求する明確な意思を相手方に通告します。
これにより、相手は「転勤してもこの問題からは逃れられない」という事実を法的に認識せざるを得なくなり、真摯な交渉のテーブルに着く可能性が高まります。物理的に距離が離れる前に示談を成立させることができれば、その後の手続きの負担を大きく軽減できます。問題が発覚したら、一日も早く専門家へ相談することが肝要です。
転勤後の対応:遠隔地でも交渉・法的手続きは可能
すでにお相手が遠方の駐屯地や基地へ転勤してしまった後でも、諦める必要は全くありません。弁護士があなたの代理人となることで、交渉の窓口を一本化できます。電話やオンライン会議システム、郵便といった手段を駆使し、相手方本人やその代理人弁護士と、距離の制約なく交渉を進めることが可能です。
交渉がまとまらない場合、家庭裁判所での離婚調停や地方裁判所での訴訟といった法的手続きに移行しますが、これも問題ありません。裁判所によっては電話会議システムなどを利用して手続きを進めることもできます。物理的な距離は、法的な解決の障壁にはならないのです。
長期訓練・演習中の対応:不在を理由とさせない法的手続き
「現在、演習中で連絡が取れない」「長期航海に出ていて、いつ戻るか不明」といった返答は、自衛官との交渉で頻繁に聞かれる言葉です。当事者同士の話し合いでは、これが原因で何ヶ月も進展がないという事態に陥りがちです。
このような場合でも、弁護士は法的な手続きを計画的に進めることができます。例えば、回答期限を明確に定めた書面を送付し、相手の不在を理由とした遅延を許さない姿勢を示します。また、相手が意図的に連絡を絶っているような悪質なケースでは、訴訟を提起し、裁判所の書類が相手に届かない場合でも手続きを進められる「公示送達」という制度を利用することも視野に入れます。相手の不在が、責任追及の妨げになることはありません。焦らず、専門家を窓口として冷静に解決の時を待つことが重要です。

自衛官への慰謝料請求で知るべき「懲戒処分」と「給与差押え」
自衛官への慰謝料請求を考える際、「職場に報告すれば何らかの処分が下るのではないか」「給料から確実に支払ってもらえるのか」といった疑問が生じることでしょう。ここでは、自衛官の不倫問題に深く関わる「懲戒処分」と「給与差押え」について、法的に正確な知識と、実務上の注意点を解説します。
公務員の不倫問題全般については、公務員の不倫と懲戒処分・職場への通知リスクで体系的に解説しています。
不倫は懲戒処分の対象?自衛隊法と民事責任の正しい理解
自衛隊法には、隊員が守るべき服務規律の一つとして、「品位を保つ義務」が定められています。そのため、「不倫が部隊に知られれば懲戒処分になるはずだ」と期待される方もいらっしゃいます。しかし、現実はそれほど単純ではありません。
隊員の私生活における不倫が、直ちに懲戒処分の対象となるケースは限定的です。例えば、基地や駐屯地内で不貞行為に及んだ、職務用の通信機器を私的に利用した、相手が同じ部隊の隊員の配偶者で部隊の規律を著しく乱した、といった職務への具体的な影響が認められる特段の事情がない限り、あくまで民事上の問題として扱われるのが一般的です。感情に任せて部隊や上官に報告しても、期待するような厳しい処分が下るとは限らず、むしろ後述するような予期せぬリスクを招く可能性があります。慰謝料請求という本来の目的達成のためには、民事上の責任追及に集中することが賢明です。
なお、不倫相手が同じ職場にいる職場不倫のケースでは、また別の注意点が必要となります。
【最終手段】国を第三債務者とする「給与差押え」という有力な方法
示談や裁判で慰謝料の支払いが決まったにもかかわらず、相手が支払いを怠る。このような場合に最も強力な法的手段が、給与の差押え(強制執行)です。
相手が自衛官の場合、給与の支払元は国(防衛省)です。そのため、裁判所の手続きを通じて、国を「第三債務者」として給与を差し押さえることになります。国(防衛省)が第三債務者となるため、民間企業を第三債務者とする場合と比べ、手続面での見通しが立てやすい傾向があります。もっとも、具体的な差押えの可否や回収見込みは、債務名義の内容や他の差押えの有無など個別事情によって左右されます。
この手続きを行うには、判決や調停調書、あるいは強制執行認諾文言付きの公正証書といった「債務名義」が必要です。差押えが可能な金額には、原則として手取り給与の4分の1までといった法的な上限がありますが、慰謝料を確実に回収できるという見通しは、精神的な大きな支えとなるはずです。より具体的な手順については、強制執行認諾文言付き公正証書(慰謝料の分割払い対策)をご覧ください。
なお、2020年4月1日施行の改正民事執行法により、「第三者からの情報取得手続」(民事執行法204条以下)が新設され、預貯金債権等については、一定の要件の下で第三者から情報取得を図れるようになりました。もっとも、勤務先情報の取得は養育費等や生命・身体侵害の損害賠償請求権などに限られるため、慰謝料請求では、事案に応じて他の調査・執行手段を検討することになります。
自衛官の不倫問題に関するよくあるご質問(Q&A)
ここでは、自衛官との不倫問題に関して、ご相談者様から特に多く寄せられるご質問にお答えします。
Q. 部隊の上官に不倫の事実を報告し、処分してもらうことはできますか?
結論から申し上げますと、お勧めいたしません。
法的な理由として、私生活上のトラブルを相手の職場に一方的に報告する行為は、相手の名誉やプライバシーを侵害するものと評価され、場合によっては名誉毀損として逆に損害賠償を請求されるリスクを伴います。また、そうした行為は慰謝料請求という本来の目的から逸脱し、感情的な対立を不必要に深めるだけで、円滑な解決を遠ざけてしまう可能性が高いです。冷静に、弁護士を通じた法的な請求手続きに集中することが、ご自身の利益を守る最善の策と言えます。相手の職場への連絡がもたらす職場へ連絡した場合のリスクでも詳しく解説しています。
Q. 慰謝料の分割払いが滞った場合、給与を差し押さえることは可能ですか?
はい、可能です。
そのための法的な要件として、当事者間の合意内容を記した「公正証書(強制執行認諾文言付き)」や、裁判所の手続きで作成される「調停調書」「和解調書」「判決」といった公的な文書(これらを総称して「債務名義」と呼びます)が必要となります。この債務名義があれば、裁判所に申し立てることにより、国(防衛省)を第三債務者として、相手の給与や賞与、さらには将来受け取る退職金の一定割合を差し押さえる手続きがとれます。自衛官という安定した身分だからこそ、この給与差し押さえは極めて有効かつ確実な手段となります。
Q. 不倫した側です。相手から「職場に知らせる」と要求されています。
安易に要求に応じるべきではありません。まずは弁護士にご相談ください。
ご自身に非があることは事実ですが、だからといって相手のいかなる要求にも応じなければならないわけではありません。「職場に知らせる」といった、社会的制裁をちらつかせて過大な金銭を要求する行為は、その態様によっては脅迫や恐喝と評価されうる、法的に不当なものです。
感情的に反発するのではなく、弁護士を代理人として間に立てることで、相手方と冷静な交渉の場を設け、法的に相当な範囲での慰謝料額による解決を目指すべきです。当事務所では、慰謝料を請求された側からのご相談にも真摯に対応しております。
自衛官との不倫問題は、北九州の事情に詳しい弁護士へ
ここまで解説してきたように、自衛官との不倫慰謝料問題には、転勤や長期不在といった職務上の特殊性が伴います。しかし、それらの特殊性は、法的な手続きを進める上での決定的な障壁にはなりません。むしろ、国家公務員という安定した身分は、慰謝料の確実な回収という側面で有利に働くことさえあります。
重要なのは、相手の特殊な状況に振り回され、感情的になったり、解決を諦めたりするのではなく、法律の専門家を介して、定められた手続きを冷静かつ着実に進めることです。
平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉北区に事務所を構え、地域の皆様が抱える離婚・男女問題に真摯に取り組んでまいりました。特に、小倉駐屯地、築城基地、芦屋基地などに勤務される自衛官の方々の給与体系や勤務事情を深く理解しており、それを踏まえた実効性のある示談書の作成や、粘り強い交渉を得意としております。
一人で悩み、相手のペースに巻き込まれてしまう前に、まずは当事務所の無料法律相談をご利用ください。私たちが、あなたの代理人として、そして法律の専門家として、冷静な解決への道筋を明確にお示しします。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
