W不倫の慰謝料|相殺で諦めない交渉術を北九州の弁護士が解説

ダブル不倫の慰謝料は「相殺」でゼロになるとは限らない

配偶者と、その不倫相手の双方に家庭がある「ダブル不倫(W不倫)」。この複雑な問題に直面されたとき、インターネット上では「お互い様だから慰謝料は相殺されてゼロになる」といった情報が多く見受けられます。しかし、法律の専門家である私たちの見解は異なります。その通説を鵜呑みにすることは、ご自身の正当な権利を放棄してしまうことになりかねず、大変危険です。

慰謝料の問題は、単なる感情論や「お互い様」という言葉で片付けられるものではありません。法的な観点から見れば、慰謝料を請求する権利は、裏切られた側の配偶者一人ひとりに独立して存在するものです。そのため、自動的に「相殺」で消滅するわけではないのです。

そして、この問題の行方を左右する最も重要な分岐点は、ご自身の家庭が不倫を原因として「離婚するのか」、それとも「関係を再構築するのか」という点にあります。この選択によって、最終的に目指すべきゴール、そして採用すべき交渉術は全く異なってきます。

この記事では、北九州市や行橋市、中間市など近郊にお住まいで、ダブル不倫という困難な状況にお悩みの皆様へ向けて、慰謝料問題における「相殺」というよくある誤解を解き、冷静かつ戦略的に問題を解決するための道筋を、弁護士が解説いたします。

法律上「一方的な相殺」が原則できない理由

ダブル不倫の慰謝料における一方的な相殺が民法509条によって原則禁止されていることを示す図解。

まず、ダブル不倫の慰謝料問題で最も重要な法的原則についてご説明します。それは、加害者側から「こちらにも請求権があるから、お互いの慰謝料を帳消しにしよう」と一方的に主張する「相殺」は、法律上、原則として認められないということです。

この点に関連して、民法第509条は、一定の場合(例えば「悪意による不法行為」に基づく損害賠償請求権など)を受働債権として相殺により帳消しにすることを制限しています(民法509条)。

少し難しい言葉ですが、不倫のケースに当てはめてみましょう。民法第509条1号でいう「悪意」は、一般に「相手が既婚者だと知っていた」という意味とは異なり、積極的に他人を害する意図(害意)を指すものとして説明されることがあります。そのため、ダブル不倫であっても、常に「悪意による不法行為」に当たると断定できるわけではありません。

つまり、「お互い様だから自動的にチャラになる」という考えは、法的には通用しないということを、まずは正確に理解しておく必要があります。この原則を理解することが、有利な交渉を進めるための第一歩となります。

不倫の慰謝料請求が認められる条件は、個々の事案によって異なりますが、この相殺禁止の原則は、交渉の前提として非常に重要です。

【交渉術】ゼロ和解か差額請求か?運命の分岐点

一方的な相殺はできなくとも、当事者全員が合意の上で、現実的な解決策を探ることは可能です。ダブル不倫の交渉は、主に「ゼロ和解」と「差額請求」という2つのゴールを目指して進められます。どちらの道を選択すべきか、ご自身の状況と照らし合わせながらご検討ください。

双方の家庭を守る「ゼロ和解(相互免除)」という選択肢

もし、双方の夫婦がともに離婚を選択せず、関係を再構築する道を選ぶのであれば、「ゼロ和解」が最も現実的かつ穏便な解決策となるでしょう。

これは法律上の「相殺」とは全く異なり、関係者全員(不倫をした当事者とその配偶者の4者)が話し合いの末、「お互いに慰謝料請求権を行使しない」と合意する契約です。相互に請求権を放棄することで、これ以上の紛争拡大を防ぎ、双方の家庭への経済的ダメージを最小限に抑えることを目的とします。

このゼロ和解は、感情的な対立を避け、問題を早期に終結させたい場合に非常に有効な手段です。ただし、口約束だけで済ませてしまうと、後になって一方から「やはり慰謝料を支払ってほしい」と蒸し返されるリスクが残ります。

こうした将来の紛争を防ぐため、弁護士は極めて精緻な和解合意書を作成します。具体的には、

  • 今後一切、慰謝料などを請求しないことを約束する「清算条項」
  • 不倫関係を完全に断ち、今後一切の接触を禁じる「接触禁止条項」
  • この件を第三者に口外しないことを誓約する「口外禁止条項」

などを盛り込み、法的に拘束力のある書面として残します。場合によっては、支払いの約束などを公正証書にすることも有効です。専門家が介在することで、双方の家庭が安心して再出発できる土台を築くことができるのです。

実利を得るための「差額請求」が可能なケースとは

「どうせプラスマイナスゼロになる」という思い込みから、泣き寝入りをしてしまう必要はありません。双方の家庭が受けた精神的苦痛の度合い(法的な損害額)に明確な差がある場合には、慰謝料を相互に請求し合った結果、手元に金銭が残る「差額請求」が十分に可能です。

慰謝料の額は、様々な事情を考慮して算定されます。例えば、以下のようなケースでは、一方の家庭が受けた精神的苦痛が、もう一方よりも著しく大きいと評価される可能性があります。

  • 片方の夫婦だけが、不倫が直接の原因で離婚に至ったケース
  • 不倫関係の主導権をどちらが握っていたか(積極性)に大きな差があるケース
  • 婚姻期間や、夫婦の間に未成熟の子どもがいるかどうかに違いがあるケース

特に、「当方は不倫が原因で離婚するが、相手方の夫婦は離婚しない」という場合、離婚という最も重大な結果を招いた側の損害は、法的に大きく評価される傾向にあります。例えば、こちらの損害額が200万円、相手方の損害額が100万円と評価されれば、単純計算で100万円の差額を請求できる可能性があるのです。

どの程度の慰謝料増額要因があるかを法的な観点から的確に主張し、交渉を有利に進めるためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。

ダブル不倫の慰謝料問題に関するQ&A

ここでは、ダブル不倫に関して多く寄せられるご質問に、Q&A形式でお答えします。

Q. 私の配偶者が相手に支払う慰謝料と、私が相手に請求する慰謝料を、勝手に相殺できますか?

A. 結論として、法律上、一方的な相殺はできません。

その理由は、慰謝料を請求する権利は、不貞行為によって精神的苦痛を受けた「個々の配偶者」にそれぞれ帰属する、全く別個の権利だからです。あなたの配偶者が負う賠償義務と、あなたが持つ請求権は、別の法律関係に基づいています。したがって、当事者の一人が「お互いの分をチャラにしよう」と勝手に決めることは法的に不可能です。

ただし、先述のとおり、関係者全員での話し合いにより、合意の上で「相互に請求権を放棄する」という契約(ゼロ和解)を結ぶことは、有効な解決策の一つです。

Q. 相手の配偶者から内容証明が届きました。自分の配偶者に内緒で解決できますか?

A. 弁護士が代理人として介入することで、ご家族に知られるリスクを下げつつ解決できる場合があります。

突然、内容証明郵便が届けば、誰しも冷静ではいられないでしょう。ご自身の配偶者に知られずに問題を収めたいと考えるのは当然のことです。そのような場合、速やかに弁護士にご相談ください。私たちが介入することで、以下のような対応が可能になります。

  1. 弁護士が「受任通知」を相手方に送付し、今後の一切の連絡をご本人やご家族に行わず、すべて弁護士を窓口とするよう求めます。これにより、相手方に対してご自宅への直接の連絡や訪問を控えるよう求め、以後の連絡窓口を弁護士に一本化する対応を進めます(ただし、相手方の対応や状況によっては別途の対応が必要になることもあります)。
  2. すべての交渉は、弁護士が代理人として秘密裏に行います。
  3. 示談が成立した際の合意書にも、ご自宅の住所を記載しないなどの配慮を行い、プライバシーを最大限に保護しながら解決を目指します。

一人で対応しようとすると、かえって事態を複雑にしてしまう可能性があります。早期に専門家へご相談いただくことが、平穏な解決への最短ルートです。

北九州でダブル不倫問題に直面したら

ダブル不倫問題は、登場人物が4人以上になることもあり、それぞれの思惑が複雑に絡み合うため、極めて繊細な対応が求められます。特に、LINEのやり取り一つが、交渉全体の行方を左右する重要な証拠となることも少なくありません。安易な自己判断は避け、まずは専門家にご相談ください。

複雑な事案だからこそ、対面でのご相談を徹底しています

ダブル不倫は当事者が多いため、LINEのやり取り一つが全体の交渉を左右するほど証拠の評価が繊細です。登場人物の相関図を整理し、証拠の法的価値を正確に見極めるには、断片的な情報だけでは不十分です。

そのため、当事務所では、事案の正確な把握とプライバシー保護の観点から、お電話やオンラインでの法律相談は原則として行っておりません。小倉北区の事務所へ直接ご来所いただき、完全個室の空間で、お手元の証拠を一緒に拝見しながら、あなたにとって最善の作戦を立てることを徹底しております。

直接お顔を合わせてお話を伺い、証拠を精査することで初めて、見えてくる事実や、取り得る最善の法的手段があります。これは、数多くの男女問題を解決してきた私たちの実務経験に基づく信念です。

弁護士 平井・柏﨑法律事務所の無料相談へ

北九州市小倉北区に事務所を構える私たち平井・柏﨑法律事務所は、地域に根差した法律の専門家として、ダブル不倫という複雑な問題に真摯に向き合います。

一人で悩みを抱え込まず、まずは専門家と共に、冷静に状況を整理することから始めませんか。ご相談は無料、秘密は厳守いたします。どうぞ安心して、下記までお問い合わせください。

 

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