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ダブル不倫の慰謝料|片方だけに請求できる?減額されるケースは?北九州の弁護士が解説
【まず確認】ダブル不倫でお悩みの方へ
「配偶者と不倫相手、どちらも既婚者だった…」「慰謝料を請求したいが、相手の配偶者から自分も訴えられるのではないか…」
ダブル不倫という複雑な状況に置かれ、誰にも相談できず、強い怒りや不安で夜も眠れない日々をお過ごしかもしれません。
この記事では、ダブル不倫の慰謝料問題に直面している方のために、以下の点を法律の専門家である弁護士が分かりやすく解説します。
- 慰謝料を片方だけに請求できるのか、その場合のメリット・デメリット
- どのような場合に慰謝料が減額されてしまうのか
- 複雑な問題を解決し、次の一歩を踏み出すための具体的な道筋
ダブル不倫の問題は、通常の不倫以上に法律関係が複雑に絡み合い、当事者同士での解決は極めて困難です。感情的な対立が激化し、かえって事態を悪化させてしまうケースも少なくありません。
もしあなたが今、どうすべきか一人で悩み、途方に暮れているのであれば、まずは私たち専門家にご相談ください。平井・柏﨑法律事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料です。お手元にある証拠が法的に有効かどうかの見立ても含め、あなたの状況に合わせた最善の解決策を一緒に考えます。
ダブル不倫の慰謝料請求、その複雑な仕組みとは?
ダブル不倫の慰謝料問題を正しく理解するためには、まずその特殊な構造を知る必要があります。通常の不倫との違いは、登場人物とその間の権利・義務関係の複雑さにあります。
通常の不倫と何が違う?四者が絡む権利関係
通常の不倫では、登場人物は「あなた」「あなたの配偶者」「不倫相手」の3人です。慰謝料を請求する権利を持つのは、裏切られた「あなた」一人です。そして、支払い義務を負うのは、不法行為(民法709条)を共同で行った「あなたの配偶者」と「不倫相手」の2人となります。
一方、ダブル不倫では登場人物が4人になります。
- あなた
- あなたの配偶者(不倫をした側)
- 不倫相手
- 不倫相手の配偶者
この場合、慰謝料を請求する権利を持つのは、「あなた」と「不倫相手の配偶者」の2人になります。そして、支払い義務を負うのは、不倫をした当事者である「あなたの配偶者」と「不倫相手」の2人です。つまり、2つの慰謝料請求権が同時に発生しうる、これがダブル不倫の最大の特徴であり、問題が複雑化する根本的な原因です。
注意すべき「求償権」とは?
ダブル不倫問題をさらに複雑にするのが「求償権(きゅうしょうけん)」という権利です。
不倫の慰謝料は、共同の不法行為として、不倫をした当事者は不真正連帯債務の関係に立つとされ、被害者は各当事者に対して全額請求が可能です。ただし「真正の連帯債務」とは異なる性質があり、求償や時効の影響など法的扱いは事案ごとに異なります(民法第719条等参照)。例えば、あなたが不倫相手から慰謝料200万円を全額受け取ったとします。この場合、不倫相手が被害者に全額支払った場合、後に共同不法行為者である配偶者に対して求償(負担の按分を求める請求)をすることができます。ただし求償の具体的な割合や方法は事案の事情や改正民法・実務の解釈によって異なり、一律に「半分」とは限りません。これが求償権です。
つまり、不倫相手に全額請求して一旦は解決したように見えても、後から不倫相手があなたの配偶者にお金を請求し、結局あなたの家庭のお金が支払われるという事態になりかねません。この求償権の存在を無視して請求を進めると、思わぬトラブルに発展する可能性があるため、細心の注意が必要です。
慰謝料の金額については、不倫・不貞の慰謝料の相場の記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
ダブル不倫の慰謝料、片方だけに請求は可能?

「慰謝料は、配偶者ではなく不倫相手にだけ請求したい」これは、ご相談者様から非常によく寄せられるご質問です。ここでは、片方だけに請求することの可否と、そのメリット・デメリットを解説します。
結論:不倫相手か自分の配偶者、どちらか一方への請求はできる
結論から申し上げますと、法律上、不倫をした当事者の一方(例えば不倫相手)にのみ慰謝料の全額を請求することは可能です。不倫の当事者2人は「不真正連帯債務」という関係にあり、被害者であるあなたは、どちらか一方、あるいは両方に対して、自由に請求することができます。
しかし、「法律上可能であること」と「それが最善の選択であること」は必ずしもイコールではありません。次に解説するメリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
片方だけに請求するメリット
不倫相手にだけ慰謝料を請求する主なメリットは以下の通りです。
- 離婚しない場合に家庭への影響を避けられる:
もしあなたが配偶者と離婚せず、夫婦関係を再構築したいと考えている場合、家計を共にする配偶者に慰謝料を請求しても、結局は家庭内でお金が移動するだけで意味がありません。不倫相手にのみ責任を追及することで、直接的な経済的打撃を家庭外に求めることができます。 - 精神的な満足感:
「配偶者よりも、家庭を壊した不倫相手にこそ責任を取らせたい」というお気持ちは当然のものです。不倫相手にのみ請求を集中させることで、精神的な区切りをつけやすくなる場合があります。 - 手続きの簡素化:
請求相手を一人に絞ることで、交渉や手続きの窓口が一本化され、解決までのプロセスが比較的シンプルになる可能性があります。
片方だけに請求するデメリットと注意点
一方で、片方だけに請求する場合には、看過できないデメリットとリスクが存在します。特に以下の2点は重要です。
- 求償権を行使される可能性:
前述の通り、あなたが不倫相手から慰謝料全額を回収した場合、その不倫相手はあなたの配偶者に対して負担分を請求する「求償権」を行使する可能性があります。結果的に、あなたの家庭からお金が出ていくことになり、家庭内で新たなトラブルの火種となるリスクがあります。 - 不倫相手の配偶者から訴えられる可能性:
あなたが慰謝料請求のアクションを起こすことで、不倫の事実が相手方の家庭にも発覚します。そうなれば、今度は不倫相手の配偶者が、あなたの配偶者に対して慰謝料を請求してくる可能性が十分に考えられます。最悪の場合、お互いが慰謝料を請求し合う「泥沼」の紛争に発展しかねません。
このように、安易に片方だけに請求すると、かえって問題を複雑化させてしまう危険性があります。どの方法がご自身の状況にとって最も有利かは、専門家である弁護士と相談しながら慎重に戦略を立てることが不可欠です。
ダブル不倫で慰謝料が減額・免除されるケースとは?
慰謝料を請求された側にとっては、「少しでも支払う金額を減らしたい」と考えるのは当然のことです。ここでは、特にダブル不倫のケースで慰謝料が減額または免除される可能性がある代表的な事情について解説します。
弁護士の視点:北九州での実務経験から
私たち平井・柏﨑法律事務所は、福岡家庭裁判所小倉支部や福岡地方裁判所小倉支部での離婚・不貞慰謝料事件を数多く担当してまいりました。北九州市(小倉北区・小倉南区・八幡東区・八幡西区・戸畑区など)や行橋市やその近郊にお住まいの方々から日々ご相談をいただく中で感じるのは、特にLINEやSNSのやり取りが不貞の証拠となるケースが非常に多いということです。
しかし、その証拠が法的にどれほどの価値を持つのか、また、これから解説するような減額事由が存在しないかといった点は、専門家でなければ正確な判断が難しい部分です。慰謝料請求は、単に感情をぶつけるだけでなく、法的な根拠に基づいた冷静な主張と立証が求められます。請求する側も、請求される側も、まずは一度、客観的な状況を整理するために弁護士にご相談いただくことを強くお勧めします。
相手方夫婦の関係がすでに破綻していた場合
不倫(不貞行為)によって慰謝料が認められるのは、それが「平穏な婚姻共同生活を送る権利」を侵害する不法行為だからです。裏を返せば、不倫関係が始まる時点ですでに相手方夫婦の関係が修復不可能なほどに壊れていた(破綻していた)場合は、保護されるべき「平穏な婚姻生活」が存在しないため、慰謝料は大幅に減額されるか、場合によっては認められないこともあります。
具体的には、以下のような事情が考慮されます。
- 不倫関係が始まる前から長期間にわたって別居していた
- すでに離婚調停や離婚訴訟を申し立てていた
- 家庭内での会話や交流が全くなく、夫婦としての実態が失われていた
北九州の裁判実務においても、単に「夫婦仲が悪かった」というだけでは破綻とは認められにくく、客観的な事実(別居期間など)が重視される傾向にあります。
自分たちの夫婦関係も破綻していた場合
同様に、慰謝料を請求するあなた自身の夫婦関係が、不倫以前からすでに破綻していた場合も、慰謝料が減額される可能性があります。これも、すでに保護されるべき婚姻生活の実態がなかったと評価されるためです。
ダブル不倫のケースでは、双方の夫婦関係がともに破綻していた、いわば「ダブル破綻」の状態であることもあり得ます。このような状況では、お互いに慰謝料請求権が認められないか、認められても極めて低額になる可能性があります。
相手の配偶者からも慰謝料を支払っている場合
これはダブル不倫特有の減額事由です。例えば、あなたの配偶者が、不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受け、すでに100万円を支払ったとします。その後、あなたが不倫相手に慰謝料を請求した場合、裁判所は「すでに不倫の責任の一部は果たされている」と判断し、あなたが受け取れる慰謝料額から、あなたの配偶者が支払った金額を考慮して減額調整を行うことがあります。
これは、一つの不倫行為に対して二重に賠償を支払うことを避けるための調整です。請求された側にとっては、重要な反論材料となり得ます。
ダブル不倫の慰謝料に関するよくあるご質問(Q&A)
ここでは、ダブル不倫の慰謝料に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. ダブル不倫の慰謝料相場は通常の不倫と変わりますか?
A. 相場自体は大きく変わりませんが、最終的な負担額は減額されやすい傾向があります。
慰謝料額を算定する際の基本的な考え方(不倫の期間・頻度、婚姻期間、子の有無など)は、通常の不倫とダブル不倫で大きくは変わりません。そのため、裁判上の相場としては50万円~200万円程度が一つの目安となります。
ただし、ダブル不倫の場合は、相手方にも有責配偶者がいることや、求償権の問題、相手の配偶者からの請求リスクなど、複雑な事情が絡むため、交渉段階や裁判において、通常のケースよりも減額調整がなされやすい傾向にあると言えます。
Q2. 相手の配偶者から訴えられました。どうすればいいですか?
A. 無視せず、すぐに弁護士に相談してください。
裁判所から訴状が届いたにもかかわらず無視していると、相手の主張が全面的に認められた判決が出てしまい、強制的に財産を差し押さえられる可能性があります。絶対に無視してはいけません。
まずは冷静になり、すぐに弁護士に相談しましょう。弁護士は、請求内容が妥当か、証拠は十分か、こちらに有利な減額事由はないかなどを専門的な観点から検討し、あなたの代理人として適切な対応をとることができます。感情的に反論するのではなく、法的な根拠に基づいて対応することが重要です。北九州市やその近郊にお住まいの方は、当事務所の無料相談をご利用ください。
Q3. お互いが「お互い様」ということで、慰謝料請求なしにできますか?
A. 不倫をした当事者2人だけの合意では不十分です。
不倫をした当事者同士で「お互いの家庭には請求しないでおこう」と口約束をしても、法的な効力はほとんどありません。なぜなら、慰謝料を請求する権利は、不倫をされた配偶者(あなたと、相手の配偶者)にそれぞれあるからです。
あなたが請求しなくても、相手の配偶者があなたの配偶者に請求してくる可能性は残ります。後々のトラブルを防ぐためには、あなた、あなたの配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者の四者全員が合意の上で、示談書などの書面を作成する必要があります。安易な口約束は大変危険です。
北九州でダブル不倫の慰謝料問題は弁護士にご相談ください
ここまで解説してきたように、ダブル不倫の慰謝料問題は、権利関係が複雑に絡み合い、求償権や相手方配偶者からの請求など、多くのリスクを考慮しながら進める必要があります。専門的な知識がないまま当事者同士で交渉しようとすると、問題をさらにこじらせ、精神的にも経済的にも大きな負担を強いられることになりかねません。
感情的な対立を避け、有利な解決を目指すために
ダブル不倫は、当事者全員が強い感情的なショックを受けている状態です。そのため、冷静な話し合いは非常に難しく、些細なことで対立が激化しがちです。
弁護士があなたの代理人として交渉の窓口に立つことで、相手方と直接顔を合わせる精神的負担を軽減できます。また、法律の専門家として、民法709条(不法行為責任)などの法的根拠に基づき、感情論ではなく事実と証拠を元に交渉を進めることができます。求償権の問題なども含めて、将来的なリスクを回避できるような包括的な解決を目指すことが可能です。早期にご相談いただくことが、結果的にあなたの負担を軽くする最善の道筋です。
平井・柏﨑法律事務所の初回無料相談をご利用ください
平井・柏﨑法律事務所は、開設以来、離婚・男女問題に一貫して注力し、北九州市(小倉北区、小倉南区、八幡西区、八幡東区、戸畑区、門司区など)や行橋市といった近郊の皆様から、数多くのご相談をお受けしてまいりました。
当事務所では、離婚・男女問題については初回60分の法律相談を無料で実施しております。無料相談では、以下のような点について具体的なアドバイスが可能です。
- 今後の法的な見通し
- お手持ちの証拠が法的に有効かどうかの判断
- 慰謝料請求が認められる可能性や、おおよその金額の見立て
- ご状況に応じた最適な解決策のご提案
ご相談はプライバシーに最大限配慮した完全個室で行いますので、安心してご自身の状況をお話しいただけます。一人で抱え込まず、まずは専門家である私たちにご相談ください。あなたの心を少しでも軽くし、未来に向けて新たな一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
この記事は、平井・柏﨑法律事務所の弁護士 平井章悟(福岡県弁護士会所属)が監修しました。
最終更新日:2025年12月18日
免責事項:本記事の内容は、一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的アドバイスを保証するものではありません。具体的な問題については、必ず弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
LINEで不倫の証拠になる文言とは?北九州・小倉の弁護士が具体例を解説
LINEのやり取り、不倫慰謝料の証拠になりますか?
パートナーの不倫を疑い、スマートフォンを見てしまったとき、そこには不倫相手との生々しいLINEのやり取りが…。「このLINEは、不倫(不貞行為)の慰謝料を請求するための証拠になるのだろうか?」そうお考えになり、不安と怒りで眠れない夜を過ごされているかもしれません。
結論から申し上げますと、LINEのやり取りは不倫慰謝料を請求する上で非常に有力な証拠になり得ます。ただし、その「内容」が極めて重要です。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉に拠点を置き、これまで数多くの不倫慰謝料に関するご相談をお受けしてきました。その中でも、LINEのトーク履歴に関するご相談は後を絶ちません。多くの方が、「好き」「会いたい」といったメッセージを見てショックを受け、これだけで十分な証拠になると思い込んでいらっしゃいますが、実は法的な観点から見ると、それだけでは不十分なケースが少なくないのです。
この記事では、不倫慰謝料請求において、どのようなLINEの文言が「証拠として有効」で、どのようなものが「不十分」なのかを、具体的な事例を交えながら、離婚・男女問題に注力する弁護士が解説します。
この記事を最後までお読みいただければ、お手元にあるLINEのやり取りがどれほどの証拠価値を持つのか、そして次に何をすべきかが見えてくるはずです。お一人で抱え込まず、まずは正しい知識を身につけることから始めましょう。
【具体例で比較】証拠になるLINE・ならないLINE
不倫慰謝料を請求する上で最も重要なのは、「配偶者と不倫相手との間に肉体関係(不貞行為)があったこと」を証明することです。裁判所(例えば、福岡家庭裁判所小倉支部など)が不貞行為を認定する際も、この点が最大の争点となります。したがって、LINEのやり取りが、この「肉体関係」を直接的または間接的に推認させる内容であるかどうかが、証拠としての価値を大きく左右します。

証拠として有効性が高いLINEの文言例
以下に挙げるようなLINEのやり取りは、肉体関係の存在を強く推認させるため、証拠として非常に有効性が高いと言えます。
- 性行為を直接・間接的に示す内容
例:「昨日は気持ちよかったね」「この前の続き、早くしたいな」「次はもっと激しくてもいいよ」「避妊してくれてありがとう」
→これらは性行為があったことを直接的に示す最も強力な証拠の一つです。 - ホテルや互いの自宅への宿泊を示唆する内容
例:「次の休み、〇〇ホテル予約したよ」「今日は泊まっていける?」「旦那(妻)がいないから、うちに来ない?」
→ラブホテルへの出入りはもちろん、ビジネスホテルや相手の自宅に二人きりで宿泊した事実も、肉体関係を推認させる有力な状況証拠となります。 - 裸の写真や性的な画像のやり取り
→お互いの裸の写真を送り合っている場合などは、親密な関係、ひいては肉体関係があったことを強く推認させます。 - 妊娠や性病に関する会話
例:「もしかしたら妊娠したかも…」「生理が遅れてるんだけど、どうしよう」「変な病気になってないか心配」
→性行為がなければ起こり得ない会話であり、これもまた強力な証拠となり得ます。 - 不倫関係の継続性を示す会話
例:「もう半年も会ってるんだね」「いつになったら奥さん(旦那さん)と別れてくれるの?」
→一度きりの過ちではなく、継続的な不倫関係であったことを示す証拠となり、慰謝料の金額にも影響を与える可能性があります。
これらのメッセージが、具体的な日付や場所に関するやり取りと組み合わさっていると、さらに証拠としての価値は高まります。
これだけでは証拠にならないLINEの文言例
一方で、精神的なショックは大きいものの、それ単体では法的に「肉体関係」の証明には至らないメッセージも存在します。多くの方が誤解されやすい例を見ていきましょう。
- 単なる愛情表現
例:「好きだよ」「愛してる」「会いたいな」「〇〇君が一番だよ」
→これらは親密な関係を示しますが、これだけでは友人や同僚間の冗談や好意の表現であると反論される可能性があります。「プラトニックな関係だった」と言い逃れされる典型的なケースです。 - 食事やデートの約束
例:「今度ランチ行こうよ」「週末、映画でもどう?」
→二人きりで会う約束であっても、昼間の食事や多くの人がいる場所でのデートだけでは、肉体関係の存在を証明することは困難です。 - ハートマークや好意を示すスタンプの多用
→メッセージのやり取りが全体的に親密な雰囲気であっても、スタンプや絵文字だけでは客観的な証拠としては弱くなります。
もちろん、これらのメッセージも全く無意味というわけではありません。他の証拠と組み合わせることで、二人の親密さを示す補強材料にはなり得ます。しかし、これら「だけ」で慰謝料請求に踏み切るのは、非常にリスクが高いということをご理解ください。
「自分のケースはどちらに当てはまるのか分からない…」
そう感じられた方は、自己判断で行動を起こす前に、一度専門家である弁護士にご相談ください。お手元の証拠で請求可能かご心配な場合は、当事務所の無料相談をご利用ください。
LINEの証拠能力を高める!弁護士が教える正しい保存方法
不倫の証拠となるLINEのやり取りを見つけたら、相手に気づかれて削除されてしまう前に、速やかにその内容を保存(証拠保全)しなければなりません。しかし、ただスクリーンショットを撮るだけでは、後に「偽造されたものだ」と反論されるリスクが残ります。ここでは、証拠としての信頼性を高めるための正しい保存方法を解説します。

スクリーンショット撮影時の必須ポイント
最も手軽な方法ですが、以下の点を必ず押さえて撮影してください。これらが欠けていると、証拠としての価値が大きく下がってしまう可能性があります。
- 相手のアカウント名(名前)とアイコンが写るようにする:誰とのやり取りなのかを明確にします。
- メッセージの送受信日時(年月日・時刻)がはっきりと写るようにする:いつの会話なのかを特定するために不可欠です。
- 会話の前後の文脈が分かるように、複数枚を連続で撮影する:一部分だけを切り取ると、都合の良い部分だけを抜き出したと主張される恐れがあります。トークルーム全体を、始めから終わりまで連続して撮影することが理想です。
- 未読のメッセージについては、原状を保ったまま(既読操作などで内容や表示を変更せずに)保存することが望ましい。必要なら弁護士に相談の上、適切な方法で証拠保全を行ってください。
【より確実】スマホ画面を動画で撮影する
スクリーンショットより改ざん疑義は低くなる場合がありますが、動画撮影も原状を維持した方法で行う必要があります。端末の撮影や操作はプライバシーや法的リスクを伴うため、可能なら事前に弁護士に相談して適切な手続きで証拠保全を行ってください。
撮影のポイントは、トーク画面の最初から最後までをゆっくりとスクロールさせる様子を撮影することです。これにより、会話の連続性や一連の流れが明確になり、「途中のメッセージを削除した」「会話の順番を入れ替えた」といった反論を封じることができます。静止画であるスクリーンショットよりも、はるかに高い証拠能力が期待できます。
LINEのテキストデータをバックアップする
LINEには、トーク履歴をテキストファイル(.txt形式)で保存し、メールなどで送信する機能があります。この方法も証拠保全の一つとして有効です。テキストデータは改変が容易であるため、これ単体での証拠能力は限定的ですが、スクリーンショットや動画と組み合わせることで、会話内容の全体像を示す補助的な証拠として役立ちます。
LINEだけでは不十分?証拠を固めるための追加証拠
肉体関係を強く推認させるLINEのやり取りは、それだけでも慰謝料請求の有力な証拠となります。しかし、相手が「冗談だった」「そんなつもりはなかった」などと言い逃れをしてくる可能性も十分に考えられます。請求をより確実なものにするためには、LINEのメッセージ内容を裏付ける客観的な証拠を組み合わせることが非常に重要です。詳しくは不倫慰謝料請求|証拠の集め方と手続きの流れを弁護士が解説のページでも解説していますが、以下のような証拠が有効です。

写真や動画(ラブホテルの出入りなど)
不貞行為の存在を証明する上で、最も直接的で強力な証拠です。二人でラブホテルや相手の自宅に出入りする場面を撮影した写真や動画は、言い逃れを困難にします。撮影日時が分かり、二人の顔がはっきりと認識できることが重要です。
クレジットカードの利用明細や領収書
LINEで「〇〇ホテルに行く」と話していた日に、実際にそのホテルの利用履歴がクレジットカードの明細にあれば、LINEの内容が事実であることを裏付ける強力な証拠となります。その他、不倫相手へのプレゼントの購入履歴や、二人で利用したレストランの領収書なども、親密な関係を示す間接的な証拠として役立ちます。
GPSの移動履歴
車のカーナビやスマートフォンの位置情報アプリの履歴も有効です。LINEで会う約束をしていた日時に、ラブホテル街や不倫相手の自宅付近に長時間滞在していた記録は、客観的な状況証拠として非常に価値があります。これらの証拠を組み合わせることで、相手の「会っていない」という嘘を突き崩すことが可能になります。
これらの証拠をどのように集め、組み合わせれば法的に最も有効なのか、その判断には専門的な知識が必要です。お手元の証拠が十分かどうか、ぜひ一度、当事務所の無料相談で弁護士にご確認ください。
LINEの証拠に関するよくあるご質問(Q&A)
LINEの証拠に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. LINEを勝手に見る行為は違法ですか?
A. プライバシー侵害にあたる可能性があるが、証拠として採否は入手方法や事案ごとの事情により裁判所が判断します。なお、他人のID・パスワードを不正に入手する等の方法は不正アクセス禁止法等に抵触するおそれがあり、刑事責任や証拠としての不利を招く可能性があるため避けてください。
夫婦間であっても、相手の同意なくスマートフォンを見る行為は、法的にはプライバシー権の侵害と判断される可能性があります。しかし、それをもって裁判所が証拠として採用しない、ということは実務上ほとんどありません。ただし、相手のIDやパスワードを不正に入手してログインするなどの行為は「不正アクセス禁止法」に抵触し、刑事罰の対象となるリスクがあるため、絶対に避けるべきです。
Q. 相手がLINEのメッセージを削除してしまいました。
A. 残念ながら、一度削除されたメッセージの復元は極めて困難です。
弁護士がLINE社に照会しても、通信の秘密などを理由にトーク履歴の開示に応じてもらえる可能性は非常に低いです。だからこそ、不審なやり取りを見つけた場合は、相手に気づかれる前に、迅速かつ適切な方法で証拠を保全することが何よりも重要になります。
Q. LINEだけで慰謝料請求はできますか?
A. 内容次第では可能ですが、他の証拠があった方が格段に有利になります。
性行為があったことが明確にわかる生々しいやり取りがあれば、LINEのトーク履歴だけでも慰謝料請求が認められるケースはあります。しかし、相手が「冗談だった」「合意の上ではなかった」などと争ってきた場合、LINEだけでは水掛け論になり、交渉が難航するリスクも高まります。他の客観的な証拠で脇を固めることが、確実な解決への近道です。
北九州・小倉でLINEの証拠にお悩みなら平井・柏﨑法律事務所へ
パートナーのLINEを見てしまい、不倫の事実を知ったときの衝撃は計り知れません。しかし、感情的に相手を問い詰めてしまうと、証拠を隠されたり、逆上されたりして、状況が不利になる可能性があります。
LINEの証拠が法的にどれだけの価値を持つのか、慰謝料請求に向けて他に何が必要なのか。その判断には、法律と裁判実務に関する専門的な知識が不可欠です。
当事務所はこれまで当該裁判所管内で離婚・不貞慰謝料に関する事件を取り扱ってきた経験があります。北九州市(小倉北区・小倉南区・八幡西区・八幡東区・戸畑区・門司区・若松区など)やその周辺地域(行橋市など)にお住まいの方々から、LINEの証拠に関するご相談を日常的に受けております。お手元の証拠で慰謝料請求が可能か、有利に進めるにはどうすればよいか、まずはお気軽にご相談ください。
あなたの心の負担を少しでも軽くし、未来へ向けて新たな一歩を踏み出すためのお手伝いをさせていただきます。
平井・柏﨑法律事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料です。プライバシーに配慮した完全個室で、男性・女性いずれの弁護士が、親身にお話を伺います。まずはお電話またはウェブサイトから、ご予約ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不倫の証拠集め、探偵?自力?北九州の弁護士が解説
不倫の証拠集め、今すぐ相談すべき理由とは?
パートナーの不倫に気づいたとき、「とにかく早く証拠を押さえなければ」と焦るお気持ちは、痛いほどよくわかります。しかし、その焦りが、かえってあなたを不利な状況に追い込んでしまう危険性があることをご存じでしょうか。
ご自身で証拠を集めようと無理に行動した結果、相手に感づかれてしまい、LINEの履歴を消されたり、会うのをやめてしまったりと、証拠が隠滅されるケースは少なくありません。さらに、行き過ぎた調査はプライバシー侵害などの違法行為となり、逆にあなたが慰謝料を請求されかねないのです。
「この証拠は法的に有効なのか?」「どう動くのが最善なのか?」
一人で抱え込まず、行動を起こす前に、まずは私たち法律の専門家にご相談ください。当事務所では、ご来所いただく初回のご相談(60分)は無料です。お手元にある証拠が裁判で通用する可能性があるか、今後どのように証拠を集めていくべきか、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスをいたします。大切なのは、感情的に動く前に、冷静に、そして法的に正しい一歩を踏み出すことです。
もし、今まさにどうすればよいか分からずお困りでしたら、初回相談60分無料|まずはお気軽にご相談ください。あなたの心を少しでも軽くするお手伝いをいたします。
不倫の証拠集め|自力と探偵依頼の徹底比較
不倫の証拠集めには、大きく分けて「ご自身で集める(自力)」方法と、「探偵(興信所)に依頼する」方法があります。どちらが良い・悪いということではなく、あなたの状況や目的によって最適な選択は異なります。ここでは、弁護士の視点から4つの重要な観点で両者を徹底的に比較します。
費用で比較:初期投資とトータルコストの違い
自力での証拠集めの最大のメリットは、費用を抑えられる点です。録音機や小型カメラなどを購入したとしても、数万円程度の出費で済むことが多いでしょう。初期投資をかけずに始められる手軽さがあります。
一方、探偵への依頼は、調査員の人数や時間、難易度にもよりますが、数十万円から、場合によっては100万円以上かかることもあります。この金額だけを見ると、ためらってしまうかもしれません。
しかし、ここで考えていただきたいのが「トータルコスト」の視点です。自力で集めた証拠が不十分だった場合、慰謝料請求が認められなかったり、大幅に減額されたりする可能性があります。これは大きな「機会損失」です。逆に、探偵に依頼して決定的な証拠を得ることで、場合によっては高額な慰謝料が認められ、探偵費用を回収できることもあります。ただし、事案ごとに結果は異なるため個別の判断が必要です。
確実性で比較:裁判で通用する証拠とは?
慰謝料請求や離婚裁判で最も重要になるのが、証拠の「質」と「客観性」です。
自力で集めた証拠は、感情的になっているご本人が収集するため、どうしても客観性に欠けると判断されることがあります。また、法的な知識がないまま集めた証拠は、裁判で「不貞行為(肉体関係)を直接示すものではない」と判断され、証拠能力が認められないリスクが常に伴います。
探偵が作成する調査報告書は、第三者であるプロが、いつ、どこで、誰が、何をしていたかを時系列で詳細に記録し、鮮明な写真や動画で裏付けたものです。その内容は質が高く、客観性にも優れているため、裁判で有力な証拠となる可能性が高いと言えます。
弁護士の視点:北九州の裁判実務から
私たち平井・柏﨑法律事務所は、これまで福岡家庭裁判所小倉支部や福岡地方裁判所小倉支部で、多数の離婚・不貞慰謝料請求事件を取り扱ってまいりました。その経験から申し上げると、裁判所が「不貞行為」の存在を認めるには、やはりラブホテルへ二人で出入りする写真や動画といった、肉体関係を強く推認させる客観的な証拠が極めて重要になります。
もちろん、LINEのやり取りや音声データなども重要な証拠の一部ですが、それだけでは相手に「冗談だった」「会ったが肉体関係はない」と言い逃れされる余地を残してしまいます。裁判官を納得させ、有利な結果を導くためには、言い逃れのできないレベルの証拠を準備することが、何よりも大切なのです。
リスクで比較:違法性と発覚のリスク
自力での証拠集めには、常に法的なリスクがつきまといます。例えば、以下のような行為は違法となる可能性があります。
- パートナーのスマホに無断で監視アプリをインストールする(不正アクセス禁止法違反)
- 不倫相手の自宅の敷地内に侵入して撮影する(住居侵入罪)
- 不倫相手の車にGPSを無断で取り付ける(ストーカー規制法違反やプライバシー侵害)
違法に取得した証拠は、その証拠能力が否定される可能性があり、逆に相手から損害賠償を請求される危険性すらあります。また、調査が相手に発覚すれば、証拠を隠滅され、その後の調査が格段に難しくなるでしょう。
探偵への依頼は、探偵業法という法律に則って調査を行うため、適法に運営されている探偵事務所に依頼すれば、こうした違法行為のリスクを低減できます。プロの技術で相手に気づかれずに調査を進めるため、発覚のリスクも最小限に抑えることが可能です。
精神的負担で比較:一人で抱え込まないために
パートナーの不倫を疑い、自ら尾行や監視を行うことは、想像を絶するほどの精神的苦痛を伴います。裏切られた怒りや悲しみの中で冷静に行動し続けるのは非常に困難であり、心身ともに疲弊してしまう方がほとんどです。

調査というストレスフルな作業を探偵に任せることで、あなた自身は精神的な安定を保ち、今後の生活のことや、弁護士との打ち合わせといった、より重要なことに集中できます。一人で全てを抱え込む必要はありません。専門家の力を借りることは、あなた自身の心を守るためにも有効な手段です。
自分で不倫の証拠を集める場合の7つの方法と注意点
「まずは自分でできる範囲で証拠を集めたい」と考える方のために、弁護士の視点から具体的な方法と、法的な注意点を解説します。「できること」と「やってはいけないこと」の境界線を正しく理解し、安全に証拠収集を行いましょう。
LINE・SNSの記録:どこまでが有効な証拠になる?
LINEやInstagramのDM、Facebookメッセンジャーなどのやり取りは、最も手軽に確認できる証拠の一つです。しかし、単に「好き」「会いたい」といったメッセージだけでは、不貞行為の証拠としては弱いと言わざるを得ません。詳しくは「不倫で証拠にならないものとは?北九州の弁護士が具体例と判断基準を解説」でも解説していますが、証拠として有効性を高めるには、肉体関係があったことを推測させる具体的な内容が重要です。

- 「昨日は楽しかったね」「あのホテル良かったね」など、宿泊をうかがわせる内容
- 性的な内容を含む会話や、裸の写真のやり取り
- 「妊娠したかも」といった、肉体関係を前提とする会話
これらのやり取りを写真に撮る際は、必ず「いつ」「誰が」「誰と」話しているかが分かるように、日付、相手のアカウント名(プロフィール画面)、そして会話の全体が写るように撮影してください。一部分だけのスクリーンショットでは、証拠としての価値が下がってしまう可能性があります。
弁護士の視点:LINE・SNS証拠の実務経験から
北九州市やその近郊にお住まいの方からのご相談でも、LINEやSNSの記録を証拠としてお持ちになる方は非常に多いです。特に職場不倫のケースなどでは、業務連絡を装った巧妙なやり取りがされていることもあります。私たちは、一見すると他愛のない会話に見えても、その前後の文脈や他の証拠と組み合わせることで、不貞の証拠として構成できないかを多角的に検討します。しかし、相手のスマートフォンを盗み見たり、パスワードを無断で入力したりする行為は、プライバシー侵害や不正アクセス禁止法に触れるリスクを伴います。ロックがかかっていない画面を偶然見るなど、合法的な範囲で情報を得ることが大原則です。
写真・動画:撮影で注意すべきプライバシーの問題
不倫相手と二人でラブホテルに出入りする場面や、旅行先で親密そうにしている写真・動画は、非常に強力な証拠となります。しかし、撮影方法には細心の注意が必要です。
- OKな例:公道や商業施設の駐車場など、誰でも立ち入れる場所からの撮影。
- NGな例:不倫相手の自宅マンションの敷地内や、オートロックの共有部分に無断で侵入しての撮影(住居侵入罪)。相手の部屋の中を窓の外から撮影する行為(プライバシー侵害)。
証拠としての価値と、違法行為のリスクは常に隣り合わせです。境界線が曖昧で判断に迷う場合は、ご自身で判断せず、必ず事前に弁護士にご相談ください。
音声の録音:会話の録音は違法?
パートナーや不倫相手が、不貞行為を認める会話を録音できれば、有力な証拠(自白)となります。ここでよく心配されるのが「盗聴」との違いです。
原則として、会話の当事者であるあなた自身が、その会話を相手に無断で録音すること自体は、直ちに違法となるわけではありません。例えば、あなたがパートナーと不倫について話し合っている場面を、ご自身のスマートフォンで録音する行為は問題ありません。
一方で、あなたが参加していない第三者同士の会話を盗聴したり、他人の家に盗聴器を仕掛けたりする行為は、プライバシー侵害となり違法です。
GPSでの位置情報:使い方を誤ると犯罪に
GPSを利用してパートナーの行動を追跡することは、証拠集めのきっかけにはなりますが、その使い方には厳しい法的制限があります。
- 問題ない可能性が高い例:あなたが所有者であり、夫婦の共有財産ともいえる車にGPSを設置する場合。
- 違法となる可能性が高い例:パートナーが通勤専用で使っている会社の車や、不倫相手の車・カバンに無断でGPSを設置する場合(プライバシー侵害、ストーカー規制法違反など)。
また、GPSでラブホテルや特定の異性の家に頻繁に立ち寄っていることが分かっても、それだけでは「一人で行っていた」「友人に会っていた」と言い逃れされる可能性があります。GPSはあくまで行動パターンを把握するための補助的な証拠(状況証拠)と考えるべきでしょう。
不倫の証拠集めに関するよくあるご質問(Q&A)
不倫の証拠集めに関して、ご相談者様からよくいただく質問にお答えします。

Q. 証拠が不十分でも慰謝料請求はできますか?
A. 請求自体は可能ですが、相手が不倫の事実を否定した場合、裁判で立証することが難しくなります。
慰謝料を請求すること自体に、証拠の有無は問われません。しかし、相手が「不倫はしていない」と争ってきた場合、請求する側が不貞行為の存在を証拠によって証明する必要があります。一つの証拠が弱くても、LINEのやり取り、クレジットカードの利用履歴、第三者の証言などを複数組み合わせることで、不貞行為の存在を推認させることができる場合もあります。お手元の証拠で十分かどうかは、専門的な判断が必要です。詳しくは「不貞行為の慰謝料請求|請求できる条件とできないケースを弁護士が解説」のページもご参照ください。
Q. 証拠集めが相手にバレたらどうなりますか?
A. 証拠を隠滅され、その後の証拠集めが非常に困難になります。また、夫婦関係が決定的に悪化するリスクもあります。
一度警戒されると、相手はLINEの履歴をすべて消去したり、GPSを警戒して行動パターンを変えたりと、巧妙に証拠を隠すようになります。そうなると、プロの探偵でも調査は格段に難しくなります。だからこそ、証拠集めは相手に気づかれずに、慎重かつ計画的に進める必要があるのです。
Q. 探偵の費用は高額ですが、依頼する価値はありますか?
A. 慰謝料で費用を回収できる可能性や、違法リスク・精神的負担を回避できる点を考慮すれば、依頼する価値は十分にあると言えます。
特に、婚姻期間が長い、相手や不倫相手の収入・資産が高い、不倫が悪質であるといったケースでは、高額な慰謝料が認められる可能性があり、探偵費用を差し引いても経済的利益を得られることがあります。何より、ご自身で無理をして違法行為に手を染めてしまうリスクや、精神的に追い詰められる負担を考えれば、安全と確実性を専門家に託すメリットは大きいでしょう。
まとめ|証拠集めで迷ったら、まず北九州の弁護士にご相談を
この記事では、不倫の証拠集めについて、「自力で行う方法」と「探偵に依頼する方法」を比較し、それぞれのメリット・デメリットや法的な注意点を解説しました。
- 自力での証拠集めは費用を抑えられますが、証拠の有効性が不十分であったり、違法行為となったりするリスクが伴います。
- 探偵への依頼は費用がかかりますが、裁判で通用する確実な証拠を、安全かつ精神的負担なく得られる可能性が高まります。
どちらの方法を選ぶにせよ、最も重要なのは「行動を起こす前に、専門家である弁護士に相談する」ことです。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、これまで北九州市(小倉北区・小倉南区・八幡西区・八幡東区・門司区・戸畑区・若松区)やその近郊(行橋市など)にお住まいの皆様から、数多くの不倫・男女問題に関するご相談をお受けしてきました。あなたの状況を丁寧にお伺いし、お手元にある情報の価値を判断し、今後の最善の道筋を一緒に考えます。
一人で悩み、危険な橋を渡る必要はありません。まずは当事務所の無料相談をご利用ください。あなたの未来のために、私たちが全力でサポートします。
初回相談60分無料|あなたの状況に最適な証拠集めをアドバイスします
この記事は、平井・柏﨑法律事務所の弁護士 平井章悟(福岡県弁護士会所属)が監修しました。
本記事の内容は、2025年12月12日現在の法令・情報に基づき作成しています。ただし、個別の事情により結論が異なる場合がありますので、具体的な問題については必ず弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不倫慰謝料請求の時効は何年?中断・更新の注意点を北九州の弁護士が解説
不倫慰謝料請求の時効はいつ?基本は「3年」と「20年」
配偶者の不倫が発覚したとき、精神的な苦痛に対する慰謝料を請求する権利があります。しかし、この権利は永久に続くものではなく、「時効」によって消滅してしまう可能性があります。不倫慰謝料請求の時効には、原則として2つの期間が定められています。

この2つの時効は、どちらか早い方が到来した時点で権利が消滅するという関係にあります。まずはこの全体像を理解することが、ご自身の権利を守るための第一歩となります。
原則は「不倫の事実と相手を知ってから3年」
不倫慰謝料請求権の基本的な時効は、「不倫の事実」と「不倫相手が誰であるか(氏名・住所など)」の両方を知った時から3年です。これを短期消滅時効といいます(民法724条1号)。
ここで重要なのは、「両方を知った時」がカウント開始のタイミング(起算点)になるという点です。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 配偶者のスマートフォンから不倫を示すLINEのやり取りを発見したが、相手が誰なのか特定できなかった。
- その半年後、興信所の調査によって、不倫相手の氏名と住所が判明した。
この場合、時効のカウントが始まるのは、LINEを発見した時ではなく、不倫相手の身元が判明した半年後の時点からです。いつから3年なのかを正確に判断するには、具体的な状況を法的な観点から検討する必要があります。
相手が不明な場合でも「不倫から20年」で権利消滅
たとえ不倫相手の身元が分からないままであっても、不倫行為があった時から20年が経過すると、慰謝料を請求する権利は時効によって消滅します(民法724条2号)。
この20年という期間は、以前は「除斥期間」とされ、時効の進行を止める(中断・更新)ことができませんでした。しかし、2020年4月1日に施行された改正民法により、これも「消滅時効」と位置づけられることになりました。これにより、20年の時効期間であっても、後述する「時効の更新」や「完成猶予」といった対抗措置をとることが可能になったのです。ただし、2020年改正民法の適用には経過措置があり、具体的には債権の発生時期等により改正法が適用されるかが異なります。事案によっては改正前の取扱いが問題となるため、個別事案については適用関係を確認する必要があります。これは、被害者の方の権利を守る上で非常に重要な変更点です。
つまり、かなり昔の不倫であっても、状況によってはまだ慰謝料を請求できる可能性が残されているといえます。
【ケース別】時効のカウントが始まる「起算点」はいつから?
時効を正確に理解する上で、最も重要で、そして最も複雑なのが「いつからカウントが始まるのか(起算点)」という問題です。請求する相手や、離婚するかどうかによって起算点は異なります。ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。
ケース1:不倫相手に請求する場合
不倫をした配偶者ではなく、その不倫相手に対して慰謝料を請求する場合、時効の起算点は前述の通り「不倫の事実」と「相手の氏名・住所」の両方を知った時となります。
実務上、いつ「知った」と評価されるかは、証拠に基づいて判断されます。例えば、以下のような時点が起算点となり得ます。
- 探偵の調査報告書で、相手の氏名・住所が記載された報告を受け取った日
- 相手と直接会って話し合い、身元を明かされた日
- 配偶者から、不倫相手の氏名や連絡先が書かれた念書を受け取った日
単に「顔を知っている」「職場の同僚らしい」といった程度の情報では、法的に「加害者を知った」とは認められない可能性が高いです。法的な請求が可能になる程度に相手を特定できた時点が、起算点となります。
ケース2:離婚後に元配偶者へ請求する場合
不倫が原因で離婚に至った場合、元配偶者に対して請求する慰謝料は「不倫慰謝料」だけでなく、「離婚慰謝料(離婚原因を作ったことに対する慰謝料)」としての性質も持ちます。この場合の時効の起算点は、離婚が成立した日から3年となります。
不倫相手への請求(不法行為の時から3年)とは起算点の考え方が異なるため、注意が必要です。離婚という事実によって精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料請求権は、離婚が成立して初めて発生すると考えられるためです。当事務所では、こうした複雑な権利関係を整理し、ご依頼者様にとって最善の解決策をご提案する離婚・男女問題にも力を入れています。
ケース3:離婚せず配偶者に請求する場合
不倫はあったものの、様々な事情から離婚はせず、婚姻関係を継続する選択をされるご夫婦もいらっしゃいます。この場合に、不倫をした配偶者に対して慰謝料を請求しようとしても、時効は進むのでしょうか。
この点について、民法には夫婦間の権利に関する特則があります(民法159条)。これによれば、婚姻関係にある間は、夫婦間の一方の権利について時効は完成しないとされています。具体的には、離婚してから6ヶ月が経過するまでは時効が完成しません。
したがって、婚姻中であっても時効の進行自体は止まらない点に注意が必要です。民法第159条は、婚姻が解消された時から6か月間は時効の完成が猶予される規定(完成猶予)であり、婚姻中に経過した期間が無効になるわけではありません。この規定は、夫婦間の法的な争いをできるだけ避け、関係修復の可能性を考慮したものです。
時効成立を阻止する「時効の更新」と「完成猶予」とは?
「時効が成立する日が迫っているけれど、まだ諦めたくない」。そのような場合に、時効の成立を阻止するための法的な手続きがあります。それが「時効の更新」と「時効の完成猶予」です。(これらは2020年の民法改正前の「時効の中断」に相当する考え方です。)

- 時効の更新:それまで進行していた時効期間がリセットされ、新たにゼロから時効期間がスタートします。
- 時効の完成猶予:一定期間、時効の完成がストップします。その期間が過ぎると、残りの時効期間が再び進行します。
これらの手続きを適切なタイミングで行うことで、大切な慰謝料請求権を守ることができます。もし時効が迫っていると感じたら、一刻も早く専門家にご相談ください。当事務所では、時効が迫っている方は初回無料相談へお越しいただくことを強くお勧めしています。
①裁判上の請求(訴訟、支払督促など)
時効を「更新」させる最も確実で強力な方法が、裁判上の請求です。具体的には、慰謝料請求訴訟を提起したり、支払督促を申し立てたりといった法的手続きを指します。
裁判上の請求を行うと、その手続きが終了するまでの間は時効の完成が猶予されます。そして、判決が確定するなどして権利が認められると、その時から新たに10年の時効期間がスタートします。これは、時効期間が3年から10年に延長されるという非常に大きな効果を持ちます。
②催告(内容証明郵便での請求)
「すぐに裁判を起こすのは難しい」という場合に、まず検討すべき手段が「催告(さいこく)」です。これは、相手に対して慰謝料の支払いを請求する意思を明確に伝えることを指します。
単に電話や普通の郵便で請求するだけでは法的な「催告」とは認められにくく、証拠も残りません。そのため、実務では「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が証明してくれる内容証明郵便を利用するのが一般的です。
内容証明郵便で催告を行うと、時効の完成を6ヶ月間猶予させることができます。ただし、これはあくまで一時的な時間稼ぎの措置です。この6ヶ月の間に訴訟を提起するなど、次の法的な手続きをとらなければ、時効が完成してしまいますので注意が必要です。
③相手による債務の承認
相手方が慰謝料の支払い義務があることを認める「債務の承認」があった場合、時効は更新され、承認があった時点から新たに時効が進行します。
具体的には、以下のような行為が「債務の承認」にあたります。
- 「慰謝料を支払います」という内容の念書や示談書に署名・捺印する
- 慰謝料の一部を実際に支払う
- 「支払いを少し待ってほしい」といった支払猶予を求める書面を提出する
ここで重要なのは、承認があったことを客観的な証拠として残すことです。口頭での約束は、後になって「言った、言わない」の水掛け論になり、トラブルの原因となります。
弁護士の視点:債務承認の証拠化
福岡家庭裁判所小倉支部、福岡地方裁判所小倉支部で多数の離婚・不貞慰謝料案件を扱った経験上、口頭での約束は後のトラブルの原因となります。相手が支払いを認めた場合は、必ず書面に残すことが極めて重要です。LINEやSNSのメッセージも証拠になり得ますが、誰が送信したメッセージか争いになる可能性もゼロではありません。弁護士が作成する法的に有効な書面(示談書や合意書など)を作成することが、将来の紛争を防ぐ最も確実な方法です。
時効中断の失敗例|弁護士が解説するよくある誤解と注意点
時効の制度は複雑で、誤った知識で行動してしまうと、取り返しのつかない事態を招くことがあります。ここでは、ご自身で対応しようとして時効の完成を阻止できなかった、という典型的な失敗例を3つご紹介します。
失敗例1:「請求書を送っただけで時効が中断した」という誤解
最も多い誤解の一つが、「請求書を送ったから大丈夫」と思い込んでしまうケースです。ご自身で作成した請求書を普通郵便で送ったり、相手に直接手渡したり、あるいは口頭で「支払ってください」と伝えたりするだけでは、法的な時効完成猶予・更新の効果は原則として生じません。
前述の通り、時効の完成を6ヶ月猶予させる「催告」として認められるためには、内容証明郵便のように、請求の意思表示をしたことが客観的に証明できる方法で行う必要があります。証拠が残らない方法での請求は、後で相手から「そんな請求は受けていない」と反論された場合、対抗することが非常に困難になります。
失敗例2:「内容証明を送れば時効がリセットされる」という誤解
内容証明郵便は強力なツールですが、その効果を過信してはいけません。内容証明郵便による催告の効果は、あくまで時効の完成を「6ヶ月間猶予」するだけです。時効期間がリセット(更新)されるわけではないのです。
この6ヶ月という猶予期間は、訴訟の準備など、次の法的手続きに進むためのものです。この期間内に何のアクションも起こさなければ、催告はなかったことになり、時効が完成してしまいます。「内容証明を送ったから一安心」と放置してしまい、気づいた時には権利が消滅していた、という事態は絶対に避けなければなりません。
失敗例3:「一部支払われたから安心」と放置してしまう
相手が慰謝料の一部を支払ってきた場合、それは「債務の承認」にあたり、その時点で時効は更新されます。しかし、そこで安心してはいけません。
時効は、その承認(最後の支払い)があった時から、再び進行を始めます。特に分割払いの約束をしたものの、途中で支払いが滞ってしまったケースでは注意が必要です。最後の支払いがあった日から3年が経過してしまうと、残りの金額を請求する権利が時効で消滅してしまう可能性があります。
支払いが滞った場合は、放置せずに速やかに再度請求を行うか、法的な手続きを検討する必要があります。継続的な管理がご自身の権利を守るためには不可欠です。
不倫慰謝料の時効に関するQ&A
ここでは、不倫慰謝料の時効に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 10年前の不倫でも、今から慰謝料請求できますか?
A1. 請求できる可能性はあります。
10年前の不倫であっても、諦めるのはまだ早いです。以下のいずれかのケースに当てはまれば、時効が完成しておらず、請求できる可能性があります。
- 不倫の事実や相手の身元を最近知った場合:不倫相手の氏名・住所を知ったのが3年以内であれば、そこから時効がスタートします。
- 最近離婚した場合:不倫が原因で離婚したのであれば、元配偶者に対しては離婚成立日から3年間は請求可能です。
- 20年の時効が完成していない場合:不倫行為から20年が経過していなければ、権利自体は消滅していません。相手の身元が判明すれば請求の余地があります。
自己判断で諦めてしまう前に、一度弁護士にご相談ください。
Q2. 時効が過ぎてしまったら、もう絶対にお金は取れませんか?
A2. 絶対ではありませんが、請求は極めて困難になります。
時効期間が過ぎただけでは、自動的に請求権が消滅するわけではありません。相手が「時効なので支払いません」と主張(これを「時効の援用」といいます)して初めて、支払い義務が法的に消滅します。
そのため、相手が時効に気づかずに支払いに応じたり、道義的責任を感じて支払ったりする可能性はゼロではありません。しかし、相手が時効を援用すれば、裁判を起こしても請求が認められる可能性は極めて低くなります。時効が過ぎてしまったかもしれないと感じた場合でも、何かできることがないか、弁護士に相談してみる価値はあります。
Q3. 相手が「時効だ」と言ってきたら、どうすればいいですか?
A3. すぐに弁護士に相談してください。自己判断で諦めてはいけません。
相手から「時効だ」と主張された場合、まずはその主張が法的に正しいのかを冷静に検討する必要があります。
- 時効の起算点の認識が相手と自分で食い違っていませんか?
- 過去に、時効の更新や完成猶予にあたる事実(債務の承認など)はありませんでしたか?
例えば、北九州市小倉北区の飲食店で働く相手との不倫で、身元がなかなか判明しなかったケースなど、起算点が争いになることは少なくありません。相手の主張を鵜呑みにせず、法的な対抗策がないか、速やかに専門家である弁護士に相談することが重要です。
時効で悩む前に北九州の弁護士へ相談を【初回相談60分無料】
不倫慰謝料請求の時効は、法律の専門家でなければ正確な判断が難しい複雑な問題です。ご自身で「もう時効だから」と諦めてしまったケースでも、詳しくお話を伺うと、まだ請求の可能性が残されていることは少なくありません。逆に、大丈夫だと思っていたら、気づかないうちに時効が完成してしまっていたという悲しいケースもあります。
大切な権利を失ってしまう前に、そしてこれからの人生を前向きに歩み出すために、まずは専門家にご相談ください。
平井・柏﨑法律事務所の強み
当事務所は、JR小倉駅から徒歩5分の場所にあり、これまで北九州市(小倉北区、小倉南区、八幡西区、門司区など)やその周辺地域にお住まいの皆様から、不倫慰謝料に関するご相談を多数お受けしてまいりました。福岡家庭裁判所小倉支部での不貞慰謝料請求事件の経験も豊富です。
LINEやSNSのやり取り、写真、録音データなど、どのようなものが法的に有効な証拠になるのか、証拠が十分か不安な方も、無料で確認できます。時効が迫っている緊急の案件にも迅速に対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
平井・柏﨑法律事務所では、不倫や離婚の問題でお悩みの方のために、初回60分の法律相談を無料で実施しております。男性弁護士・女性弁護士が在籍しており、あなたのお気持ちに寄り添いながら、法的な解決策を分かりやすくご提案します。ご相談は完全個室でプライバシーにも配慮しておりますので、安心してご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不倫慰謝料を請求できないケースとは?北九州の弁護士が具体例を解説
不倫慰謝料を請求できない?弁護士が解説する6つの典型例
「配偶者に不倫をされた。慰謝料を請求したいが、請求できないケースもあると聞き不安になっている」
「過去の不倫について、今からでも慰謝料を請求できるのだろうか」
パートナーの裏切りによって深い心の傷を負い、当然の権利として慰謝料を請求しようとお考えのことと思います。しかし、慰謝料請求は、必ずしも認められるとは限りません。特定の状況下では、請求が困難になったり、認められなくなったりするケースが存在するのです。
この記事では、離婚・男女問題に注力してきた弁護士が、不倫慰謝料を請求できなくなる代表的な6つのケースについて、法律の専門家の視点から具体的に解説します。
- 慰謝料請求の権利が時効で消滅している
- 不貞行為の前から夫婦関係が破綻していた
- 不貞行為の証拠が不十分である
- 不倫相手に故意・過失がなかった
- すでに十分な慰謝料を受け取っている
- 慰謝料を請求しないという合意(示談)がある
ご自身の状況がこれらのケースに当てはまるのではないかとご不安な方も、この記事を読み進めることで、ご自身の状況を客観的に把握し、次にとるべき行動を考えるための一助となるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
慰謝料請求の権利が時効で消滅している
不倫慰謝料を請求する権利には、「時効」という法律上の期限が定められています。この時効が完成してしまうと、たとえ不倫の事実が明らかであっても、相手方が「時効なので支払いません」と主張すれば、法的に慰謝料を請求する権利は失われてしまいます。この時効制度は、長期間にわたって不安定な法律関係を放置せず、社会の法的安定性を図るために設けられています。
不貞行為の前から夫婦関係が破綻していた
不倫慰謝料は、不貞行為によって「平穏な婚姻共同生活」という法的利益が侵害されたことに対する精神的苦痛を償うものです。したがって、不貞行為が始まる前から、すでに夫婦関係が修復不可能なほどに冷え切り、実質的に破綻していたと判断される場合には、守られるべき「平穏な婚姻共同生活」が存在しないため、慰謝料請求が認められない可能性があります。例えば、長期間の別居や離婚調停中であった場合などがこれに該当することがあります。
不貞行為の証拠が不十分である
慰謝料を請求するためには、配偶者と不倫相手との間に「肉体関係(性交渉またはそれに類する行為)」があったことを、請求する側が証拠に基づいて証明しなければなりません。単に「仲が良さそうだった」「二人きりで食事に行っていた」というだけでは不十分です。相手方が不貞行為の事実を否定した場合、客観的な証拠がなければ、裁判で請求を認めてもらうことは極めて困難になります。
【弁護士の視点】実務で多い証拠とその評価
離婚・不倫問題のご相談を数多くお受けする中で、LINEやSNSのやり取りを証拠としてお持ちになる方は非常に多くいらっしゃいます。確かに、「好きだよ」「早く会いたい」といったメッセージは不倫を推認させる一要素にはなります。しかし、それだけでは肉体関係の直接的な証明にはならず、「親密な関係ではあったが、肉体関係はなかった」と反論される余地が残ります。
実務上、慰謝料請求で特に重要となるのは、ラブホテルへの出入りを撮影した写真や動画、肉体関係があったことを明確に認める会話の録音、あるいは相手方自身が肉体関係を認めた念書など、より直接的な証拠です。職場の同僚との不倫など、証拠集めが難しいケースも少なくありません。どのような証拠が有効か、どうすれば集められるかについては、状況によって大きく異なるため、行動を起こす前に一度、専門家である弁護士にご相談いただくことを強くお勧めします。
不倫相手に故意・過失がなかった
不倫相手に対して慰謝料を請求するには、相手方に「故意」または「過失」があったことが必要です。つまり、①交際相手が既婚者であることを知っていた(故意)、または、②少し注意すれば既婚者だと気づけたはずなのに不注意で気づかなかった(過失)という事情がなければなりません。
例えば、相手が独身であると偽っていた場合や、夫婦関係が完全に終わっていると信じ込まされていたようなケースでは、不倫相手に故意・過失がなかったとして、慰謝料請求が認められない可能性があります。
すでに十分な慰謝料を受け取っている
不貞行為は、配偶者と不倫相手の二人が共同で行う「共同不法行為」です。そのため、被害者であるあなたは、どちらか一方または双方に対して、被った精神的苦痛の全額について慰謝料を請求できます。
しかし、例えば配偶者から既に慰謝料を受け取っている場合、裁判所はその既受領額を考慮して不倫相手への請求額を調整することがあります。事情によっては重複請求が制約されるため、具体的な可否および調整の可能性については個別に弁護士にご相談ください。
慰謝料を請求しないという合意(示談)がある
過去に不倫が発覚した際に、当事者間で「今後、慰謝料は請求しません」といった内容の示談書や合意書を取り交わしている場合、原則として、その合意の効力によって後から慰謝料を請求することはできません。ただし、その示談の後に再び不貞行為があった場合など、状況によっては新たな不法行為として別途慰謝料を請求できる可能性もあります。

【ケース1】慰謝料請求の「時効」に関する詳しい解説
慰謝料請求権の時効は、請求相手や状況によって起算点(時効期間のカウントが始まる時点)と期間が異なります。特に重要なのは「3年」と「20年」という2つの期間です。
不倫相手に対する慰謝料請求権の時効
- 原則:不倫の事実と不倫相手を知った時から3年
- 例外:不倫があった時から20年
配偶者に対する慰謝料請求権の時効
- 離婚しない場合:上記と同じ(不倫の事実と相手を知った時から3年)
- 離婚する場合:離婚が成立した時から3年
最も注意すべきは、不倫相手に対する請求の時効です。多くの場合、「不倫の事実」と「相手の素性(氏名や住所など)」の両方を知った時点から3年のカウントダウンが始まります。例えば、1年前に夫の不倫が発覚し、その時に相手の女性の氏名も判明したという場合、そこから3年が経過すると時効が完成してしまう可能性があります。
時効の完成を阻止する「更新」と「完成猶予」とは?
「時効が迫っているけれど、まだ話し合いがまとまらない…」そんな状況でも、諦める必要はありません。法的には、時効の完成を一時的にストップさせたり(完成猶予)、時効期間をリセットしたり(更新)する方法が用意されています。
| 方法 | 効果 | 具体例 |
|---|---|---|
| 裁判上の請求(訴訟提起など) | 完成猶予 → 更新 | 裁判所に慰謝料請求訴訟を提起する。訴訟手続き中は時効の完成が猶予され、判決が確定すれば時効はリセット(更新)され、そこから新たに10年の時効となる。 |
| 支払督促 | 完成猶予 | 簡易裁判所に支払督促を申し立てる。申立てが却下されるか取り下げられると、その時から6か月間、時効の完成が猶予される。 |
| 催告(内容証明郵便など) | 完成猶予 | 内容証明郵便で慰謝料の支払いを請求する。相手に到達した時から6か月間、時効の完成が猶予される。ただし、猶予期間中に裁判上の請求などを行う必要がある。 |
| 債務の承認 | 更新 | 相手方が「慰謝料を支払います」と認めたり、一部を支払ったりする。承認があった時点から、時効期間が新たにリセットされる。 |
特に実務でよく用いられるのが、内容証明郵便による「催告」です。これにより、時効完成を6か月間猶予してもらい、その間に交渉や訴訟の準備を進めることができます。どの方法が最適かは状況によりますので、時効が迫っている場合は、一刻も早く弁護士にご相談ください。
Q&A:10年前の不倫でも請求できる場合はありますか?
A. はい、請求できる可能性はあります。
10年前の不倫であっても、慰謝料請求を諦めるのはまだ早いかもしれません。以下のケースに当てはまる場合は、請求の可能性があります。
- 不倫の事実や相手を最近知った場合
前述のとおり、時効は原則として「不倫の事実と不倫相手を知った時から3年」です。例えば、10年前の不倫であっても、その事実をつい1か月前に知ったという場合は、そこから3年間は慰謝料を請求できる可能性があります。 - 不倫が継続していた場合
10年前に始まった不倫関係が、途切れることなく最近まで続いていた場合、一連の不法行為とみなされ、関係が終わった(または発覚した)時点から時効が進行すると考えられます。 - 除斥期間(20年)が経過していない場合
たとえ不倫の事実や相手を知らなかったとしても、「不貞行為があった時から20年」が経過すると、慰謝料請求権は完全に消滅します。逆に言えば、20年以内であれば、最近になって事実を知った場合に請求できる可能性があるということです。
過去の不倫に関する慰謝料請求は、時効の起算点の判断が非常に難しく、法的な専門知識が不可欠です。「もう無理だろう」とご自身で判断される前に、ぜひ一度、弁護士にご相談ください。

【ケース2】「夫婦関係の破綻」をめぐる裁判所の判断基準
不倫慰謝料請求において、「不貞行為の前から夫婦関係は破綻していた」という反論は、相手方から主張されることが非常に多いものです。しかし、「破綻」の法的な認定は、単に「夫婦仲が悪かった」というだけでは認められず、裁判所は客観的な事実に基づいて慎重に判断します。
裁判所が夫婦関係の破綻を判断する際に考慮する主な事情は以下のとおりです。
- 長期間の別居:夫婦が別居している期間が長ければ長いほど、破綻が認められやすくなります。
- 離婚に向けた具体的な行動:離婚調停の申立て、離婚届の作成、弁護士への依頼など、離婚に向けた具体的なアクションがあったか。
- 家庭内別居の実態:同居していても、食事や寝室が別々で、会話もほとんどないといった家庭内別居の状態が長期間続いていたか。
- 経済的な協力関係の有無:生活費を渡していないなど、夫婦間の経済的な協力関係が失われているか。
- 性的交渉の有無:長期間にわたり性交渉がないことも、判断材料の一つとなります。
【北九州における実務経験から】
私たち平井・柏﨑法律事務所は、福岡家庭裁判所小倉支部や福岡地方裁判所小倉支部で、数多くの離婚・不貞慰謝料案件を取り扱ってまいりました。その経験から申し上げますと、北九州地域の裁判実務においても、単なる「性格の不一致」や「喧嘩が多かった」といった主観的な事情だけで「破綻」が簡単に認められることはありません。裁判所は、上記の要素を総合的に考慮し、「もはや婚姻関係を修復することが社会通念上不可能な状態に至っていたか」という厳しい目で判断します。相手方から「破綻していた」と主張されても、安易に諦める必要はありません。
「破綻していた」と反論されたら?有効な証拠と対抗策
不倫相手から「あなたの配偶者から『もう夫婦関係は終わっている』と聞いていた」と反論されるケースは少なくありません。このような主張に対抗し、婚姻関係が破綻していなかったことを証明するためには、客観的な証拠が重要になります。
【破綻していなかったことを示す有効な証拠の例】
- 不貞行為が始まる直前の時期に、家族で旅行に行ったり、誕生日を祝ったりしている写真や動画
- 夫婦や家族の仲睦まじい様子がうかがえるSNSの投稿
- 定期的に性的交渉があったことを示す手帳の記録やメールのやり取り
- 協力して子どもの学校行事に参加していた事実
- 将来の計画(家の購入など)について話し合っていたメールやLINE
- 親族や共通の友人の陳述書
これらの証拠を準備し、「平穏な婚姻生活が確かに存在していた」ことを具体的に主張していくことが、相手の反論に対抗する上で極めて有効です。
「破綻」の判断は個別の事情に大きく左右されます。ご自身のケースが法的にどう評価されるかについては、専門家である弁護士の意見を聞くことが不可欠です。
慰謝料請求できるか不安な方は北九州の弁護士へご相談ください
ここまで、不倫慰謝料を請求できない具体的なケースについて解説してきました。ご自身の状況を当てはめてみて、請求できるのか、それとも難しいのか、かえって不安が大きくなってしまった方もいらっしゃるかもしれません。
不倫慰謝料を請求できるか否かの最終的な判断は、法的な専門知識に基づき、お手元にある証拠を的確に評価した上で行う必要があります。ご自身で「これは請求できないケースだ」と判断し、本来得られるはずだった正当な権利を諦めてしまうのは、非常にもったいないことです。
特に、時効が迫っている場合や、証拠が散逸してしまう恐れがある場合は、一刻も早い対応が求められます。証拠は時間が経つほど集めにくくなり、相手方が削除してしまうリスクも高まります。早期にご相談いただくことで、証拠の保全方法について具体的なアドバイスができ、有利な解決に繋がる可能性が高まります。
もし少しでもご不安な点があれば、ぜひ一度、私たち平井・柏﨑法律事務所の無料相談のご予約はこちらをご利用ください。この記事で解説した内容はあくまで一般的なものであり、個別の事情によって結論は大きく異なる可能性があることをご理解ください。より詳しい情報については、当事務所のウェブサイトにて「不貞行為の慰謝料請求|請求できる条件とできないケースを弁護士が解説」といったテーマの記事も掲載しておりますので、ご参照ください。
平井・柏﨑法律事務所にご相談いただくメリット
当事務所は、JR小倉駅から徒歩5分というアクセスしやすい場所にあり、北九州市およびその近郊にお住まいの皆様から、離婚・男女問題に関するご相談を受け付けています。
- 離婚・男女問題に注力しています
事務所開設以来、一貫して離婚・男女問題に力を入れており、特に不倫慰謝料請求については豊富な経験とノウハウを有しています。 - 男女弁護士在籍による相談のしやすさ
当事務所には男性弁護士と女性弁護士がそれぞれ在籍しております。「同性の弁護士に話を聞いてほしい」といったご希望にも柔軟に対応可能です。 - 初回相談60分無料(※法律相談の範囲に限ります。書面作成や代理事件受任は別途費用が発生します)
費用を気にせず、まずはお悩みを詳しくお聞かせください。
ご相談から解決までの流れ
当事務所へご相談いただく際の、基本的な流れは以下の通りです。
- お問い合わせ(お電話・メールフォーム)
まずはお電話またはウェブサイトのメールフォームから、ご相談の日時をご予約ください。 - 無料法律相談(60分)
弁護士が直接お会いし、お話を詳しく伺います。プライバシーに配慮した完全個室で対応いたしますのでご安心ください。この場で、今後の見通しやリスク、弁護士費用について丁寧にご説明します。 - ご契約
弁護士からの説明にご納得いただけましたら、委任契約を締結します。ご依頼を無理強いすることは一切ございません。 - 事件対応・解決
ご依頼者様にとって最善の解決が得られるよう、弁護士が相手方との交渉や裁判手続きを代理人として進めてまいります。
一人で悩み続けることは、精神的にも大きな負担となります。そのお悩みを私たち専門家にお話しいただくことで、心の負担が軽くなるだけでなく、解決への道筋が明確になるはずです。まずはお気軽にお問い合わせください。
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(監修者情報)
この記事は、平井・柏﨑法律事務所の弁護士 平井 章悟(福岡県弁護士会所属)の監修のもと作成されています。
最終更新日:2025年12月5日

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不倫で証拠にならないものとは?北九州の弁護士が具体例と判断基準を解説
不倫の証拠で慰謝料請求が決まる?まずは基本を知ろう
「配偶者が不倫しているかもしれない…」「不倫の証拠らしきものは見つけたけれど、これで慰謝料を請求できるのだろうか…」
パートナーの裏切りを知り、心に深い傷を負いながらも、必死の思いで証拠を集めていらっしゃる方は少なくありません。しかし、その集めたものが、法的な手続きにおいて「証拠」として認められるとは限らないのが現実です。
不倫の慰謝料請求では、客観的な「証拠」が何よりも重要です。もし有効な証拠がなければ、相手が事実を認めない限り、請求は非常に困難になります。
この記事では、離婚・男女問題に注力してきた私たち弁護士が、どのようなものが「不倫の証拠にならないのか」、その具体例と判断基準を専門家の視点から詳しく解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、証拠にならないものに時間と労力を費やすことを避け、ご自身の状況を冷静に把握し、次にとるべき最善の一手を考える一助となれば幸いです。
慰謝料請求の根拠「不貞行為」とは?
不倫の慰謝料を請求する法的な根拠は、民法709条に定められた「不法行為」にあります。そして、裁判所が慰謝料支払いを命じる不法行為とは、一般的に「不貞行為」があった場合です。
この「不貞行為」とは、法律上、「配偶者以外の異性と、自由な意思に基づいて肉体関係(性交渉およびそれに類する行為)を持つこと」と定義されています。
多くの方が「不倫」と聞いてイメージする、二人きりの食事やデート、親密なメッセージのやり取りだけでは、原則として「不貞行為」とは認められません。裁判所は、あくまで「肉体関係があったか否か」を客観的な証拠に基づいて判断します。この定義が、後に解説する「証拠にならないもの」を理解する上での大前提となります。
なぜ「証拠にならない」ものが存在するのか?
では、なぜ「証拠にならない」ものが存在するのでしょうか。その答えは、前述の「不貞行為」の定義にあります。つまり、「肉体関係があったことを直接証明できないから」です。
例えば、二人が親密そうに食事をしている写真があったとしても、それだけでは「友人や同僚と食事をしていた」と言われれば、それ以上の追及は難しくなります。裁判所は、当事者の感情や推測ではなく、客観的な事実に基づいて判断を下す機関です。
したがって、単に仲が良いことを示すだけの状況証拠では、「不貞行為があった」と断定するには不十分であり、「推測の域を出ない」と判断されてしまうリスクがあるのです。だからこそ、証拠の有効性を冷静に見極める視点が不可欠となります。
【一覧】不倫の証拠にならない・なりにくい具体例10選
私たち平井・柏﨑法律事務所は、これまで福岡家庭裁判所小倉支部や福岡地方裁判所小倉支部における数多くの離婚・不貞慰謝料に関する裁判を経験をしてきました。その豊富な実務経験から、ご相談者様が証拠としてお持ちになるものの、残念ながらそれ単体では「不貞行為」の証明としては不十分と判断されやすいケースを10個、具体的に解説します。
①二人きりの食事やデートの写真・動画
配偶者と不倫相手が二人きりで食事をしていたり、楽しそうに街を歩いていたりする写真や動画。これらは裏切られた側にとって大変ショックなものですが、法的には証拠として弱いと言わざるを得ません。
なぜなら、これらの行為は友人や同僚の関係でもあり得るため、「肉体関係があった」ことの直接的な証明にはならないからです。ただし、他の証拠と組み合わせることで、二人の親密さを示す状況証拠の一つとして意味を持つ場合はあります。

②「好き」「会いたい」だけのLINEやSNSのやり取り
「好きだよ」「早く会いたいな」といった愛情表現を含むLINEやSNSのメッセージも、それだけでは不貞行為の証拠としては不十分です。
このようなやり取りは、精神的なつながり(プラトニックな関係)を示すものに過ぎず、肉体関係の存在を証明するものではないと判断される可能性があります。特にLINEやSNSに関するご相談は非常に多いですが、慰謝料請求で有効な証拠とするには、より踏み込んだ内容が必要です。
例えば、性交渉があったことをうかがわせる「昨日は楽しかったね」「次はいつ泊まれる?」といった具体的なやり取りがあれば、証拠としての価値は格段に高まります。より詳しい証拠の集め方については、「不倫慰謝料請求|証拠の集め方と手続きの流れを弁護士が解説」のページでも解説していますので、ご参照ください。
③キスやハグをしている写真・動画
キスやハグは、二人きりの食事よりも親密な行為ですが、これらも法的な「不貞行為(=肉体関係)」そのものではありません。そのため、キスやハグの写真・動画だけでは、慰謝料請求が認められない可能性があります。
ただし、これらの行為が夫婦の婚姻関係の平穏を害する行為であることは間違いありません。そのため、不貞行為とは認められなくとも、別の不法行為として、限定的な金額ではあるものの慰謝料が認められる可能性はゼロではありません。このあたりの判断は非常に専門的になりますので、弁護士にご相談ください。
④ビジネスホテルやシティホテルの領収書
ラブホテルへの出入りが確認できれば強力な証拠となりますが、ビジネスホテルやシティホテルの場合は注意が必要です。これらのホテルは、出張や一人での宿泊など、業務やプライベートで一人で利用することも考えられるためです。
特に、領収書の名義が配偶者一人分であった場合、「一人で宿泊した」と反論されると、それを覆すのは容易ではありません。二人で宿泊したことを示す別の証拠(例:ホテルの出入りを撮影した写真など)が必要になります。
⑤プレゼントや高価な食事のレシート
配偶者が不倫相手に高価なプレゼントを贈っていたり、高級レストランで食事をしたりしたことがわかるレシートやクレジットカードの明細。これらは二人の親密な関係を推測させるものですが、残念ながら肉体関係を直接証明するものではありません。
これらもあくまで、複数ある証拠の一つとして、二人の関係性の深さを示す状況証拠という位置づけになります。
⑥GPSの位置情報履歴のみ
GPS発信機を車に取り付け、ラブホテルや不倫相手の自宅に長時間滞在していた記録が取れたとします。これは不貞行為を強く疑わせる有力な情報ですが、GPSの記録だけでは証拠として不十分です。
なぜなら、GPSは場所と時間を示すだけで、「誰とそこにいたか」までは証明できないからです。「一人で休憩していた」「友人と会っていた」などと言い逃れされる可能性があります。GPSの情報は、必ずホテルに出入りする二人の写真など、他の証拠と組み合わせることが不可欠です。
⑦第三者からの「見た」という伝聞情報
ご友人や知人から「ご主人が女性とホテルに入っていくのを見た」といった目撃情報を得ることがあります。しかし、このような第三者からの伝聞(又聞き)は、それだけでは法的な証拠になりにくいのが実情です。
目撃者の記憶が曖昧であったり、個人的な感情が混じっていたりする可能性があり、客観性に欠けると判断されがちです。その証言を法的に有効なものにするためには、裁判所で証言してもらったり、詳細な内容を記した「陳述書」を作成し署名押印してもらったりするなどの手続きが必要となり、ハードルは決して低くありません。
⑧避妊具や浮気相手の私物が家にあったという事実
普段使わないはずの避妊具が見つかったり、明らかに自分のものではない女性もののアクセサリーが車から出てきたりした場合、不貞行為を強く推認させます。
しかし、これらも決定的な証拠とはなりにくい側面があります。「誰のものか分からない」「いつからそこにあったか知らない」といった反論をされる可能性があるからです。写真などで記録を残しておくことは重要ですが、これも他の証拠と組み合わせて立証していく必要があります。
⑨職場での親密な様子や二人きりの残業
職場不倫でよくご相談いただくのが、「いつも二人きりで残業している」「飲み会でも隣に座って親密そうに話している」といったケースです。
しかし、これらの行為は業務の一環であったり、単なる仲の良い同僚としての行動であったりする可能性を否定できません。職場での様子だけでは、不貞行為の証明は困難です。業務時間外や休日に、二人きりで会っている証拠(デートや旅行、ホテルへの出入りなど)が必要となります。

⑩配偶者の自白を録音したが、強要が疑われるもの
配偶者を問い詰めて、不貞行為を認めさせた自白の録音は、証拠となり得ます。しかし、その取得方法には注意が必要です。
大声で怒鳴りつけたり、長時間にわたって問い詰めたりして、無理やり言わせたような自白は、相手の自由な意思に基づかないもの(任意性に疑いがある)として、裁判で証拠能力が否定されるリスクがあります。あくまで、冷静な状況下で、相手が自発的に事実を話している録音であることが重要です。
不十分な証拠を「使える証拠」に変える弁護士の視点
ここまで「証拠にならない・なりにくい」例を挙げてきましたが、どうか諦めないでください。一つひとつは弱くても、複数の証拠を組み合わせることで、不貞行為の事実を強く推認させ、慰謝料請求を可能にする「合わせ技」という考え方があります。ここからは、不十分な証拠を「使える証拠」に変えるための弁護士の視点について解説します。

証拠の「強弱」を評価する判断基準とは
私たち弁護士は、ご相談者様がお持ちになった証拠を評価する際、主に以下の3つの基準でその「強弱」を判断しています。
- ①肉体関係との関連性(直接性)
その証拠が、どれだけ直接的に肉体関係の存在を示しているか。例えば、ラブホテルに出入りする写真や動画は関連性が非常に強く、二人きりの食事の写真は弱い、ということになります。 - ②客観性(言い逃れの余地のなさ)
誰が見ても明らかで、言い逃れが難しい証拠であるか。当事者のメッセージよりも、第三者が発行したクレジットカードの明細や、日時が記録された写真の方が客観性は高くなります。 - ③複数存在するか(継続性・頻度)
不貞行為が一度きりではなく、継続的に行われていることを示す証拠があるか。複数の証拠があり、不貞の頻度や期間が長ければ、それだけ悪質と判断され、慰謝料の金額にも影響します。
これらの基準に照らし合わせ、お手持ちの証拠を多角的に見直すことで、その価値を冷静に評価することができます。
弱い証拠を組み合わせ、立証価値を高める方法
単体では弱い証拠も、戦略的に組み合わせることで、その立証価値を飛躍的に高めることが可能です。これは、点と点を線で結び、裁判官に「これだけの証拠が揃えば、肉体関係があったと考えるのが自然だ」と確信させるストーリーを構築する作業です。
例えば、LINE・職場不倫・SNSなど、私たちが実務でよく扱う証拠の組み合わせパターンには、以下のようなものがあります。
- 「LINEで会う約束」 + 「同日の飲食店のクレジットカード明細」 + 「GPSでのラブホテル街への滞在記録」 + 「翌日の『昨日はありがとう』というLINE」
- 「二人きりの出張のスケジュール」 + 「同日のホテルで、一つの部屋の予約が確認できる領収書」 + 「二人で観光地を訪れている写真」
- 「SNSの裏アカウントでの親密なやり取り」 + 「相手の自宅マンションに出入りする車のドライブレコーダー映像」 + 「『今から行くね』という通話録音」
このように、様々な証拠を時系列に沿ってパズルのように組み合わせることで、言い逃れのできない強固な立証を目指します。諦めかけていた証拠も、専門家である弁護士の視点で見れば、重要なピースとなる可能性があるのです。
注意!証拠が無効になるケースと違法収集のリスク
証拠を集めることに必死になるあまり、行き過ぎた行動に出てしまうと、その証拠が裁判で使えなくなる(証拠能力が否定される)ばかりか、ご自身が法的な責任を問われるという深刻なリスクがあります。専門家の立場から、証拠収集の際に絶対に避けるべき注意点について解説します。
プライバシー侵害にあたる証拠収集とは
相手のプライバシーを著しく侵害する方法で得た証拠は、「違法収集証拠」として裁判所に提出しても証拠として採用されない可能性があります。それどころか、相手からプライバシー侵害を理由に損害賠償請求(慰謝料請求)をされてしまう危険性すらあります。
具体的には、以下のような行為が該当する可能性があります。
- 配偶者のスマートフォンに無断で監視アプリ(スパイアプリ)をインストールする
- IDとパスワードを無断で使い、PCのメールやSNSのダイレクトメッセージを盗み見る
- 相手のメールを自分のアドレスに自動転送されるよう、無断で設定する
夫婦間であっても、個人のプライバシーは尊重されなければなりません。感情に任せた行動は禁物です。
住居侵入罪や器物損壊罪に問われる可能性
プライバシー侵害だけでなく、刑事罰の対象となる犯罪行為にまで及んでしまうケースも想定されます。
- 住居侵入罪:不倫の証拠を探すために、不倫相手の自宅やマンションの敷地に無断で立ち入る行為。
- 器物損壊罪:相手の車にGPSを取り付ける際に、バンパーなどを傷つけてしまう行為。
- 不正アクセス禁止法違反:他人のID・パスワードを無断で使用して、SNSやクラウドサービスなどにログインする行為。
精神的に追い詰められる中で、冷静な判断が難しくなるお気持ちは痛いほど分かります。しかし、一線を越えた行動は、ご自身の立場を著しく不利にしてしまいます。どのように証拠を集めればよいか分からなくなった時こそ、専門家である弁護士にご相談ください。
証拠が不十分でも諦めないで。北九州の弁護士にご相談ください
「自分の持っている証拠では、慰謝料請求は無理かもしれない…」
ここまで読んで、そのように不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、どうか一人で結論を出してしまう前に、一度私たちにご相談ください。
ご自身では「弱い」と感じる証拠でも、専門家の目から見れば十分に有効な証拠となり得ることや、他の証拠と組み合わせることで活路が見いだせるケースは少なくありません。また、裁判をしなくても、相手との交渉次第で解決できる可能性も十分にあります。
弁護士だからできること:証拠の精査と今後の最善策のご提案
不倫問題について弁護士にご相談いただくことには、以下のような大きなメリットがあります。
- お手持ちの証拠の有効性を法的に、かつ客観的に評価できます。
- もし証拠が不足している場合、どのような証拠を追加で集めるべきか、そしてその合法的な収集方法について具体的にアドバイスできます。
- 訴訟(裁判)という選択肢だけでなく、相手との交渉によって早期解決を図るための戦略を立てることができます。
感情的になりがちな問題だからこそ、法律の専門家が冷静な第三者として介入することで、ご依頼者様にとって最善の解決への道筋を照らすことができるのです。
北九州で不倫問題にお悩みなら、まずはお早めにご相談を
私たち平井・柏﨑法律事務所は、JR小倉駅から徒歩5分というアクセスしやすい場所に事務所を構え、これまで北九州市およびその近郊の皆様から、多くの離婚・不倫問題のご相談をお受けしてまいりました。地域の皆様のお悩みに寄り添い、最善の解決策をご提案することを使命としています。
不倫の証拠は、時間が経つと相手によって削除されたり、入手が困難になったりするリスクが常に伴います。問題解決の第一歩は、できるだけ早く専門家に相談し、現状を正確に把握することです。
平井・柏﨑法律事務所では、不倫の慰謝料請求に関する初回のご相談は60分無料でお受けしています。ご相談はプライバシーに最大限配慮した完全個室で行いますので、どうぞご安心ください。証拠が消されてしまう前に、まずはお気軽にお問い合わせください。事務所の場所など、詳しくは「事務所概要・アクセス」のページをご覧ください。
あなたの心を少しでも軽くし、未来へ向けて新たな一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
まずはこちらの初回60分無料|平井・柏﨑法律事務所の法律相談へお申し込みください。
不倫の証拠に関するよくあるご質問(Q&A)
Q. 別居後の不倫の証拠は、慰謝料請求に使えますか?
A. 夫婦関係がすでに修復不可能な状態に陥り「破綻」していた後の不貞行為については、原則として慰謝料請求は認められません。そのため、別居後に不貞行為があった場合、「別居時点で夫婦関係が破綻していたか否か」が大きな争点となります。単に別居しているという事実だけでなく、別居に至った経緯や期間、その間の夫婦の交流状況などを総合的に考慮して判断されるため、専門的な検討が必要です。
Q. 夫が風俗に通っていた場合、お店の女性に慰謝料請求できますか?
A. 原則として、困難であると言えます。風俗店の従業員は、あくまで業務として性的なサービスを提供しています。慰謝料請求が認められる不法行為には「故意・過失」が必要ですが、風俗店の従業員には「相手が既婚者と知りながら、その夫婦関係を破綻させよう」という意図(故意)があったとは通常考えにくいためです。ただし、お店の外で個人的な恋愛関係となり、継続的に会っていたような場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不倫を否定された時の対処法|証拠集めの失敗談と慰謝料請求|北九州の弁護士が解説
配偶者の不倫、しかし本人は「否定」。まず何をすべきか
「不倫しているでしょう」と問い詰めても、配偶者は「そんな事実はない」と頑なに否定する。あなたは、裏切られた悲しみや怒り、そしてどうすればいいのか分からない焦りで、心が張り裂けそうな思いをされていることでしょう。そのお気持ちは、痛いほどよく分かります。
しかし、このような状況で最も避けなければならないのは、感情のままに行動してしまうことです。相手を激しく問い詰めたり、証拠もないのに不倫相手とされる人物に接触したりすることは、かえってあなたの立場を不利にしてしまいます。
この記事では、不倫を否定する配偶者に対して、どのように冷静に対処し、法的に有効な証拠を集め、慰謝料請求という正当な権利を実現していくのか、その具体的な道筋を法律の専門家である弁護士が解説します。まずは落ち着いて、ご自身の未来のために今何をすべきかを一緒に考えていきましょう。
なぜ不倫を認めないのか?否定する配偶者の3つの心理
相手がなぜ事実を認めないのか、その心理を理解することは、今後の対応を冷静に進める上で非常に重要です。不倫を否定する配偶者には、主に次のような心理が働いていると考えられます。

①証拠はないだろうという慢心・楽観
最も多いのが、「決定的な証拠はないはずだ」と高をくくっているケースです。スマートフォンの中身を消去したり、用心深く行動したりしているため、言い逃れができると楽観視しています。このタイプの相手に中途半端な証拠を突きつけても、「それは友人と食事に行っただけだ」などと巧みに言い逃れをされてしまうでしょう。それだけでなく、あなたの追及をきっかけに警戒心を強め、より巧妙に証拠を隠してしまうリスクが非常に高いのです。
②あなたとの関係を壊したくないという保身
不倫という過ちを犯しながらも、あなたとの夫婦関係や家庭を失いたくないという思いから、事実を否定するケースもあります。この場合、配偶者は罪悪感を抱いているかもしれませんが、それ以上に「離婚したくない」「子どもと離れたくない」といった自己保身の気持ちが強く働いています。関係修復を望む気持ちが少しでもあるのかもしれませんが、まずは事実と向き合わなければ、本当の意味での再構築はあり得ません。
③慰謝料の支払いや社会的制裁から逃れたい
不倫の事実を認めれば、慰謝料という金銭的な負担が発生します。また、職場や親族、友人に知られてしまうことによる社会的な信用の失墜を恐れる気持ちも、事実を認めさせない大きな要因となります。特に、社会的地位のある方や、世間体を気にするタイプの方は、この傾向が強いと言えるでしょう。この心理を理解しておくことは、後の交渉において、相手が何を守ろうとしているのかを見極める助けとなります。
【失敗談】証拠がない段階で問い詰めることの危険性
不倫を確信したとき、多くの方が衝動的に相手を問い詰めてしまいます。しかし、これは慰謝料請求において、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。

弁護士としての経験から
これまで多くのご相談をお受けしてきましたが、最も悔やまれるのは、「決定的な証拠がない段階で相手を問い詰めてしまった」というケースです。
感情が抑えきれず相手に不倫の事実をぶつけてしまった結果、配偶者は警戒心を最大限に高め、スマートフォンにロックをかけ、SNSのアカウントを削除し、行動も極めて慎重になります。こうなってからでは、私たちが介入しても、法的に有効な証拠を新たに見つけ出すことは極めて困難になります。
「もし、問い詰める前に一度ご相談いただけていれば…」。そうすれば、証拠を保全する方法や、相手に気づかれずに情報を集める具体的なアドバイスができたはずです。そのほんの少しのタイミングの違いで、慰謝料請求の道が閉ざされてしまうこともあるのです。このことを、どうか心に留めておいてください。
不倫を認めさせるには?裁判でも通用する証拠の種類
不倫(法律上は「不貞行為」といいます)を理由に慰謝料を請求するためには、配偶者と不倫相手との間に「肉体関係があったこと」を証明する客観的な証拠が必要です。ここでは、どのような証拠が裁判で有効とされるのか、その重要度をレベル分けして解説します。

【証拠レベル:高】肉体関係を直接示す証拠
これらは、不貞行為の存在を直接的に証明できる、最も強力な証拠です。
- ラブホテルに出入りする写真や動画
- 配偶者や不倫相手が、不貞行為を認めている音声データや録画
- 探偵事務所が作成した、客観的な事実に基づく調査報告書
特に、二人がラブホテルに入り、一定時間滞在した後に二人で出てくる様子が鮮明に撮影された写真や動画は、言い逃れのできない決定的な証拠となります。
【証拠レベル:中】肉体関係を推認させる証拠
単体では弱くても、複数組み合わせることで肉体関係の存在を強く推測(推認)させることができる証拠です。
- 「愛してる」「また泊まりたい」など、肉体関係をうかがわせるLINE、メール、SNSのメッセージ
- 二人で宿泊したことが分かるホテルの予約履歴や領収書
- 不倫相手の自宅に長時間(特に深夜から早朝にかけて)滞在していることが分かる記録
- 配偶者が不倫の事実を認めた念書や誓約書
特にLINEなどのメッセージは、頻度や内容の親密さ、やり取りが続いた期間なども考慮され、重要な証拠となり得ます。
【証拠レベル:低】状況証拠(他の証拠との組み合わせが重要)
これら単体では不貞行為の証明は難しいですが、他の証拠と組み合わせることで、全体の信憑性を高める役割を果たします。
- 二人きりで食事をした際のレシートやクレジットカードの明細
- 不倫相手へのプレゼントの購入履歴
- カーナビの走行履歴や、ETCカードの利用履歴
- 配偶者の手帳やカレンダーにある、不倫相手と会っていたことを示すメモ
これらの状況証拠を丹念に集め、レベル中・高の証拠と結びつけることで、より強固な立証が可能になります。
自分でできる証拠集めの方法と違法にならないための注意点
ご自身で証拠を集める際には、その方法が違法行為にならないよう細心の注意が必要です。合法的な範囲で行える証拠収集の方法と、その注意点を解説します。
| 方法 | 注意点 |
|---|---|
| スマートフォンの確認 | 夫婦間で明示的にロックを共有している等、閲覧に同意がある場合は問題になりにくい一方で、安易に第三者のアカウントや端末のロックを解除したり、パスワードを不正に取得・使用すると不正アクセス禁止法違反やプライバシー侵害(民事責任)、場合によっては窃盗等の刑事責任が生じる可能性があるため、注意が必要です。 |
| 写真・動画の撮影 | 公開されている場所(道路、レストラン、商業施設など)での撮影は基本的に問題ありません。ただし、他人の住居の敷地内に無断で立ち入って撮影すると、住居侵入罪に問われる可能性があります。 |
| 音声の録音 | 自分と相手(配偶者など)の会話を当事者の一方だけが録音することは、単独では直ちに刑事罰の対象とならない場合が多く、民事裁判で証拠として採用されることもあります。ただし、住居侵入や盗聴器設置など別の違法行為を伴う録音や、録音の態様や取得経緯によっては証拠能力が否定されたり刑事・民事責任を問われる可能性があるため、録音による証拠収集は慎重に行う必要があります。 |
| GPSでの追跡 | ストーカー規制法等の改正により、本人の承諾なく他人の所持物(車等)に位置情報取得装置を取り付けて位置情報を取得する行為は規制・罰則の対象となり得ます。夫婦共有と考えられる場合でも所有関係・利用状況や具体的事実で結論が変わるため、安易にGPSを設置するのは避け、設置の合法性については事前に弁護士にご相談ください。 |
証拠集めは、常に法的なリスクと隣り合わせです。少しでも不安を感じたら、行動に移す前に弁護士にご相談ください。
不倫を否定されても慰謝料請求は可能!具体的な3ステップ
有効な証拠が揃えば、たとえ相手が不倫を否定し続けていても、法的な手続きに則って慰謝料を請求することが可能です。その具体的な流れを3つのステップでご説明します。
ステップ1:内容証明郵便による慰謝料請求
まず、弁護士の名前で、不貞行為の事実と慰謝料を請求する旨を記載した「内容証明郵便」を配偶者と不倫相手に送付します。内容証明郵便は、「誰が、いつ、どのような文書を差し出したか」の事実を日本郵便が証明するものであり、相手が「受け取っていない」などと主張することを防ぐ効果があります。ただし、内容証明は文書の記載内容(事実の真偽)を裏付ける証拠とは別であり、実際の請求の成否は別途収集した証拠により判断される点には注意が必要です。
法律の専門家である弁護士からの正式な書面が届くことで、相手に強い心理的プレッシャーを与え、真摯な対応を促す効果が期待できます。
ステップ2:弁護士を介した示談交渉
内容証明郵便の送付後、相手方から連絡があれば、弁護士が代理人として示談交渉を開始します。ご自身で直接交渉すると、どうしても感情的になってしまい、話し合いがこじれてしまうことが少なくありません。弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、法的な根拠に基づいて冷静かつ有利に交渉を進めることができます。
交渉がまとまった際には、後々のトラブルを防ぐために、合意内容(慰謝料の金額、支払方法、接触禁止条項など)を明記した「示談書」を作成します。この示談書を公正証書にしておけば、万が一支払いが滞った場合に、裁判を経ずに強制執行(給与の差し押さえなど)を行うことも可能になります。
ステップ3:離婚調停・裁判(訴訟)
交渉での解決が難しい場合や、相手が請求を完全に無視する場合には、家庭裁判所に調停や裁判(訴訟)を申し立てます。離婚も同時に求める場合は「離婚調停」の中で慰謝料について話し合います。不倫相手にのみ請求する場合や、離婚せずに慰謝料のみを請求する場合は、地方裁判所に「損害賠償請求訴訟」を提起します。
特に裁判では、これまで集めてきた客観的な証拠が、あなたの主張を裏付ける上で決定的に重要となります。法廷での主張や立証活動は非常に専門的であるため、この段階では弁護士のサポートが不可欠と言えるでしょう。
不倫の慰謝料請求、弁護士に相談すべき理由とタイミング
不倫問題に直面したとき、なぜ弁護士に相談することが重要なのでしょうか。その理由と、相談に最適なタイミングについてご説明します。
弁護士に依頼するメリットは数多くあります。
- 精神的な負担の軽減:つらく複雑な交渉や手続きの窓口をすべて弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されます。
- 法的に有効な証拠収集のアドバイス:何が有効な証拠になるか、どうすれば合法的に集められるか、専門的な視点から具体的なアドバイスを受けられます。
- 適正な慰謝料額の算定と交渉:過去の裁判例などに基づき、あなたのケースにおける適正な慰謝料額を算定し、相手方と対等以上に交渉を進めることができます。
- 煩雑な法的手続きの代理:内容証明郵便の作成から、示談書の作成、調停や裁判に至るまで、専門的で複雑な手続きをすべて代理します。
では、いつ相談すべきか。それは「配偶者の不倫を疑った、その時点」がベストなタイミングです。先述の通り、相手を問い詰めてしまう前にご相談いただくことで、取りうる選択肢が格段に広がります。当事務所の弁護士料金についても、事前に丁寧にご説明いたしますので、ご安心ください。
北九州で不倫・不貞の慰謝料請求にお悩みの方へ
配偶者に不倫をされ、さらにその事実を否定されることは、精神的に非常に大きな苦痛を伴います。お一人で悩み、どうしてよいか分からなくなってしまうのは当然のことです。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、事務所開設以来、離婚・男女問題、特に不倫の慰謝料請求に注力し、豊富な解決実績を積み重ねてまいりました。ご相談に来られた方の心を少しでも軽くし、未来に向けて新たな一歩を踏み出すお手伝いをすることが、私たちの使命です。
当事務所では、離婚・男女問題に関する初回の法律相談は60分無料です。男性弁護士、女性弁護士が在籍しており、ご希望に応じて対応が可能です。プライバシーに最大限配慮した完全個室で、あなたのお話を親身にお伺いします。
事務所はJR小倉駅から徒歩約5分と、アクセスしやすい場所にございます。一人で抱え込まず、まずは専門家である私たちにご相談ください。あなたの正当な権利を守るため、全力でサポートいたします。
どうぞお気軽に初回60分無料相談はこちらをご利用ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不倫相手が既婚か不明な慰謝料請求|北九州の弁護士が解説
「不倫相手が既婚者かも…」こんなお悩みありませんか?
「もしかして、付き合っている相手は既婚者かもしれない…」
「『独身だ』と信じていたのに、嘘をつかれていたことがわかった…」
交際相手の言葉を信じて真剣にお付き合いをしていたにもかかわらず、ふとした瞬間に既婚者である可能性が頭をよぎり、強い不安に襲われる方は少なくありません。あるいは、すでに相手が既婚者であると知り、騙されていたことへの怒りと、今後のご自身の身に何が起こるのかという恐怖で、冷静な判断ができない状態に陥っている方もいらっしゃるでしょう。
- 相手の配偶者から、突然高額な慰謝料を請求されたらどうしよう…
- 「知らなかった」では済まされないのだろうか?
- 騙されていた私が、なぜ責任を負わなければならないのか納得できない。
- むしろ、騙した相手に責任を追及したいが、どうすれば良いかわからない。
- 集めておくべき証拠はあるのだろうか?
このようなお悩みは、誰にも相談できず、お一人で抱え込んでしまうケースが非常に多いです。しかし、法的な知識がないまま自己判断で行動してしまうと、本来負う必要のない責任を負わされたり、逆に請求できるはずの権利を失ってしまったりする危険性があります。
この記事では、不倫・男女問題の解決に注力してきた北九州市の弁護士が、不倫相手が既婚者か不明な場合の慰謝料請求について、法的責任の分かれ道から、具体的な証拠集め、ケース別の対処法まで、専門家の視点から詳しく解説します。あなたの不安を少しでも軽くし、次の一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
慰謝料請求の分かれ道「故意・過失」とは?

不倫(不貞行為)の慰謝料請求が認められるかどうかを判断する上で、法律上、最も重要な概念が「故意・過失」です。これは、民法第709条に定められた不法行為の成立要件の一つです。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
不貞行為のケースに当てはめて簡単に説明すると、以下のようになります。
- 故意:相手が既婚者であると「知っていた」うえで、肉体関係を持った場合。
- 過失:相手が既婚者であるとは「知らなかった」ものの、そのことについて「注意すれば気づけたはずだ(不注意があった)」と判断される場合。
つまり、慰謝料の支払い義務は、「知っていた」場合だけでなく、「知らなかった」としても、それに落ち度(不注意)があれば発生する可能性があるのです。この「故意・過失」の有無は重要な判断要素ですが、過失の有無は複数の具体的事情(裁判例・事実認定)により判断されます。より詳しい慰謝料請求の流れについては、「不倫・不貞、貞操権侵害の慰謝料請求の流れ」のページもご参照ください。
慰謝料の支払い義務が生じるケース(故意・過失あり)
「故意」、つまり相手が既婚者だと知っていた場合はもちろん、慰謝料の支払い義務が生じます。問題となるのは、主に「過失」が認定されるかどうかです。裁判実務上、以下のような事情があると、「注意すれば既婚者だと気づけたはずだ」として過失が認定されやすくなる傾向があります。
- 土日や祝日、夜間に会えないことが多かったり、電話に出なかったりした。
- 相手の自宅や部屋に入れてもらえなかった。
- 指輪を外した跡があった、あるいは普段は指輪をしていないのに特定の場面でしていた。
- マッチングアプリで出会ったが、身分証明書の確認が義務付けられていないアプリだった。
- 相手が「離婚協議中だ」「別居している」と話していた(婚姻関係が破綻していない限り、法的には既婚者です)。
- 職場が同じで、相手の言動に不自然な点があった。
これらの事情が複数重なると、「社会通念上、既婚者であることを疑うべき状況だった」と判断され、過失が認定される可能性が高まります。
慰謝料の支払い義務が生じないケース(故意・過失なし)
一方で、慰謝料の支払い義務が生じないのは、「故意・過失がなかった」と法的に認められるケースです。つまり、「相手が既婚者だと知らず、そう信じたことについて落ち度もなかった」と主張し、それを証明する必要があります。
しかし、単に「独身だと言われたから信じた」というだけでは、過失がないと認めてもらうのは容易ではありません。支払い義務が否定される可能性があるのは、相手が非常に巧妙かつ悪質にあなたを騙していたようなケースです。
- マッチングアプリで「独身」と偽り、プロフィールも作り込んでいた。
- 偽造した独身証明書を見せられた。
- 自身の親族や友人を「独身の友人」として紹介された。
- 「結婚しよう」と具体的な話を進め、両親への挨拶なども済ませていた。
このように、相手が積極的に独身であるかのように偽装していた場合、「知らなかった」という主張が認められる可能性が出てきます。ただし、そのハードルは決して低くないことを理解しておく必要があります。
相手が既婚か独身か不明なときの確認方法と注意点
「もしかして…」と疑念を抱いた初期段階では、どうやって事実を確認すればよいか悩むことでしょう。ご自身でできる確認方法には、以下のようなものがありますが、それぞれメリットとデメリット、そして法的なリスクが伴います。
SNSの調査
相手の名前や関連情報で検索し、別の(いわゆる裏)アカウントを探す方法です。家族写真などが投稿されていることもあります。ただし、確実な情報が得られるとは限りません。
共通の知人への聞き込み
信頼できる共通の知人がいれば、探りを入れることも考えられます。しかし、情報が相手に伝わり、関係が悪化したり、証拠を隠されたりするリスクがあります。
興信所・探偵事務所への依頼
費用はかかりますが、プロの調査員が合法的な範囲で身元調査を行います。客観的な証拠が得られる可能性が高いですが、費用が高額になることもあります。
【注意点】
事実を確かめたい一心で、相手のスマートフォンを無断で見る、GPSを仕掛ける、勤務先に問い合わせるなどの行為は、プライバシー侵害や不正アクセス禁止法などに抵触する違法行為となる可能性があります。絶対に行わないでください。不安な場合は、行動を起こす前に弁護士にご相談ください。
「知らなかった」と主張するための証拠集め
もし相手の配偶者から慰謝料を請求された場合に「故意・過失はなかった」と反論するため、あるいは、騙されていたことに対して相手に慰謝料(貞操権侵害)を請求するためには、客観的な証拠が不可欠です。
感情的に「騙された!」と訴えるだけでは、法的な主張としては認められません。「相手が独身であると信じ、そう信じるのが当然の状況であったこと」を裏付ける証拠を集めることが極めて重要になります。
有効な証拠の具体例(LINE、SNS、音声データなど)
証拠としての価値が高いのは、相手が「独身である」と明確に、あるいは示唆している客観的な記録です。
- LINEやメールのやり取り:「独身だよ」「結婚しよう」「君と家族になりたい」といったメッセージのスクリーンショット。
- SNSのプロフィールやDM:マッチングアプリのプロフィール画面(「未婚」のステータス表示や「独身者限定」の記載があるもの)、SNS上での「恋人募集」といった投稿など。
- 音声データや動画:相手が独身であると発言している会話の録音や、結婚を約束する様子の動画。
- 写真:婚約指輪を渡された際の写真や、二人で結婚式場の下見に行った際の写真など。
- 知人・友人の証言:相手があなたの友人に対して「独身だ」と話していた場合、その友人による陳述書や証言。
これらの証拠は、相手があなたを騙す意図があったこと、そしてあなたがそれを信じるのも無理はなかったことを示す強力な材料となり得ます。
証拠収集における注意点と弁護士への早期相談の重要性
証拠集めにおいて、最も避けたいのが「相手に感づかれて証拠を消される」ことです。相手を問い詰めた結果、LINEの履歴を全て削除されたり、SNSのアカウントを消されたりするケースは後を絶ちません。
また、前述の通り、違法な手段で集めた証拠は、裁判で証拠として採用されないばかりか、あなたが逆に損害賠償を請求される原因にもなりかねません。
「おかしいな」と感じたら、まずは冷静になり、相手に何も告げずに弁護士にご相談ください。どのような証拠が有効か、どうすれば合法的に確保できるか、専門的な視点から具体的なアドバイスが可能です。証拠が失われる前に手を打つことが、あなたの未来を守るために最も重要なことなのです。
ケース別|慰謝料請求への具体的な対応
あなたが今置かれている状況によって、とるべき対応は大きく異なります。ここでは代表的な2つのケースについて、具体的な対処法を解説します。
相手の配偶者から慰謝料請求された場合の対処法
ある日突然、相手の配偶者やその代理人弁護士から内容証明郵便で慰謝料請求の通知書が届くことがあります。このような場合、慌てて連絡を取ったり、その場で示談書に署名することは慎重にすべきです。まずは書面の内容を確認の上、弁護士に相談することをお勧めします。
まずは以下の手順で冷静に対応しましょう。
- 請求内容の確認:請求されている金額はいくらか、どのような事実を根拠に請求されているのかを正確に把握します。
- 安易な連絡・合意は避ける:一度謝罪したり、支払いを認めたりすると、後から「故意・過失はなかった」と主張するのが非常に困難になります。
- 弁護士に相談する:通知書を持参の上、速やかに弁護士にご相談ください。弁護士が代理人として交渉の窓口となることで、精神的な負担が大幅に軽減されるだけでなく、法的な根拠に基づいて支払いの拒否や減額交渉を有利に進めることが可能になります。
「故意・過失がなかった」ことを立証できれば、慰謝料を支払う義務はありません。仮に過失が認定される可能性がある場合でも、請求額が不当に高額であるケースも多いため、専門家による交渉で大幅に減額できる可能性は十分にあります。
騙した相手に慰謝料請求したい場合(貞操権侵害)
既婚者であることを隠して交際し、肉体関係を持った相手に対しては、あなたが受けた精神的苦痛に対して慰謝料を請求できる可能性があります。これは「貞操権侵害」という不法行為に基づくものです。
貞操権とは、「誰と性的な関係を持つかを自由に決定する権利」のことであり、独身であると偽って肉体関係を求める行為は、この権利を違法に侵害するものと評価されます。
慰謝料の金額は、交際期間、結婚の約束の有無、妊娠・中絶の有無など、個別の事情によって大きく変動しますが、過去の裁判例などでは数十万円から数百万円程度の範囲で認められるケースが見られます。
請求の具体的な手続きは、まず内容証明郵便で請求書を送り、相手との交渉を開始します。交渉で合意できなければ、裁判所での調停や訴訟といった法的手続きに進むことになります。
騙された怒りや悲しみを抱えたまま、ご自身で相手と直接交渉するのは精神的に非常につらい作業です。弁護士が代理人として交渉を行い、法的観点から請求の可否などを検討します。適切な法的対応により救済を図れる可能性があります。
北九州で不倫相手の既婚・独身問題にお悩みなら当事務所へ
ここまで解説してきたように、不倫相手が既婚者か不明な場合の慰謝料問題は、「故意・過失」の判断、有効な証拠の有無、具体的な交渉の進め方など、法的な専門知識がなければ適切に対応することが非常に困難です。ご自身の判断で行動した結果、不利な状況に陥ってしまう前に、ぜひ一度、法律の専門家である弁護士にご相談ください。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、事務所開設以来、離婚・男女問題に注力しています。特に、不倫慰謝料の請求・被請求事案も取り扱っており、豊富な経験がございます。事務所が所在する北九州市の福岡家庭裁判所小倉支部での案件も手がけており、地域の実情に即した対応が可能です。
ご相談に来られた方の心を少しでも軽くし、未来に向けて新たな一歩を踏み出すお手伝いをすること。それが私たちの理念です。あなたのお悩みに親身に寄り添い、最善の解決策を一緒に見つけさせていただきます。
離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料です。一人で抱え込まず、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 相手と別れれば、慰謝料は払わなくていいですか?
A1. いいえ、別れたからといって、過去の不貞行為に対する慰謝料の支払い義務がなくなるわけではありません。不貞行為の時点で、相手の配偶者が被った精神的苦痛に対する賠償責任は発生しています。
Q2. 慰謝料に時効はありますか?
A2. はい、あります。不倫の慰謝料請求権は、原則として「不貞行為の事実」と「不倫相手が誰か」を知った時から3年で時効により消滅します。ただし、個別の状況によって起算点が変わる場合があるため、注意が必要です。
まとめ【弁護士監修】
交際相手が既婚者か独身かわからない状況は、慰謝料を請求されるリスクと、騙された被害者として請求できる権利が複雑に絡み合う、非常にデリケートな問題です。
慰謝料の支払い義務の有無は「故意・過失」によって決まりますが、これを法的に判断するには専門的な知識が不可欠です。「知らなかった」と主張するためには、相手が独身であると信じさせるような言動があったことを示す客観的な証拠が重要になります。
もし相手の配偶者から慰謝料を請求された場合は、安易に合意せず、すぐに弁護士に相談してください。逆に、あなたが騙されていた立場であれば、貞操権侵害として慰謝料を請求できる可能性があります。
いずれのケースにおいても、早期に弁護士に相談することが、あなたの正当な権利を守り、不利益を回避するための最善の策です。北九州市およびその近郊でこの問題にお悩みの方は、ぜひ一度、当事務所の無料相談をご利用ください。
【監修】
弁護士 平井 章悟(福岡県弁護士会所属)
平井・柏﨑法律事務所
※本記事は、不倫慰謝料に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個別の事案における法的な見解やアドバイスを提供するものではなく、具体的な状況によっては本記事の内容が当てはまらない場合もございます。個別の法律相談については、必ず弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
別居前に弁護士へ相談すべき理由|北九州の弁護士が解説
「少し距離を置きたい…」別居を考え始めた北九州のあなたへ
「もう、この人と一緒にいるのは限界かもしれない…」「少し冷静になるために、距離を置きたい」
北九州市(小倉北区、小倉南区、八幡、門司など)で、パートナーとの関係に悩み、このようなお気持ちで「別居」という選択肢を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、その一方で、「感情的に家を飛び出して、後で不利になったらどうしよう」「別居後の生活費や子供のことはどうなるの?」といった、漠然とした、しかし非常に重い不安が胸にのしかかっているかもしれません。何から準備すればいいのか、誰に相談すればいいのか分からず、ただ時間だけが過ぎていく…。そのお気持ち、私たちは痛いほどよく分かります。
衝動的に家を出てしまうことは、時にご自身の立場を法的に著しく不利にしてしまう危険性をはらんでいます。この記事は、そんなあなたが後悔のない一歩を踏み出すために、なぜ「別居の前」に弁護士へ相談することが極めて重要なのかを、具体的な理由と準備リストを交えて解説するものです。
なぜ別居「前」の弁護士相談が重要なのか?3つの理由
「別居してから考えればいい」と思っていませんか?実は、その考えが将来のあなたを苦しめることになるかもしれません。別居後のご相談では「もっと早く来てくだされば…」と感じるケースが少なくないのです。ここでは、別居「前」の弁護士相談がなぜ重要なのか、3つの決定的な理由をご説明します。
理由1:不利な状況を作らないため
感情の高ぶりから一方的に家を出てしまうと、相手方から「夫婦関係を一方的に破綻させた有責配偶者である」と主張されるなど無用な争点を作ってしまう可能性があります。
別居前に弁護士にご相談いただければ、あなたのご状況を法的な観点から整理し、相手にどのような理由を伝えて別居すべきか、どのような手順を踏むのが最も安全かといった、具体的な戦略を一緒に考えることができます。軽率な行動でご自身を追い詰めてしまう前に、まずは専門家にご相談ください。
理由2:有利な証拠を確保するため
将来的に離婚や慰謝料請求を有利に進めるためには、客観的な「証拠」が極めて重要です。そして、その証拠の多くは、相手と同居している間にしか収集できないものがほとんどです。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 不貞行為(不倫)をうかがわせるLINEやメールのやり取りの画面写真
- 配偶者のクレジットカードの利用明細や領収書
- DVやモラハラを記録した音声データや日記
- 財産状況を示す資料(後述)
別居前に弁護士に相談することで、あなたのケースではどのような証拠が必要で、それをどのように合法的に、かつ安全に収集すればよいか、具体的なアドバイスを得ることができます。証拠の有無が、最終的に得られる慰謝料の額や離婚条件を大きく左右することを、ぜひ知っておいてください。
理由3:お金の問題で後悔しないため
別居後の生活設計を考える上で、お金の問題は避けて通れません。特に重要なのが、別居中の生活費である「婚姻費用」と、離婚時に財産を分け合う「財産分与」です。
婚姻費用は、収入の多い方から少ない方へ支払われる生活費です。その金額は、夫婦双方の収入に基づいて算定されます。そのため、相手の正確な収入を証明する資料(源泉徴収票、給与明細、確定申告書など)を確保しておくことが不可欠です。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を公平に分ける制度です。預貯金、不動産、生命保険、有価証券などが対象となりますが、別居後に相手が財産を隠したり、使い込んだりしてしまうケースは後を絶ちません。
別居前に弁護士に相談し、相手の収入資料や財産リスト(預金通帳のコピー、保険証券の写真など)を事前に確保しておくことで、正当な金額の婚姻費用や財産分与を受け取れる可能性が格段に高まります。場合によっては、相手が財産を動かせないように「仮差押え」などの法的な保全手続きを検討することも可能です。お金の問題で泣き寝入りしないために、事前の準備が何よりも大切です。
別居前に必ず確認!弁護士と進めるべき準備リスト
「相談の重要性はわかったけれど、具体的に何をすればいいの?」という方のために、弁護士と一緒に確認・準備すべき事項をリストにまとめました。ご相談に来られる前に、ご自身で可能な範囲でチェックしてみてください。
【お金】婚姻費用と財産分与の準備
別居後の生活と、将来の財産分与で損をしないための準備です。
- 相手の収入がわかる資料:源泉徴収票、給与明細(直近1年分)、課税証明書、確定申告書など。コピーや写真でも構いません。
- 夫婦の共有財産がわかる資料:
- 預金通帳(夫婦それぞれの名義、お子様名義のものも含む)のコピーや写真
- 生命保険証券、学資保険証券のコピーや写真
- 不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)や固定資産税評価証明書
- 自動車の車検証
- 有価証券(株、投資信託など)の取引残高報告書
- 住宅ローンなどの残高がわかる資料
これらの資料は、福岡家庭裁判所小倉支部での調停や裁判においても、あなたの主張を裏付ける客観的な証拠として極めて重要になります。
【お子様】親権・面会交流の準備
お子様がいらっしゃる場合、これが最も重要な項目かもしれません。親権者の判断において、裁判所は「これまでどちらが主として子の監護(世話)をしてきたか(監護の継続性)」を非常に重視します。
- 監護実績を示す資料:母子手帳、保育園や幼稚園の連絡帳、学校からの手紙、予防接種や病院の領収書など、ご自身がお子様の世話を主として担ってきたことがわかるものを集めておきましょう。
【証拠】離婚原因に関する証拠収集
相手の不貞行為(不倫)やDV、モラハラなどが別居・離婚の原因である場合、その証拠を集めておくことが慰謝料請求などのために不可欠です。
- 不貞行為の証拠:肉体関係を推認させるLINE・メール・SNSのやり取り、写真、動画、探偵の調査報告書、クレジットカードの利用明細(ラブホテルの利用履歴など)
- DV・モラハラの証拠:暴力を受けた際の怪我の写真、医師の診断書、暴言を録音した音声データ、精神的に追い詰められた経緯を記録した日記
これらの証拠は、相手の行為が民法上の不法行為(民法709条)にあたることを証明し、慰謝料を請求する際の強力な武器となります。特に職場不倫など第三者が関わる場合、証拠の収集方法や使い方を誤ると、名誉毀損などで逆に訴えられるリスクもゼロではありません。法的に問題のない、有効な証拠を確保するためにも、専門家である弁護士のサポートは不可欠です。
【生活】別居後の住まいと生活の確保
法的な準備と並行して、現実的な生活基盤を整えることも重要です。
- 住居の確保:ご実家に戻る、新たに賃貸アパートを契約するなど、別居後の住まいを確保しましょう。
- 当面の生活費:別居後、婚姻費用がすぐに支払われるとは限りません。少なくとも2〜3ヶ月分の生活費を準備しておくと安心です。
- 公的支援の確認:お住まいの市区町村(北九州市など)の役所で、児童扶養手当や住宅手当などの公的支援制度について情報を集めておきましょう。
弁護士は法的な問題解決の専門家ですが、私たちはあなたの新しい生活の第一歩が少しでも安心できるものになるよう、こうした生活再建に関する情報提供も行っています。
北九州・小倉の平井・柏﨑法律事務所にご相談ください
ここまでお読みいただき、別居前の準備と弁護士への相談の重要性をご理解いただけたかと思います。しかし、一人でこれら全てを進めるのは、精神的にも時間的にも大変なご負担でしょう。だからこそ、私たち専門家を頼ってください。
私たち平井・柏﨑法律事務所(代表弁護士:平井 章悟、所属:福岡県弁護士会)は、JR小倉駅から徒歩5分の場所に事務所を構え、これまで北九州エリアの離婚・男女問題、特に別居に関するご相談について豊富な経験を有しております。
もしあなたが今、暗いトンネルの中にいるように感じているのなら、どうぞ私たちにご相談ください。
今すぐ具体的な行動を起こしたい方は、ぜひ当事務所の無料相談をご利用ください。
初回60分無料相談はこちらから
豊富な解決実績
当事務所は開設以来、一貫して離婚・男女問題に注力しており、北九州市及びその近郊(行橋市、中間市、直方市など)の案件について豊富な解決実績とノウハウを有しております。男性弁護士、女性弁護士がそれぞれ在籍しておりますので、ご希望に応じて対応することも可能です。
初回60分無料相談で疑問や不安を解消
「何から話せばいいかわからない」「こんなことを相談してもいいのだろうか」そんなご心配は一切不要です。当事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談を60分無料で承っております。
無料相談では、あなたのお話をじっくりお伺いした上で、
- 今後の見通し
- 今すぐ確保すべき証拠
- 弁護士に依頼した場合の費用
- あなたにとって最善の選択肢
などについて、具体的かつ分かりやすくご説明します。早期にご相談いただくことで、有利な証拠を確保できたり、相手の不合理な要求を未然に防いだりできる可能性が高まります。まずはお話をお聞かせいただくことで、あなたの不安や疑問を解消し、進むべき道を一緒に見つけさせてください。
別居前の法律相談に関するよくあるご質問(Q&A)
最後に、別居前の法律相談に関してよくいただくご質問にお答えします。なお、以下の回答は一般的なものであり、個別の事情によって結論が異なる場合があることをご了承ください。
Q. 相談したことが相手に知られることはありませんか?
A. ご安心ください。弁護士には厳格な守秘義務が課せられています(弁護士法第23条)。原則としてご相談内容や来所の事実はご本人の許可なく外部に開示されることはありません。当事務所では、プライバシーに最大限配慮した完全個室の相談室をご用意しておりますので、安心してご相談いただけます。
Q. まだ離婚を決めたわけではないのですが、相談してもよいですか?
A. もちろんです。離婚すべきかどうか迷っている段階にこそ、弁護士にご相談いただく価値があります。ご自身の状況を法的に整理し、もし離婚した場合のメリット・デメリット、今後の見通しなどを知ることで、冷静な判断ができるようになります。私たちは、関係修復の可能性も含め、あなたの本当のお気持ちに寄り添いながら、最善の道を一緒に考えます。
Q. 初回相談では、具体的に何を持っていけばよいですか?
A. 基本的には手ぶらでお越しいただいて全く問題ありません。もし可能であれば、以下のものをご準備いただけますと、より具体的で的確なアドバイスが可能になります。
- これまでの経緯を時系列でまとめた簡単なメモ
- 相手の収入がわかる資料(源泉徴収票など、あればで結構です)
- 証拠になりそうなもの(LINEのやり取り、写真、音声データなど、あればで結構です)
何よりも大切なのは、あなたが一歩を踏み出す勇気です。私たちはいつでも、あなたの味方です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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職場不倫の慰謝料請求|証拠とリスクを北九州の弁護士が解説
職場不倫の慰謝料請求、ためらっていませんか?
「配偶者が職場の同僚と不倫している。慰謝料を請求したいけれど、会社に知られたら配偶者や相手のキャリアに傷がつくかもしれない…」
「普通の不倫と違って、職場だと証拠を集めるのが難しいのではないか…」
パートナーの裏切りによる精神的苦痛に加え、職場という特殊な環境が、あなたをさらに苦しめ、一歩を踏み出すことをためらわせているのではないでしょうか。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉に拠点を置き、これまで不倫慰謝料請求案件を多数取り扱っており、豊富な解決実績がございます。その中でも、職場不倫に関するご相談は後を絶ちません。「会社のPCでプライベートなLINEのやり取りを見てしまった」「怪しい出張の経費精算を見つけた」など、職場だからこそ発覚するケースも多く、そのお悩みがいかに深刻であるか、私たちは日々痛感しております。
この記事では、職場不倫の慰謝料請求に特有のリスク、有効な証拠とその集め方、そして会社に知られずに解決するための具体的なステップについて、弁護士として専門的な知見に基づいて解説します。あなたの不安を少しでも軽くし、次の一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。
職場不倫の慰謝料請求で問題となる3つのリスク
慰謝料請求を具体的に進める前に、まずは職場不倫特有のリスクを正しく理解しておくことが重要です。リスクを理解した上で適切な対策を講じることで、場合によっては会社に知られる可能性を低減できることがあります。ただし、その有効性は事案ごとの事情(証拠の種類、相手方の反応、職場環境等)に左右されるため、具体的な見通しや方法については個別相談の上で判断する必要があります。
リスク1:不倫の事実が会社に知られてしまう可能性
慰謝料を請求された不倫相手が、精神的に追い詰められたり、逆上したりして、社内で不倫の事実を自ら暴露してしまうケースは残念ながら存在します。また、弁護士から送付された書類を職場で受け取ってしまい、同僚に見られるといった事態も想定されます。
しかし、これらのリスクは無策で交渉を進めた場合に起こりうるものです。後述するように、弁護士が介入し、連絡方法や交渉の進め方を慎重に管理することで、会社に知られる可能性を大幅に低減させることが可能です。
リスク2:当事者が解雇・左遷などの懲戒処分を受ける可能性
「不倫が会社にバレたら解雇される」と心配される方は非常に多いですが、これは法的には必ずしも正しくありません。
もっとも、懲戒処分が有効となるケースも存在します。例えば、
- 役員や上司が、その地位を利用して部下と不倫関係になった場合
- 勤務時間中に、会社の施設(会議室など)で不貞行為に及んでいた場合
- 不倫関係のもつれから、他の従業員を巻き込むような大きなトラブルに発展し、職場の風紀や秩序を著しく乱した場合
上記のように、企業の秩序維持に直接的な影響を与えたと判断される場合には、譴責、減給、降格、そして最も重い懲戒解雇といった処分が下される可能性もゼロではありません。
リスク3:職場での人間関係が悪化し、居づらくなる可能性
法的な処分とは別に、事実上のリスクとして人間関係の悪化が挙げられます。万が一、不倫の事実が噂として社内に広まってしまった場合、当事者たちは周囲からの信頼を失い、職場で孤立してしまう可能性があります。その結果、自主的な退職に追い込まれるケースも少なくありません。
こうした法的なリスクと事実上のリスクを総合的に考慮した上で、慰謝料請求という手段を取るべきか、あるいは夫婦間での解決策(夫婦間での解決など)を模索すべきか判断するための材料を提供します。

職場不倫の慰謝料請求で有効な証拠と集め方の注意点
慰謝料を請求するためには、配偶者と不倫相手との間に「不貞行為(肉体関係)」があったことを示す証拠が不可欠です。職場不倫においては、特有の状況を活かした証拠収集が鍵となります。
肉体関係を推認させる客観的証拠
最も強力な証拠は、二人がラブホテルに出入りする写真や動画です。しかし、これを撮影することは現実的に難しい場合が多いでしょう。その場合に有効となるのが、以下のような客観的な証拠です。
- 出張先での証拠:同じホテルの部屋に宿泊したことが分かる予約確認メール、領収書など。
- GPSの記録:配偶者の社用車や自家用車に搭載されたGPSの移動履歴で、特定の場所(ホテルや相手の自宅)に長時間滞在している記録。
- クレジットカードの利用明細:ラブホテルやシティホテルの利用履歴。
これらの証拠は、単体では弱くても、複数組み合わせることで不貞行為の有力な推認材料となります。
親密な関係を示す状況証拠
直接的な証拠がない場合でも、親密な関係を示す状況証拠を積み重ねることで、不貞行為を立証できる可能性があります。職場不倫では、以下のような証拠が集めやすい傾向にあります。
- メッセージのやり取り:会社のPCや個人のスマートフォンに残された、肉体関係があったことをうかがわせるLINE、SNS、メールのやり取り。単に「好き」といった内容だけでなく、「昨日は楽しかったね」「次はいつ会える?」など、具体的な関係性を推測させるものが重要です。
- 勤怠記録:二人同時に不自然な時間外労働や休日出勤をしている記録。
- 同僚からの証言:「二人が頻繁に二人きりで食事に行っていた」「出張先で同じ部屋に泊まったと聞いた」といった具体的な証言。ただし、協力してもらうのは難しい場合も多く、慎重なアプローチが必要です。
- 写真や動画:二人で旅行に行ったり、デートしたりしている様子がわかるもの。
私たち弁護士は、ご相談者様がお持ちの断片的な情報から、法的にどのような証拠が有効となりうるか、専門的な視点でアドバイスいたします。「こんなものは証拠にならないだろう」とご自身で判断せず、まずは一度お見せいただければと思います。
証拠集めでやってはいけない違法行為
証拠を集めたい一心で、法を犯してしまうと、逆にこちらが不利な立場に立たされる危険性があります。以下の行為は絶対に行わないでください。
- 不正アクセス:相手のIDやパスワードを無断で使い、メールやSNSにログインする行為(不正アクセス禁止法違反)。
- スパイウェアの設置:相手のスマートフォンに、遠隔操作や盗聴ができるアプリを無断でインストールする行為。
- 住居侵入:別居中の配偶者や不倫相手の自宅に無断で立ち入る行為(住居侵入罪)。
- 会社のサーバーへの不正アクセス:会社のサーバーにアクセス権限がないにもかかわらず侵入し、メールなどを閲覧する行為。
これらの違法な手段で得た証拠は、裁判で証拠能力が否定される可能性もあります。安全かつ合法的な方法で証拠を集めるためにも、行動を起こす前に専門家である弁護士にご相談ください。
会社にバレずに慰謝料請求を進めるための3ステップ
「慰謝料は請求したい。でも、会社にだけは絶対に知られたくない」。この切実なご要望に応えるため、私たち弁護士は細心の注意を払って手続きを進めます。ここでは、リスクを管理しながら慰謝料請求を進めるための具体的な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:事案に応じた最適な通知方法を選択する
慰謝料請求の第一歩として、請求の意思を記した書面(内容証明郵便)を送付することが一般的です。内容証明の差出人表示については、事案ごとにメリット・デメリットがあります。弁護士名で送付すると相手方への心理的効果や安全性が高まる一方で、職場に知られるリスクを懸念する事情がある場合は、まず本人名で穏当な書面を送る方法をとることもあります。どちらが適切かは事案ごとのリスク評価に基づくため、弁護士と相談の上で最適な方法を選択することが重要です。
ステップ2:連絡は個人の携帯電話やメールに限定する
交渉が始まったら、情報漏洩を防ぐための徹底した管理が不可欠です。すべての連絡は、相手の個人の携帯電話番号や私用のメールアドレスに限定します。勤務時間中に職場へ電話をかけたり、職場宛に書類を送付したりすることは避けるべきです。
弁護士に依頼いただければ、こうした連絡窓口の一元化と管理を徹底します。相手方に対しても「今後の連絡はすべて弁護士宛に、こちらの住所や電話番号へお願いします」と明確に指示することで、職場への連絡を確実に遮断し、情報が外部に漏れるリスクを最小限に抑えます。
ステップ3:示談書に「口外禁止条項」を必ず盛り込む
慰謝料の金額や支払方法について合意ができたら、その内容をまとめた「示談書」を作成します。示談書に口外禁止条項(秘密保持条項)や違約金を定めることは一般的です。ただし、条項の効力には限界があり、公序良俗や第三者の権利(例:犯罪の通報義務等)と抵触する部分は無効となる可能性があります。また、違約金が過度に高額だと無効となるおそれがあるため、条項の文言や金額は事案に応じて慎重に設計する必要があります。実効性のある内容にするためにも、専門家である弁護士にご相談ください。
専門家である弁護士が作成する示談書は、こうした将来的なリスクまで見据えた、あなたを守るための材料となります。もしお困りでしたら、初回60分無料相談はこちらをご利用ください。
職場不倫の慰謝料に関するよくあるご質問(FAQ)
ここでは、職場不倫の慰謝料請求に関して、ご相談者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. 職場不倫の慰謝料の相場はいくらですか?
不倫の慰謝料に法律で定められた明確な金額はありませんが、裁判上の相場はおおむね50万円~200万円の範囲に収まることが多いです。ただし、この金額は個別の事情によって大きく変動します。
主な変動要素としては、
- 婚姻期間の長さ(長いほど高額になる傾向)
- 不倫の期間や頻度(悪質性が高いと判断されると高額になる傾向)
- 不倫が原因で離婚に至ったか否か(離婚に至った場合の方が高額になる)
- 不倫発覚前の夫婦関係(すでに夫婦関係が破綻していたと判断されると、請求が認められないか、大幅に減額される)
- 未成年の子の有無
などがあります。特に、不倫関係が始まる前から夫婦関係が冷え切っており、家庭内別居状態にあったなど、「婚姻関係が破綻」していたと評価される場合は、慰謝料請求が困難になるケースもあります。ご自身のケースがどの程度認められる可能性があるか、安易に自己判断せず、弁護士にご相談ください。
Q2. 弁護士に依頼した場合の費用はどのくらいかかりますか?
弁護士費用は、一般的に「相談料」「着手金」「報酬金」などで構成されます。法律事務所によって料金体系は異なります。
当事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料で承っております。まずはお話をお伺いし、慰謝料請求の見通しやリスク、そして必要となる弁護士費用について、丁寧にご説明いたします。費用倒れになる可能性がある事案など、ご依頼いただくメリットが少ないと判断した場合には、その旨も正直にお伝えしますので、安心してご相談ください。
Q3. 不倫相手だけに慰謝料を請求することはできますか?
はい、可能です。
法律上、不倫(不貞行為)は、不倫をした配偶者と不倫相手の二人が共同で行う「共同不法行為」(民法第709条、第719条)とされています。これは、二人が連帯してあなたへの損害賠償責任を負うことを意味します。そのため、あなたは、
- 不倫相手にだけ全額を請求する
- 配偶者にだけ全額を請求する
- 両方に請求する(ただし、合計額が賠償額の上限)
という選択が可能です。今後も婚姻関係を継続する(離婚しない)場合は、家計が同じである配偶者への請求は意味が乏しいため、不倫相手にのみ請求するケースが一般的です。
職場不倫でお悩みなら、北九州の平井・柏﨑法律事務所へ
職場不倫の慰謝料請求は、会社バレや解雇のリスク、特有の証拠収集の難しさなど、通常の不倫問題とは異なる複雑な側面を持っています。一人で抱え込み、感情的に行動してしまうと、かえって状況を悪化させ、取り返しのつかない事態を招きかねません。
問題をこじらせる前に、そして重要な証拠が失われてしまう前に、できるだけ早い段階で専門家である弁護士に相談することが、最善の解決への近道です。
私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉を拠点に、これまで数多くの離婚・男女問題、特に不倫慰謝料請求の問題を解決してまいりました。あなたのデリケートな状況に最大限配慮し、会社に知られることなく慰謝料問題を解決できるよう、豊富な経験とノウハウを駆使して全力でサポートいたします。
初回のご相談は60分無料です。プライバシーに配慮した完全個室で、男性・女性いずれの弁護士もご指名いただけます。まずは勇気を出して、あなたのお悩みをお聞かせください。
※本記事で解説されている内容は、あくまで一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案における法的な見解や結果を保証するものではありません。具体的な法的アドバイスについては、必ず弁護士にご相談ください。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しているため、ご希望に応じて話しやすい弁護士が担当することも可能です。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。