不貞行為の慰謝料請求|請求できる条件とできないケースを弁護士が解説

不貞行為による慰謝料請求をお考えの方へ

「配偶者が不貞行為をしているかもしれない…」「もし事実なら、慰謝料を請求したいけれど、自分のケースで本当に請求できるのだろうか?」

パートナーの裏切りによって心に深い傷を負い、怒りや悲しみ、そして将来への不安で押しつぶされそうな気持ちでいらっしゃるかもしれません。慰謝料を請求するという選択肢を考え始めても、法的な知識がなければ、何から手をつけてよいのか、そもそも請求が認められるのかさえ分からず、途方に暮れてしまうのは当然のことです。

この記事では、離婚・男女問題に注力してきた私たち平井・柏﨑法律事務所の弁護士が、不貞行為の慰謝料請求が認められるための法的な条件や、逆に請求が難しくなるケースについて、専門家の立場から体系的に解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、以下の点が明確になります。

  • 慰謝料請求の前提となる「不貞行為」の法的な定義
  • 慰謝料請求に不可欠な3つの必須条件
  • 多くの方が疑問に思う「LINEのやり取り」がどこまで証拠として有効か
  • 不貞行為があっても慰謝料を請求できない具体的なケース

感情的に混乱している時だからこそ、冷静に法的な知識を整理し、ご自身の状況を客観的に見つめ直すことが、未来へ一歩踏み出すための第一歩となります。北九州市小倉で数多くの男女問題に向き合ってきた弁護士が、あなたの悩みに寄り添いながら、分かりやすくご説明します。

そもそも「不貞行為」とは?慰謝料請求の前提を理解する

慰謝料請求を検討する上で、まず理解すべきなのが「不貞行為」の法的な定義です。日常的に使われる「浮気」や「不倫」といった言葉と、法律上の「不貞行為」は、必ずしもイコールではありません。

一般的に「浮気」は、二人きりで食事に行く、手をつなぐなど、配偶者以外の人と親密な関係になることを幅広く指す言葉です。しかし、慰謝料請求が認められる法的な「不貞行為」とは、原則として「配偶者以外の者と自由な意思で肉体関係を持つこと」を指します。

たとえ二人きりで頻繁に会っていたり、LINEで「愛している」といったメッセージを送り合っていたりしても、肉体関係の存在が認められなければ、原則として不貞行為とは判断されず、慰謝料請求は困難になります。なぜなら、慰謝料請求は「平穏な婚姻生活を送る権利」という法的に保護された利益が侵害されたことに対する損害賠償請求であり、その最も重大な侵害が「肉体関係」であると考えられているからです。

まずはご自身の状況が、この法的な「不貞行為」に該当する可能性があるのかを冷静に考えることが、慰謝料請求のスタートラインとなります。

慰謝料請求が認められる3つの必須条件

不貞行為による慰謝料請求が裁判などで法的に認められるためには、以下の3つの条件をすべて満たし、請求する側がそれを証明する必要があります。一つずつ具体的に見ていきましょう。

①不貞行為(肉体関係)があったこと

最も重要かつ基本的な条件は、配偶者と不貞相手との間に肉体関係があったという事実です。先述の通り、単に親密な関係であったというだけでは不十分で、性交渉またはそれに準ずる行為の存在を客観的な証拠によって示す必要があります。

慰謝料を請求する側(被害を受けた配偶者)が、その事実を証明する責任(立証責任)を負います。相手が事実を認めない場合、どのような証拠が有効になるのかについては、後の章で詳しく解説します。

②相手に「故意・過失」があったこと

次に、不貞相手の「故意」または「過失」が問われます。これは、不貞相手が「あなたの配偶者が既婚者であると知っていた(故意)」、あるいは「少し注意すれば既婚者だと分かったはずだ(過失)」という状況を意味します。

例えば、不貞相手が「独身だと嘘をつかれていた」「結婚しているとは夢にも思わなかった」と主張し、それが客観的に見ても信じられる状況であった場合(例:職場でも独身で通しており、指輪もしていなかったなど)、故意・過失が認められず、慰謝料請求ができない可能性があります。

ただし、多くの場合、同じ職場である、SNSで家族の写真を見ていたなど、既婚者であることを知る機会は多いため、「知らなかった」という主張が簡単に認められるわけではありません。

③不貞行為によって権利が侵害されたこと

最後の条件は、不貞行為によってあなたの「平穏な婚姻共同生活を送る権利」が侵害されたことです。夫婦は、互いに協力し、貞操を守りながら平穏な結婚生活を送る権利と義務を持っています。不貞行為は、この権利を根本から破壊する行為(不法行為)とみなされ、精神的苦痛に対する損害賠償、すなわち慰謝料請求の根拠となります。

しかし、もし不貞行為が始まる前からすでに夫婦関係が冷え切り、修復不可能な状態にあった場合はどうでしょうか。その場合、そもそも保護されるべき「平穏な婚姻共同生活」が存在しなかったと判断され、権利侵害が認められないことがあります。これが、次の章で解説する「婚姻関係の破綻」の問題につながります。

【重要】LINEのやり取りはどこまで証拠になる?

不貞行為の証拠として、多くの方がまず思い浮かべるのがLINEなどのメッセージアプリのやり取りではないでしょうか。スマートフォンの普及により、LINEの履歴は不貞の証拠として提出されるケースが非常に増えています。しかし、その内容次第で証拠としての価値は大きく変わります。ここでは、弁護士としての実務経験に基づき、その境界線を具体的に解説します。

テーブルの上に置かれた2台のスマートフォン。LINEのやり取りが不貞行為の証拠になるかどうかの不確かさを表現している。

証拠として不十分なLINEの例

残念ながら、単に親密さを示すだけのやり取りは、不貞行為(肉体関係)を直接証明する証拠としては不十分と判断されることがほとんどです。

  • 「好きだよ」「愛してる」といった愛情表現の応酬
  • 「早く会いたいね」「次はいつ会える?」といったデートの約束
  • 二人で食事や飲みに行ったことが分かる会話
  • ハートマークなどの絵文字やスタンプの多用

これらの内容は、二人が恋愛感情を抱き、親密な関係にあったことを示すものではありますが、それだけでは「肉体関係があった」とまでは断定できません。裁判所は客観的な事実を重視するため、「友人として仲が良かっただけ」と言い逃れされる余地が残ってしまうのです。

証拠として有効性が高いLINEの例

一方で、以下のような内容は肉体関係を直接的、あるいは間接的に強く推認させるため、証拠として非常に有効です。

  • 性交渉があったことを直接示す言葉や、具体的な行為を思い起こさせる会話
    (例:「昨日は激しかったね」「あの体位が…」など)
  • ラブホテルへの出入りや宿泊をうかがわせるやり取り
    (例:「〇〇(ホテルの名前)に着いたよ」「次はいつ泊まれるかな?」など)
  • 避妊に関する会話や、妊娠を心配するような内容
  • 裸の写真や、性的な内容の画像の送受信

このようなやり取りがあれば、当事者が肉体関係を否定しても、客観的に見て性交渉があったと強く推認され、有力な証拠となります。

弁護士の視点:証拠の「推認力」が鍵

私たち弁護士が証拠を検討する際、「推認力(すいにんりょく)」という言葉をよく使います。これは、ある証拠が特定の事実(この場合は肉体関係)をどれだけ強く推測させるか、その力を指します。

「好き」というメッセージだけでは、肉体関係があったとまでは推認できません。しかし、「昨日のホテル、良かったね」というメッセージは、肉体関係があったことを非常に強く推認させます。裁判では、このように直接的な表現がなくとも、「社会通念上、この文脈であれば肉体関係があったと考えるのが自然だ」と判断されるかどうかが重要になります。

ご自身で判断に迷うメッセージでも、弁護士が見れば有効な証拠となる可能性は十分にあります。逆に、ご自身では決定的だと思っていても、法的には弱いと判断されることも少なくありません。証拠の評価は非常に専門的な領域ですので、安易に自己判断せず、専門家にご相談いただくことが重要です。

LINE以外の有効な証拠の例

LINEの履歴は有力な証拠になり得ますが、それだけに頼るのは危険です。相手がアカウントを削除したり、スマートフォンを初期化したりする可能性もあります。複数の証拠を組み合わせることで、立証の確実性は格段に高まります。

  • 写真・動画:ラブホテルに出入りする場面、部屋で裸で写っている写真など。
  • 音声データ:不貞行為を認める会話の録音。
  • クレジットカードの明細や領収書:ラブホテルや遠方の宿泊施設の利用履歴。
  • GPSの記録:ラブホテルや不貞相手の自宅などに長時間滞在した記録。
  • 手帳や日記:不貞行為に関する具体的な記述。
  • 探偵事務所の調査報告書:客観性と証拠能力が高く、非常に有効です。
  • 第三者の証言:不貞の事実を知る友人や知人の証言。

これらの証拠を複数組み合わせることで、言い逃れのできない強固な立証が可能になります。

不貞行為があっても慰謝料を請求できない4つのケース

不貞行為の事実があり、証拠も揃っているように見えても、慰謝料請求が認められない、あるいは大幅に減額されてしまうケースが存在します。ご自身の状況が当てはまらないか、慎重に確認してください。

ケース1:不貞行為以前から婚姻関係が破綻していた

不貞行為が始まるよりも前に、夫婦関係がすでに修復不可能なほど冷え切っていた(破綻していた)と判断される場合、慰謝料請求は認められません。例えば、長期間の別居、離婚調停中、家庭内別居で全く会話や交流がない、といった状況がこれにあたります。

これは、不貞行為によって保護されるべき「平穏な婚姻共同生活」が、その時点ですでに存在しなかったと考えられるためです(最高裁平成8年3月26日判決)。ただし、単なる夫婦喧嘩や一時的な不仲程度では「破綻」とは認められません。どの時点をもって破綻と判断するかは法的に難しい問題ですので、専門家の判断が必要です。

参考:夫の不倫相手に損害賠償請求できるか-婚姻関係破綻して …

ケース2:慰謝料請求の時効が成立している

慰謝料請求権には「消滅時効」という期間の制限があります。この期間を過ぎてしまうと、たとえ不貞の事実があっても請求する権利が失われてしまいます。時効には2つの起算点があります。

  1. 不貞の事実と不貞相手を知った時から3年
  2. 不貞行為があった時から20年

このどちらか早い方が到来した時点で、時効が成立します。例えば、5年前に不貞行為があったことを最近知った場合、知った時から3年以内であれば請求は可能です。しかし、21年前にあった不貞の事実を最近知った場合は、20年の時効が成立しているため請求できません。「いつ知ったか」が重要なポイントになります。

カレンダーと砂時計が置かれ、慰謝料請求の時効が迫っていることを象徴するイメージ画像。

ケース3:すでに十分な慰謝料を受け取っている

不貞行為は、不貞をした配偶者と不貞相手の二人による「共同不法行為」とされます。そのため、被害者であるあなたは、どちらか一方、あるいは両方に対して慰謝料を請求できます。

しかし、例えば不貞をした配偶者から、すでに十分な金額(裁判上の相場額など)の慰謝料を受け取っている場合、精神的苦痛に対する損害はすでに補われたとみなされ、重ねて不貞相手に請求することは原則としてできません。損害の二重取りは認められないためです。

ケース4:脅迫など自由な意思に基づかない肉体関係だった

慰謝料請求が認められるのは、不貞相手が「自由な意思」で肉体関係を持った場合に限られます。もし、あなたの配偶者が不貞相手を脅迫したり、暴行を加えたりして無理やり肉体関係を強要したようなケースでは、不貞相手に慰謝料を請求することはできません。

この場合、不貞相手は加害者ではなく、むしろ被害者となります。したがって、慰謝料請求の対象は、不法行為を行った配偶者のみとなります。

慰謝料請求でお悩みなら、まずは弁護士にご相談ください

ここまで見てきたように、不貞行為の慰謝料請求には、法的な条件の確認、証拠の有効性の判断、相手方との交渉など、多くの専門的な知識と経験が不可欠です。

「このLINEのやり取りは証拠になるだろうか?」
「私たちの夫婦関係は『破綻』にあたるのだろうか?」
「相手が事実を認めない場合、どうすればいい?」

このような疑問や不安を一人で抱え込み、精神的に追い詰められてしまう方も少なくありません。弁護士にご相談いただければ、あなたの状況を法的な観点から冷静に分析し、慰謝料請求が可能かどうかの見通しや、今後取るべき具体的なステップを的確にアドバイスすることができます。また、弁護士が代理人として交渉することで、ご自身の精神的な負担を大幅に軽減し、感情的な対立を避けながら、適切な解決を目指すことが可能になります。

当事務所は、開設以来、離婚・男女問題に一貫して注力し、北九州・小倉の地で関連案件を多数扱ってまいりました。一つの案件に対し原則として弁護士2名体制で迅速に対応し、男性・女性双方の弁護士が在籍しているため、ご相談者様のご希望に沿ったきめ細やかなサポートが可能です。交渉で話がまとまった際には、後々のトラブルを防ぐために法的に有効な弁護士が離婚協議書(離婚給付契約)を作成するメリットもございます。

配偶者の不貞行為でお悩みの方は、どうか一人で抱え込まず、私たちにご相談ください。あなたの心を少しでも軽くし、未来に向けて新たな一歩を踏み出すお手伝いをいたします。当事務所では、離婚・男女問題に関する初回のご相談は60分無料でお受けしております。まずはお気軽にお問い合わせください。

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