不倫慰謝料を払えないと差押えも?無視のリスクと分割交渉を北九州の弁護士が解説

【結論】不倫慰謝料を払えない…無視は最悪の選択です

不倫の事実が相手方の配偶者に知られ、高額な慰謝料を請求する書面が届く。手元にまとまったお金がなく、「とてもじゃないが払えない」と途方に暮れ、請求を放置してしまっている方も少なくないでしょう。しかし、請求を放置すると、事態がさらに悪化する可能性があります。

まず、あなたが直面している状況と、取るべき行動の結論を明確にお伝えします。

  • 請求を無視し続けると、最終的に訴訟を経て給与や預金が差し押さえられます。これは法的に認められた手続きであり、あなたの意思とは関係なく強制的に実行されます。
  • 「払えない」という現実は、終わりではなく交渉の出発点です。請求額が法的に妥当かを見極め、あなたの支払い能力に応じた分割払いを交渉することで、現実的な解決を目指すべきです。
  • 万が一、交渉でも解決できない場合の最終手段として、「債務整理」という法的な救済制度も存在します。

感情的になって相手と直接やり取りをしたり、あるいは恐怖心から問題を放置したりしても、状況は好転しません。冷静に、法的な手続きに則って対処することが、あなたの生活への影響を抑えるために重要です。不倫・不貞問題の全体像については、不倫・不貞・浮気の慰謝料請求をされた方へで体系的に解説していますので、併せてご参照ください。

慰謝料請求を無視し続けるとどうなる?給与差押えまでの流れ

「払えないのだから仕方ない」と請求を無視し続けると、事態は法的な段階へと移行し、最終的にはあなたの社会生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。請求者が弁護士に依頼した場合、以下の流れで手続きが進むのが一般的です。

ステップ1:内容証明郵便による最終通告

多くの場合、交渉の第一歩として、相手方の弁護士から内容証明郵便が送られてきます。これ自体に金銭の支払いを強制する力はありません。しかし、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明するものです。これを無視するということは、あなたが相手方の請求に対して真摯に対応する意思がないと判断され、次の法的手段である訴訟へと移行する強い動機を相手方に与えることになります。この段階で誠実に対応すれば、まだ交渉で解決できる余地は十分にあります。

ステップ2:裁判所からの訴状と敗訴判決

内容証明郵便を無視すると、相手方は裁判所に訴訟を提起する可能性が極めて高くなります。すると、あなたの元へ裁判所から「訴状」と「口頭弁論期日呼出状」が「特別送達」という特殊な郵便で届きます。

この呼出状を無視して指定された期日に出廷せず、また、反論を記載した「答弁書」も提出しない場合、法律上、あなたは相手方の主張(請求された慰謝料額など)をすべて認めたものとみなされます(これを「擬制自白」といいます)。その結果、相手方の請求どおりの金額の支払いを命じる判決が下されてしまうのです。裁判を無視すると、相手方の主張を争う機会を失い、請求どおりの判決が出る可能性が高くなります。

不倫慰謝料請求を無視した場合の末路を示すフローチャート。内容証明郵便の送達から敗訴判決、そして最終的な給与差押えまでの流れを3ステップで図解している。

ステップ3:給与・預金の差押え(強制執行)

判決が確定すると、それは「債務名義」という、強制執行を可能にする公的な文書となります。これに基づき、相手方は裁判所に強制執行の申立てを行います。その代表的なものが「給与差押え」です。

手続きが進むと、裁判所からあなたの勤務先へ「債権差押命令」という書類が送達されます。この命令を受け取った会社は、あなたの給与の一部を天引きし、あなたではなく直接相手方(債権者)に支払う法的な義務を負います。原則として、手取り給与の4分の1(手取り月額が44万円を超える場合は、33万円を超える部分)が、慰謝料の支払いが完了するまで毎月差し押さえられることになります。

この事実は、無視できない深刻な影響を及ぼします。裁判所からの書類は経理担当者などの目に触れるため、あなたが金銭トラブルを抱え、裁判で敗訴したという事実が社内に知られてしまいます。これにより、職場での信用や人間関係に影響が生じる可能性があります。払えないからと請求を無視した結果、最も避けたいはずの「職場への露見」という事態を自ら招いてしまうのです。

給与差押えの具体的な手続きやリスクについては、不倫慰謝料の給与差し押さえのリスクで詳しく解説しています。

参照:債権執行(債務名義に基づく差押え)|裁判所

「払えない」は交渉の始まり。分割払いの現実的な落としどころ

給与差押えという重大な事態を避けるためには、請求を無視するのではなく、相手方と誠実に交渉することが不可欠です。たとえ一括で支払えなくても、「分割であれば支払う意思がある」ことを示すことで、交渉のテーブルに着くことができます。請求者側も、時間と費用をかけて裁判や強制執行を行うよりは、着実な支払いが見込める和解を望むケースは少なくありません。

「分割で」と申し出ても、あまりに長期の分割払いは相手方の同意を得にくいのが実情です。慰謝料は精神的苦痛に対する賠償金であり、請求者側にも感情があります。

また、交渉を円滑に進めるためには、可能であればある程度の「頭金」を用意することをお勧めします。少額でも最初にまとまった金額を支払うことで、あなたの反省と支払いへの誠意を相手に示すことができ、分割払いの合意形成に繋がりやすくなります。

合意内容を「公正証書」に。その意味と注意点

分割払いの合意ができた場合、請求者側から、その合意内容を「公正証書」として作成することを求められることがあります。これは、公証役場で公証人が作成する公的な文書で、高い証明力を持ちます。

特に重要なのが「強制執行認諾文言」です。この文言付きの公正証書を作成しておけば、万が一あなたが分割金の支払いを怠った場合、相手方は裁判を起こすことなく、直ちにあなたの給与や財産を差し押さえる強制執行手続きに入ることができます。これは、分割払いを認める代わりに、支払いの確実性を担保したい請求者側の当然の要求といえます。

約束通り支払いを続けている限りは何も起こりませんが、滞納があると、合意内容によっては差押えに移行するリスクを負うということを十分に理解しておく必要があります。

どうしても支払えない場合の最終手段「債務整理」

請求額の減額交渉や長期の分割払いを検討しても、どうしても支払いの目処が立たないという場合も考えられます。そのような状況に追い込まれた方のための最終的な救済手段として、「債務整理」という法的な手続きが存在します。

自己破産・個人再生という選択肢

債務整理には、主に「自己破産」や「個人再生」といった手続きがあります。自己破産は、裁判所に支払不能であることを認めてもらい、税金などを除くほとんどの債務の支払義務を免除してもらう手続きです。個人再生は、裁判所の認可を得て大幅に減額された債務を、原則3年かけて分割で返済していく手続きです。

ただし、不倫慰謝料については注意が必要です。破産法上、「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」は、自己破産をしても支払い義務が免除されない「非免責債権」と定められています。すべての不倫慰謝料がこれに該当するわけではありませんが、事案の悪質性によっては免責が認められない可能性もあります。より詳しい情報は、不倫慰謝料と自己破産|免責されない例外とは?をご覧ください。

平井・柏﨑法律事務所(北九州市小倉北区)では、不倫慰謝料を請求されて支払いにお困りの方のご相談を初回60分まで無料でお受けしています。債務整理に関する詳しい情報は、当事務所の債務整理サイトをご覧ください。

慰謝料の金額自体を減額する交渉とは

支払い方法を検討すると同時に、そもそも請求されている金額が法的に妥当なのかを検証することも極めて重要です。相手方の請求額を鵜呑みにせず、冷静に減額の余地を探るべきです。

請求額は相手の希望額。まずは相場を知りましょう

最初に提示される慰謝料額は、法的な根拠に基づいた確定額ではなく、あくまで「相手方の希望額」です。感情的になって高額な請求がなされるケースも少なくありません。

裁判になった場合の不倫慰謝料の相場は、不倫が原因で夫婦が離婚に至った場合は100万〜300万円離婚しない場合は50万〜150万円程度が一つの目安となります。もちろん、婚姻期間の長さ、不貞行為の期間や頻度など、個別の事情によって金額は変動しますが、まずはこの相場から大きくかけ離れていないかを確認することが第一歩です。

請求額が相場を大幅に超えている場合や、その他に減額を主張できる事情がある場合には、支払い方法の交渉と並行して、金額自体の減額交渉を進めていくことになります。

不倫慰謝料を払えない方からよくあるご質問

ここでは、慰謝料を請求され、支払いに窮している方から実際に寄せられることの多いご質問にお答えします。

Q. 慰謝料300万円を請求されましたが貯金ゼロです。無視すれば時効になりますか?

【結論】
無視を続けて時効の完成を期待することは、極めて非現実的であり危険です。時効が完成する前に、給与を差し押さえられる可能性があります。

【理由】
不倫慰謝料の損害賠償請求権の時効は、原則として不倫の事実と加害者を知った時から3年です。しかし、相手方が裁判上の請求(訴訟提起など)を行えば、その時点で時効の進行はストップします(時効の完成猶予)。あなたが無視を続ければ、相手方が訴訟を起こし、判決を得る可能性があります。判決が確定すれば、時効期間は10年に延長されます。その上で、相手方はあなたの給与や財産を差し押さえてくるはずです。時効の成立を待つという対応は、現実的な選択肢とはいえない場合が多いとお考えください。

Q. 相手の弁護士から「一括で払えないなら裁判にする」と言われました。分割には応じてもらえないのでしょうか?

【結論】
それは交渉戦術の一つであり、必ずしも分割払いに一切応じないという意味ではありません。冷静に交渉の準備を進めるべきです。

【理由】
相手方の弁護士は、依頼者の利益を最大化する職責を負っているため、交渉の初期段階では最も有利な条件である「一括払い」を強く要求するのが通常です。しかし、弁護士は、裁判や強制執行には相応の時間と費用、手間がかかることも熟知しています。こちら側も弁護士を立て、支払い意思が真摯にあること、そして収入や資産状況といった客観的な資料を示しながら、現実的な分割案を提示すれば、相手方も交渉に応じる可能性は十分にあります。「裁判にする」という言葉は、あなたを精神的に揺さぶり、安易な譲歩を引き出すための交渉上の駆け引きであると捉え、慌てずに対処することが重要です。

北九州市で慰謝料を払えずお困りの方へ|まずは弁護士にご相談ください

不倫慰謝料を「払えない」からといって問題を放置しても、状況は悪化の一途をたどるだけです。時間が経つほど相手方の態度は硬化し、法的なリスクは日々増大していきます。

この問題を解決するための道は、弁護士を通じて相手方と冷静に交渉し、あなたの客観的な収入状況に基づいた、現実的な支払い計画を法的な形で合意することに尽きます。感情的な対立を避け、専門家が間に入ることで、双方にとって受け入れ可能な落としどころを見つけやすくなります。

私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉に事務所を構え、これまで数多くの男女問題に取り組んでまいりました。お手元にある請求書面や、あなたの家計の状況などを直接拝見しながら、減額交渉の可能性や、現実的な分割払いの計画など、具体的な解決策を一緒に検討させていただきます。

一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。当事務所では、初回60分の法律相談を無料でお受けしております。未来への第一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。

 

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