不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(3度にわたって妻に不貞(不倫)関係が発覚したにもかかわらず、約4年間不貞(不倫)関係を続け、別居に至った場合の慰謝料額

1 本事案の概要

 ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成19年7月31日判決です。

不貞(不倫)相手であるYは、夫であるAと約4年間にわたり不貞行為を重ね、その間3度にわたり妻であるXに不貞(不倫)関係が発覚していました。その結果、XA夫婦は別居に至りました。

そのため、Xは、Aの不貞(不倫)相手であるYに対して500万円の慰謝料を請求しました。なお、Xは、子どものことを考え、Aとは離婚していませんでした。

2 認容された慰謝料額

  150万円

3 算定にあたって考慮された事情

 ⑴ 増額事情

・YとAとは、遅くとも平成14年3月ころから平成18年4月ころまで不貞関係にあったのであり、夫婦及びBの3人の幸福な家庭生活を侵害され、それも3度にわたって、Aの背信を目の当たりにした

 ⑵ 減額事情

・Aは、妻であるX及び子があり、自ら、婚姻共同生活の平和と維持を遵守すべき義務がありながら、あえてこれを破り、被告と不貞関係を結んだものであり、Xの精神的損害につき直接的かつ重大な責任を負うべきものであること

・被告が9歳年上であるAに対し積極的に誘惑したとは考えにくいこと

4 弁護士からのコメント

 本事案において、Aの不貞(不倫)があったものの、判決時点において、XとAは離婚までには至っていませんでした。不倫や浮気(不貞)の事実はあるが、離婚しなかった場合の慰謝料額については、過去の裁判例などからすると50万円から100万円程度になることが多いです。
 そうすると、本事案における150万円という慰謝料額は、離婚しなかった場合の慰謝料額としては高額であるといえます。その理由としては、やはり3度にわたり不倫(不貞)が発覚しているにもかかわらず、約4年という長期間にわたり不倫(不貞)関係を続けたということを重く考慮したためであると考えられます。

 よって、本事案のような不貞(不倫)期間が長かったり、配偶者に不貞(不倫)が発覚したにもかかわらず不貞(不倫)関係を継続するといった事情は、一般的に慰謝料金額を増額させる事情といえるでしょう。

 

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0934823680 問い合わせバナー