社内不倫を会社に知らせるリスク|慰謝料と接触禁止条項について北九州の弁護士が解説

【結論】社内不倫で「会社に知らせる」は賢明な選択か

配偶者の社内不倫が発覚したとき、「相手の会社にすべてを暴露し、社会的制裁を与えたい」という激しい怒りや裏切られた感情に駆られるのは、無理もないことです。そのお気持ちは痛いほど理解できます。しかし、一時の感情に任せた行動は、かえってご自身の立場を危うくし、望むべき解決から遠ざけてしまう可能性があります。

この記事では、感情的な行動がもたらす法的なリスクを冷静に解説し、あなたの正当な権利を守り、実利を得るための賢明な解決策を、法律の専門家として提示します。

最初に、本記事の結論を簡潔にお伝えします。

  • 会社への直接通知は「名誉毀損」等のリスクが極めて高く、あなたが加害者になりかねません。
  • 不倫に対する慰謝料請求と、会社が下す懲戒処分は、法的に全く別の問題です。
  • 職場での再接触を防ぐ方法として、示談交渉における「接触禁止条項」を検討することが有効です。

なぜ、感情のままに行動してはならないのか。そして、具体的にどうすれば後悔のない解決に至るのか。これから詳しく解説していきます。このテーマの全体像については、職場不倫の慰謝料請求で体系的に解説しています。

「会社にバラしたい」その感情が招く3つの重大リスク

「相手の社会的地位を失墜させたい」という衝動が、いかに危険な結果を招くか。ここでは、会社へ不倫の事実を通知する行為が、法的に、そして慰謝料請求という目的達成の観点から、いかに不利益となるかを専門家の視点から冷静に解説します。

リスク1:名誉毀損・プライバシー侵害で「加害者」になる

「不倫は事実なのだから、それを伝えて何が悪いのか」という考えは、法的には通用しません。たとえ内容が事実であっても、個人の私生活上の秘密を正当な理由なく第三者(会社)に暴露する行為は、相手の社会的評価を低下させる名誉毀損罪(刑法230条)や、プライバシー権の侵害(民法709条)という不法行為に該当する可能性が極めて高いのです。

具体的には、不倫相手の同僚に言いふらすなど、不特定または多数の人に伝わる形で不倫の事実を広める行為は、名誉毀損にあたる可能性があります。また、会社に電話をかける、内容証明郵便を会社宛てに送付するなどの行為についても、正当な理由なく私生活上の事実を勤務先に知らせるものとして、プライバシー侵害等の民事上の責任を問われるリスクがあります。これらの行為は、あなたが受けた精神的苦痛を回復するための正当な手段とは到底認められません。その結果、本来は慰謝料を請求する立場であっても、逆に損害賠償を請求される側になるリスクがあります。こうした慰謝料の自己請求に伴うリスクは、慎重に検討する必要があります。

リスク2:慰謝料が減額・相殺され、逆に請求される可能性

会社への暴露行為は、あなたが請求できるはずの不貞慰謝料にも直接的な悪影響を及ぼします。もし相手方から名誉毀損などを理由に損害賠償を請求された場合、あなたが請求する不貞慰謝料と相殺される可能性があります。場合によっては、支払い額が逆転し、あなたが金銭を支払わなければならないという事態も実務上は起こり得ます。

さらに、裁判に発展した場合、会社への暴露という行為は裁判官に「過剰な私的制裁」と評価され、心証を著しく悪化させる要因となります。その結果、慰謝料の減額事由として考慮されるリスクも否定できません。感情的な行動が、最終的にご自身の経済的利益を損なうことにつながるのです。

リスク3:慰謝料の回収自体が困難になる本末転倒な結果

慰謝料を請求する最終的な目的は、あなたが受けた精神的苦痛に対して、金銭的な賠償を得ることのはずです。しかし、会社への暴露によって不倫相手が懲戒解雇されたり、自主退職に追い込まれたりした場合、どうなるでしょうか。相手は収入源を絶たれ、慰謝料の支払い能力そのものを失ってしまいます。

「社会的制裁」を優先した結果、最も重要な「金銭的賠償」を得られなくなるという、まさに本末転倒な結末を迎えることになりかねません。たとえ裁判で支払いを命じる判決を得たとしても、支払い能力のない相手からは事実上、回収が極めて困難になります。慰謝料の支払いがない場合、最終手段として給与を差し押さえる方法もありますが、その給与自体がなくなってしまっては意味がありません。

実務的な解決策:示談交渉で職場環境をコントロールする

前章で解説した通り、感情に任せた自力救済は、法的にも実務的にも大きな不利益を招く可能性があります。では、どうすれば安全かつ効果的に目的を達成できるのか。その答えは、弁護士を介した冷静な示談交渉にあります。特に社内不倫特有の問題である「職場での再接触」を防ぐための具体的な条項を交渉に盛り込むことで、あなたの望む未来を実現できる可能性が高まります。

接触禁止条項で「会社の外」での関係を断つ

示談交渉の大きなメリットの一つが、当事者間の合意内容を柔軟に設定できる点です。社内不倫の解決において極めて有効なのが、「業務上必要最小限の連絡を除き、電話、メール、SNSを含む一切の私的な連絡や接触を禁じる」といった内容の「接触禁止条項」を示談書に盛り込むことです。

さらに、この条項に違反した場合に高額な違約金を支払う旨を定めることで、極めて高い再発防止効果が期待できます。これにより、「会社にバラす」という危険な手段に頼ることなく、合意に基づいて相手の行動を一定程度制限し、私的な関係の再開を防ぐ効果が期待できます。より具体的な手順については、示談後の接触禁止と違約金をご覧ください。

退職に関する条項で「会社の中」での接点を断つ

「どうしても相手に会社を辞めてほしい」というお気持ちも、当然あるでしょう。法的に相手の退職を強制することはできません。しかし、示談交渉のテーブルで、慰謝料の支払額を一部減額することなどを条件に、相手方が「自主的に退職する」ことを合意事項として示談書に盛り込むというアプローチは可能です。

社内不倫の案件は、出張記録や社内メールなどから証拠を確保しやすい側面がある一方、関係が解消された後も職場で顔を合わせ続けなければならないため、精神的苦痛が継続しやすいという実務の現実があります。会社への直接的な暴露は、先述の通り名誉毀損やプライバシー侵害にあたり、被害者が逆に加害者として損害賠償を請求されるリスクが伴います。また、会社が下す社内処分(配置転換や懲戒など)は、あくまで会社と従業員間の問題であり、慰謝料請求とは法的に別次元の話です。だからこそ、「会社にバラす」という違法な自力救済に頼るのではなく、示談交渉の中で「接触禁止条項」や、相手の合意を前提とした「退職条項」を戦略的に組み込むことが、最も現実的かつ安全な解決策と言えるのです。私たちは「必ず退職させられる」といった成果を保証することはできませんが、法的なルールに則った誠実な見通しを提示し、最善の解決を目指します。

平井・柏﨑法律事務所(北九州市小倉北区)では、職場の不倫を巡る慰謝料のご相談を初回60分まで無料でお受けしています。

より詳しい手順については、職場不倫相手への退職要求をご覧ください。

職場不倫の慰謝料相場と知っておくべき関連知識

職場不倫の慰謝料請求を進めるにあたり、基本的な知識を押さえておくことは重要です。慰謝料の金額は個別の事情によって変動しますが、裁判上の相場観としては、以下の通りです。

  • 不倫が原因で離婚に至った場合:100万〜300万円
  • 離婚はしないが、不倫相手に請求する場合:50万〜150万円

この金額はあくまで目安であり、婚姻期間の長さ、不倫の態様や期間などによって増減します。

また、社内不倫に関連して、不倫した配偶者と不倫相手の間で慰謝料の負担割合を調整する「求償権」の問題や、当事者間で交わした「誓約書」の法的な効力、そして不倫相手が公務員であった場合の懲戒処分など、知っておくべき論点は多岐にわたります。これらのテーマについては、それぞれ専門の記事で詳しく解説していますので、ご自身の状況に合わせてご参照ください。

社内不倫と会社への通知に関するFAQ

ここでは、社内不倫と会社への通知に関して、多くの方が抱かれる疑問についてQ&A形式でお答えします。

Q. 不倫相手の会社に電話をして「社員が不倫している」と伝えるのは違法ですか?

【結論】違法行為(名誉毀損や業務妨害)に問われる可能性が極めて高いです。

【法的理由】個人的な不法行為の事実を、正当な理由なく第三者である勤務先に暴露する行為は、相手の社会的評価を低下させる名誉毀損にあたり、法的に許容されません。結果として、慰謝料を請求する側が、逆に相手から損害賠償を請求される重大なリスクを負うことになります。

Q. 社内不倫がバレて慰謝料を請求されています。会社をクビになりますか?

【結論】私生活上の不貞行為のみを理由に、直ちに会社から解雇される可能性は一般的に低いです。

【法的理由】ただし、会社のPCを私的に利用して不貞行為に及んでいた、勤務時間中に密会を重ねていた、職場の風紀を著しく乱したなどの事情があれば、就業規則に基づき懲戒処分の対象となり得ます。事態の拡大を防ぐためにも、早期に弁護士を介して相手方と示談交渉を進めることが重要です。万が一、不倫相手の配偶者から直接連絡が来た場合は、冷静に対応し、速やかに専門家へご相談ください。

北九州市で社内不倫にお悩みなら、冷静な初動が重要です

社内不倫の事案では、感情的な行動がご自身にとって不利な結果につながりやすく、慎重な対応が必要です。怒りや悲しみに任せて行動するのではなく、法理に基づいた冷静な示談交渉こそが、あなたの利益を守る最善の道と言えます。

特に、職場での接触が続くという特有の問題を解決するためには、専門的な知見が不可欠です。私たち平井・柏﨑法律事務所は、北九州市小倉に拠点を置き、このような複雑な男女問題に数多く向き合ってまいりました。まずは直接お会いして事実関係を丁寧に整理し、接触禁止条項を含む最適な解決策を一緒に考えることが、後悔のない未来への第一歩です。一人で抱え込まず、まずは初回60分無料の法律相談をご利用ください。適切な慰謝料請求の手続きについても、丁寧にご説明いたします。

 

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