Archive for the ‘慰謝料’ Category
不倫慰謝料が高額になるケースとは?増額・減額の要因を解説
不倫慰謝料の相場と「高額」の基準
配偶者の不倫が発覚したとき、心に負った深い傷に対して、どれくらいの慰謝料が認められるのか、多くの方が疑問に思われることでしょう。慰謝料の金額は法律で一律に決まっているわけではなく、個別の事情によって大きく変動します。まずは、裁判実務における一般的な相場と、「高額」と判断される基準について知ることで、ご自身の状況を冷静に見つめる第一歩としましょう。
離婚の有無で変わる慰謝料の基本的な相場
不倫慰謝料の金額を左右する最も大きな要因は、不倫が原因で婚姻関係がどうなったかという点です。平穏な家庭生活がどの程度壊されてしまったかによって、精神的苦痛の大きさが判断されるためです。
- 離婚に至った場合:100万円~300万円程度
不倫によって夫婦関係が完全に破綻し、離婚せざるを得なくなったケースです。婚姻生活を続けるという選択肢を奪われた精神的苦痛は最も大きいと判断され、慰謝料は高額になる傾向があります。 - 離婚はしないが別居した場合:100万円~150万円程度
離婚には至らないものの、不倫が原因で夫婦が別居状態になったケースです。婚姻関係が破綻に近い状態にあると評価され、離婚した場合に次いで高額になる可能性があります。 - 離婚も別居もせず、婚姻関係を継続する場合:50万円~100万円程度
夫婦関係を再構築することを選んだケースです。婚姻関係が破綻するまでには至らなかったと判断されるため、慰謝料の額は比較的低くなる傾向にあります。
これらの金額はあくまで目安です。後述するように、不倫の態様や期間など、様々な事情が考慮されて最終的な金額が決まります。
裁判で「高額」と判断される慰謝料の目安とは
一般的に、裁判所が認める慰謝料額が300万円を超えると、「高額」なケースと評価されることが多いです。テレビドラマのように「慰謝料1000万円」といった請求を目にすることがありますが、実際に裁判でそのような金額が認められるのは、極めて稀なケースに限られます。
例えば、不倫相手を妊娠・中絶させた、長期間にわたり家庭を顧みず不倫相手と生活していたなど、極めて悪質で反社会性の高い事情が重なった場合に、500万円を超えるような高額な慰謝料が認められる可能性が出てきます。
大切なのは、感情的に高額な請求をするのではなく、ご自身のケースではどのような事情が慰謝料額に影響するのかを、法的な観点から冷静に分析することです。

慰謝料が高額になる9つの増額要因
それでは、具体的にどのような事情があれば、慰謝料は相場よりも高額になるのでしょうか。ここでは、裁判で増額の要因として考慮される9つのポイントを、実際の判例とともに解説します。ご自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。
1. 不貞行為の期間が長く、回数が多い
不貞行為の期間が長く、その回数が多いことは、精神的苦痛の大きさを裏付ける重要な要素です。一度きりの過ちではなく、長期間にわたって裏切り行為が繰り返されていたという事実は、被害者の心を深く傷つけます。例えば、「数年間にわたり、月に数回の頻度で肉体関係が継続していた」といったケースでは、行為の常習性や悪質性が高いと判断され、慰謝料が増額される傾向にあります。
2. 不貞行為が悪質・反社会的である
不貞行為の態様そのものが悪質であったり、社会的な常識を逸脱していたりする場合、慰謝料は大幅に増額される可能性があります。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 夫婦の自宅(特に寝室)で不貞行為に及んだ
- 不倫相手を妊娠させ、中絶させた
- 特殊な性的関係を強要した
- 不倫関係を周囲に吹聴するなど、名誉を傷つける行為があった
これらの行為は、被害者の尊厳を著しく踏みにじるものであり、裁判所も強い非難に値すると判断します。
3. 不倫が原因で離婚・別居に至った
前述の通り、不倫によって平穏な婚姻生活が破壊され、離婚や別居という最も重大な結果を招いた場合、慰謝料は最も高額になります。長年連れ添った配偶者との生活基盤を根底から覆された精神的苦痛は、計り知れないものと評価されるためです。
4. 婚姻期間が長い
結婚してから不倫が発覚するまでの期間が長いほど、慰謝料は増額される傾向にあります。例えば、結婚20年、30年の夫婦の場合、長年にわたって共に築き上げてきた信頼関係、家族の歴史、生活のすべてが裏切られることになります。その精神的ダメージは、結婚して間もない夫婦とは比べものにならないほど大きいと判断されるのです。
5. 未成熟の子どもがいる
まだ親の保護が必要な未成熟の子ども(一般的に未成年者)がいる家庭での不倫は、慰謝料の増額事由となります。不倫によって家庭環境が悪化し、子どもたちの健全な成長に悪影響を及ぼす可能性が高いからです。特に、不倫が原因で離婚し、片親での子育てを余儀なくされることになった親の精神的負担は非常に大きいと判断されます。
6. 被害者が精神疾患を患った
配偶者の不倫という強い精神的ショックが原因で、うつ病や適応障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などを発症してしまった場合、それは客観的な損害として慰謝料の増額に繋がります。この場合、医師の診断書が不倫と精神疾患との因果関係を証明する重要な証拠となります。
7. 加害者の社会的地位が高い・収入が多い
慰謝料には、被害者の精神的苦痛を慰めるという側面に加え、加害者に対する「制裁」という意味合いも含まれます。そのため、不倫をした配偶者や不倫相手の社会的地位が高かったり、収入や資産が多かったりする場合、その支払い能力に応じて慰謝料が増額されることがあります。ただし、支払い能力だけで金額が決まるわけではなく、あくまで他の要因と総合的に判断されます。
8. 加害者に反省の色が見られない
不倫が発覚した後も、謝罪の言葉一つなく開き直ったり、嘘をつき続けたり、あるいは不倫関係を継続したりするような不誠実な態度は、被害者の心をさらに傷つけます。このような態度は、反省の念がないとして裁判官の心証を著しく悪化させ、慰謝料の増額事由として明確に考慮されることがあります。
9. その他、特段の事情があるケース
これまでにご紹介した典型的な要因以外にも、個別の事案における特殊な事情が慰謝料額に大きな影響を与えることがあります。
弁護士の視点:当事務所が経験した特殊な高額認容事例
当事務所で取り扱った事案の中には、一般的な不貞とは性質が異なる特殊な事情が認められ、通常より高額な賠償が認められたケースがあります(個別事案の詳細は依頼者のプライバシー保護のため公表しておりません)。
このように、一つひとつの事案には、教科書通りにはいかない、その方だけの深い苦しみや特殊な背景が存在します。私たちは、そうした声にならない思いを法的な主張として丁寧に汲み取り、法的に適切な賠償額の実現を目指します。
高額な慰謝料請求が減額されるケースとは?

一方で、高額な慰謝料を請求されたとしても、必ずしもその全額が認められるわけではありません。請求される側にも、慰謝料の減額を主張できる事情があるかもしれません。どのような場合に減額の可能性が出てくるのかを見ていきましょう。
不貞行為以前から婚姻関係が破綻していた場合
不貞行為が始まるよりも前に、夫婦関係がすでに修復不可能なほど冷え切っていた場合、慰謝料は大幅に減額されるか、認められないことさえあります。法律が保護するのは「平穏な婚姻共同生活」であり、それがすでに存在しないのであれば、不貞行為によって新たに侵害される利益もない、という考え方です。
例えば、長期間にわたる家庭内別居状態であったり、何年も性交渉がなかったり、離婚協議を具体的に進めていたりといった事情がこれにあたります。ただし、「夫婦喧嘩が絶えなかった」という程度では破綻とは認められにくく、客観的な証拠をもって「破綻」を立証する必要があります。
請求者側にも責任(有責性)がある場合
不貞行為に至った原因の一端が、請求者側にもあると判断される場合、その責任の度合いに応じて慰謝料が減額されることがあります。これを法律用語で「過失相殺」といいます。
例えば、請求者側が日常的にDVやモラルハラスメントを行っていた、正当な理由なく性交渉を拒否し続けていた、生活費を全く渡さなかったなどの事情があれば、それが不貞行為の引き金になったとして考慮される可能性があります。
不貞の程度が軽微である場合
不貞行為の期間がごく短かったり、回数が一度きりであったりするなど、行為の程度が軽微と判断される場合、精神的苦痛も比較的小さいと評価され、慰謝料は低額になる傾向があります。ただし、一度きりの関係であっても、それが計画的なものであったり、悪質な態様であったりすれば、必ずしも低額になるとは限りません。
高額な不倫慰謝料を請求するための方法と注意点
適正な、そして可能な限り高額な慰謝料を獲得するためには、感情的に相手を責めるだけでは不十分です。法的な手続きに沿って、戦略的に準備を進める必要があります。

【最重要】増額を裏付ける客観的な証拠を集める
高額な慰謝料請求の成否は、どれだけ質の高い証拠を集められるかにかかっていると言っても過言ではありません。証拠は、「不貞行為があったこと」を証明するだけでなく、「期間が長かったこと」や「態様が悪質だったこと」といった増額要因を裏付けるものでなければなりません。
<有効な証拠の例>
- 肉体関係があったことがわかるLINEやメールのやり取り
- ラブホテルに出入りする写真や動画
- 配偶者や不倫相手が不貞行為を認めた音声データや念書
- 探偵事務所(興信所)の調査報告書
- クレジットカードの利用明細やホテルの領収書
ただし、相手のスマートフォンに無断でスパイアプリを仕掛けるなど、違法な手段で証拠を収集すると、その証拠が裁判で使えなくなったり、逆に損害賠償を請求されたりするリスクもあるため注意が必要です。
内容証明郵便で慰謝料を請求する
証拠がある程度集まったら、交渉の第一歩として、弁護士名で「内容証明郵便」を送付することが有効です。内容証明郵便には、以下のような効果が期待できます。
- 請求の意思を明確に示す:慰謝料を請求するという本気の姿勢を相手に伝えます。
- 心理的プレッシャーを与える:弁護士の名前で送ることで、事の重大さを認識させ、交渉に応じさせる効果が高まります。
- 時効の完成を猶予させる:慰謝料請求権の時効(損害及び加害者を知った時から3年)の完成を一時的に止めることができます。
内容証明郵便は、請求内容や送達日時を証拠化できるため、時効の進行を抑えるための「催告」手段として用いられることがあります(民法150条)。ただし、内容証明自体が自動的に時効を停止・中断するわけではなく、催告後は6か月以内に訴訟等の法的手続きをとる必要があります。
交渉がまとまらない場合は訴訟(裁判)を提起する
当事者間での話し合いで慰謝料の金額や支払方法について合意ができない場合は、裁判所に訴訟を提起することになります。訴訟には、裁判官という第三者が法に基づいて公平な判断を下してくれるというメリットがあります。判決が出れば、相手が支払いに応じない場合でも、給料や財産を差し押さえるといった強制執行が可能になります。
一方で、裁判には時間や費用、そして精神的な負担がかかるというデメリットもあります。訴訟に踏み切るべきかどうかは、証拠の強さや相手の態度などを総合的に考慮して慎重に判断する必要がありますので、専門家である弁護士に相談することが不可欠です。
高額な不倫慰謝料でお悩みなら、まずは弁護士にご相談ください

ここまで見てきたように、不倫慰謝料の金額は、本当に様々な事情によって大きく変わります。請求する側も、される側も、ご自身のケースが法的にどのように評価されるのかを正確に把握しなければ、相手の言い分に振り回されたり、本来得られるはずの権利を逃してしまったりするかもしれません。
配偶者の裏切りに深く傷つき、怒りや不安で冷静な判断が難しい状況にあることと思います。そのようなときこそ、あなたの味方となり、法的な観点から冷静に状況を分析し、最善の解決策を一緒に考えてくれる専門家の力が必要です。
平井・柏﨑法律事務所は、これまで数多くの離婚・男女問題、特に不倫慰謝料請求の事案を解決に導いてまいりました。当事務所では、初回の法律相談は60分無料です(事前予約制。ご相談内容によっては有料となる場合がございますので、詳しくはお問い合わせください)。男性弁護士、女性弁護士が複数在籍しておりますので、「話しやすい同性の弁護士に相談したい」といったご希望にもお応えできます。
一人で抱え込まず、まずはあなたのその苦しい胸の内をお聞かせください。私たちが、あなたの未来への一歩を全力でサポートします。
お気軽にお問い合わせください。
初回60分無料相談はこちら

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(夫と相手方女性に性的関係があったかは明らではないが、相手方女性が夫と同居生活を続けていた場合における慰謝料額)
1 本事案の概要
ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成27年5月27日判決です。
女性Yは、Xの夫であるAとの交際を開始し、その後約5年間にわたり同居生活を続けていました。
これに対し、Yは、Aが性的不能であり、不貞行為が成立する余地はないと主張しました。
そこで、妻Xは、YがAと不貞(不倫)関係にあり、その結果夫婦関係が破綻したとして、Yに対して500万円の慰謝料を請求しました。
2 認容された慰謝料額
300万円
3 算定にあたって考慮された事情
⑴ 不法行為の成立について
Aが、全く性的不能であったか否かは疑わしいが、仮に、YとAとの間に、性的関係がなかったとし ても、Yが、Xと婚姻関係にあるAと同居生活を続けている以上、不法行為が成立し得ることは、当然である。
⑵ 増額事情
・XとAの婚姻期間が約15年であること
・X及びAが、それぞれ相手の連れ子と養子縁組をしていること
・XとAの自宅土地建物が、夫婦の共有となっており、取得あるいは新築の資金調達のために、Xが所有する不動産に抵当権が設定されるなど、XAは財産関係でも密接な関係にあること
・Aの会社の経営に、Xが深く関与していること
・YがAと別れることには否定的とみられること
⑶ 減額事情
・YA間の関係について、Yが、主導的立場であったという事情はみられないこと
4 弁護士からのコメント
本事案における特殊性としては、裁判所が、YとAの性的関係(肉体関係)の有無を認定することなく、YとAが長期間にわたり同居生活続けたことをもって不法行為の成立を認めた点にあります。
一般的には性的関係(肉体関係)が認められない場合には、不法行為が成立せず、慰謝料も発生しないことが多いです。しかし、婚姻関係にある者が他者と長期間にわたり同居生活を続ければ、婚姻関係が破綻に至ることは明らかですので、本事案における裁判所の判断は妥当なものと考えられます(なお、判決時点においてXとAは離婚していないようですが、裁判所は破綻したと認定しています。)。
また、不倫や浮気(不貞)により夫婦関係が破綻するに至った場合の慰謝料としては、150万円前後が基準となることが多い印象です。
そうすると、300万円という慰謝料額は、裁判所が性的関係(肉体関係)の有無を認定していないことを考慮すると、かなり高額といえます。その理由としては、XとAの婚姻関係に問題がなく、財産関係でも密接な関係にあったにもかかわらず、長期間にわたり同居生活を続けたという特殊事情を裁判所が重く見たということができます。
このように、本事案は、性的関係(肉体関係)が明確に認められなくとも、長期間にわたり同居生活を続けていた等の事情があれば、不法行為が成立し慰謝料が発生する可能性があることを示すものといえます。もっとも、慰謝料額が高額となっている点については、考慮要素としては挙げられていませんでしたが、Aが高額な年収(3500万円程度)を得ており、そのAとの婚姻関係が破綻したことも事実上考慮している可能性があります。そのため、300万円という慰謝料金額については一般化できるものではないと思料されますので注意が必要です。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(夫が自宅において妻と密会中の不貞相手と鉢合わせた場合の慰謝料額)
1 本事案の概要
ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成22年12月21日判決です。
不貞(不倫)相手であるYは、妻Aと約3年間にわたり不貞行為を重ね、その間に夫Xが自宅においてAと密会中のYと鉢合わせたこともありました。その結果、XA夫婦は別居に至り、Xは、Aの不貞(不倫)相手であるYに対して300万円の慰謝料を請求しました。
2 認容された慰謝料額
180万円
3 算定にあたって考慮された事情
⑴ 増額事情
・YがAと不貞行為に及んだことによって、AとXとの婚姻関係は破綻したこと
・平成18年5月ころから平成21年4月ころまでの約3年間という長期間にわたるものであること
・YとAは、平成19年ころ、夜にXとAの自宅で会っており、Aが、同所の浴室にてシャワーを浴びて いたところ、Xが帰宅してYと遭遇し、Yは、Xから直ちに出て行くように告げられて、同所を立ち去ったこと
⑵ 減額事情
・XとAとの間の婚姻関係には、性的交渉が少ないという問題があることについて夫婦間の共通認識があったこと
4 弁護士からのコメント
本事案においては、YとAの不倫(不貞)により、XA夫婦の婚姻関係は破綻するに至りました(なお、判決時点においてXとAは離婚していないようですが、裁判所は破綻したと認定しています。)。
不倫や浮気(不貞)により夫婦関係が破綻するに至った場合の慰謝料はとしては、150万円前後が基準となることが多い印象です。また、本件においては、XとAの夫婦関係には問題があったという減額事情がありました。
そうすると、180万円という慰謝料額は、相場と比べると高額であり、具体的な加算額は不明ではありますが、夫が自宅において妻と密会中の不倫(不貞)相手と鉢合わせたという特殊事情を裁判所が重く見たということができます。これは、不倫(不貞)相手と自宅で鉢合わせることによる精神的苦痛は甚大であると考えられることからすれば、相当な判断だと考えられます。
このように、自宅において配偶者と密会中の不倫(不貞)相手と鉢合わせたという事情は、慰謝料の増額事情になるといえるだけでなく、鉢合わせた際の事情(行為中であったか等)も影響を与えるものと考えられます。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(不貞行為以前から夫婦関係が相当程度冷却化、悪化していた場合の慰謝料額)
1 本事案の概要
ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成21年8月31日判決です。
夫Aは妻Xに対して、婚姻前に交際していた女性と生活するため離婚したいと言い出したことがありましたが、XとAは離婚しませんでした。その後、AとYが不貞関係を持ったことが発覚し、XA夫婦は離婚するに至りました。そのため、Xは、Aの不貞(不倫)相手であるYに対して慰謝料300万円の請求をしました。
2 認容された慰謝料額
60万円
3 算定にあたって考慮された事情
⑴ 増額事情
・特になし
⑵ 減額事情
・XとAの夫婦関係は、AとYが知り合う前である平成12年ころから冷却化しており、必ずしも円満、良好なものであったとはいえず、XとAが離婚するに至った主たる原因は、冷却化していたXとAの夫婦関係や家族関係にあったこと
・このような家族関係に悩んでいたAが、職場での勤務条件等の調整を契機にYに家族の問題を相談する等し、相談に乗っていたYがAと不貞関係を持つに至ったこと
・Yの不貞行為が、XA夫婦が離婚した主たる原因とまではいえないものの、他方で、Yとの不貞行為が離婚に至る要因の一つであり、契機となったこと
・AとYとの関係は一過性のものであって、現在、職場の上司としての関係を超える交際もなく、Aも、Yとそれ以上の関係を望んでいないこと
4 弁護士からのコメント
本事案において、Yとの不貞(不倫)があった後、XA夫婦は離婚しました。不倫や浮気(不貞)を理由に離婚に至った場合の慰謝料額については、過去の裁判例などからすると150万円前後になることが多いです。
そうすると、本事案における60万円という慰謝料額は、離婚した場合の慰謝料額としては低額であるとも考えられます。
この点、不倫や浮気(不貞)が原因で離婚するに至った場合に慰謝料額が上記のような金額になるのは、不貞(不倫)が「原因」で離婚にまで至ってしまったから、すなわち、精神的な苦痛がそれだけ大きいといえるからです。
しかし、本事案において、XとAの夫婦関係は、既に相当程度冷却化しており、Yの不貞行為は、離婚の要因の一つでしかないため、不倫や浮気(不貞)が原因で離婚する場合と比べて精神的苦痛は大きくないといえます。
裁判所は特にこの点を重視し、本事案における慰謝料額を認定したものと考えられます。もっとも、不倫や浮気(不貞)が離婚の直接的な原因となったのか、それとも要因の一つにすぎないのかといった判断については明確な基準があるわけではなく、事案ごとに判断していかなければならないものです。
そのため、このような点についてお悩みの方は、離婚・男女問題に注力する弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(3度にわたって妻に不貞(不倫)関係が発覚したにもかかわらず、約4年間不貞(不倫)関係を続け、別居に至った場合の慰謝料額
1 本事案の概要
ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成19年7月31日判決です。
不貞(不倫)相手であるYは、夫であるAと約4年間にわたり不貞行為を重ね、その間3度にわたり妻であるXに不貞(不倫)関係が発覚していました。その結果、XA夫婦は別居に至りました。
そのため、Xは、Aの不貞(不倫)相手であるYに対して500万円の慰謝料を請求しました。なお、Xは、子どものことを考え、Aとは離婚していませんでした。
2 認容された慰謝料額
150万円
3 算定にあたって考慮された事情
⑴ 増額事情
・YとAとは、遅くとも平成14年3月ころから平成18年4月ころまで不貞関係にあったのであり、夫婦及びBの3人の幸福な家庭生活を侵害され、それも3度にわたって、Aの背信を目の当たりにした
⑵ 減額事情
・Aは、妻であるX及び子があり、自ら、婚姻共同生活の平和と維持を遵守すべき義務がありながら、あえてこれを破り、被告と不貞関係を結んだものであり、Xの精神的損害につき直接的かつ重大な責任を負うべきものであること
・被告が9歳年上であるAに対し積極的に誘惑したとは考えにくいこと
4 弁護士からのコメント
本事案において、Aの不貞(不倫)があったものの、判決時点において、XとAは離婚までには至っていませんでした。不倫や浮気(不貞)の事実はあるが、離婚しなかった場合の慰謝料額については、過去の裁判例などからすると50万円から100万円程度になることが多いです。
そうすると、本事案における150万円という慰謝料額は、離婚しなかった場合の慰謝料額としては高額であるといえます。その理由としては、やはり3度にわたり不倫(不貞)が発覚しているにもかかわらず、約4年という長期間にわたり不倫(不貞)関係を続けたということを重く考慮したためであると考えられます。
よって、本事案のような不貞(不倫)期間が長かったり、配偶者に不貞(不倫)が発覚したにもかかわらず不貞(不倫)関係を継続するといった事情は、一般的に慰謝料金額を増額させる事情といえるでしょう。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(不貞相手が夫の子を2度妊娠し、2度とも中絶していた場合の慰謝料額)
1 本事案の概要
ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成24年6月19日判決です。
不貞(不倫)相手であるYは、夫であるAの子を2度妊娠し、2度とも中絶していました。YはAとの不貞行為以外にも、Aの妻であるXの自宅の固定電話やXの携帯電話等に対する無言電話等の執拗かつ悪質な嫌がらせ行為をしていました。
そのため、Xは、Aの不貞(不倫)相手であるYに対して400万円の慰謝料を請求しました。なお、本裁判中にXとAとの離婚が成立していました。
2 認容された慰謝料額
170万円
3 算定にあたって考慮された事情
⑴ 増額事情
・Yは、Aが結婚していことを認識しながら、Aの求めに応じて性的関係を持つに至ったこと
・YとAの不貞期間が約4年(平成18年7月から平成22年6月1日まで)に及ぶこと
・平成18年11月2日及び平成19年7月29日にAの子を中絶していること
・平成19年11月16日にYがAに暴行を受けた以降、Yは、Aに対して関係の終了を切り出したものの、Aがこれを受け入れなかったため、なお自らの意思でAとの関係を継続したものであることは否定できないこと
・不貞行為以外にも、Yは、平成21年以降、Xの自宅の固定電話やXの携帯電話等に対する無言電話、手袋の投げつけ行為その他の執拗かつ悪質な嫌がらせ行為をしたこと
・XがAとYとの間の不貞関係を認識するに及んで、XとAとの夫婦関係の破綻は決定的となったこと
⑵ 減額事情
・Yが、平成19年11月16日から平成22年6月1日までの間、Aとの間で性的関係を継続したのは、Aから、同関係を継続するよう懇願されたり脅迫的言辞を用いられたりしたためであるという面もあること
・Yは、Aから、勤務先への来訪、自宅周辺での待ち伏せ、携帯電話等への執拗な架電といった被害を受けており、精神的にも相当疲弊していたこと
・YのXに対する前記嫌がらせ行為は、Yに対して甘言を弄しながら一向にそれを実現しないAに対する強い苛立ちや、Xに対する嫉妬心の現れであること
4 弁護士からのコメント
不貞(不倫)相手が夫の子を2度妊娠し、2度とも中絶していただけでなく、妻に対して執拗かつ悪質な嫌がらせ行為をし、離婚にまで至らせたという増額事情がありながら、170万円という慰謝料額は、低い印象を受けます。
しかし、本事案は、不貞(不倫)関係に至った経緯等について、夫(A)に多大な責任があるという事情もあり、非常に特殊な事案であったことから、そのような事情が慰謝料金額に影響を与えたと考えられます。
よって、本事案のような特殊な事情がない不貞行為による慰謝料請求の場合、不貞(不倫)相手の妊娠や中絶、執拗な嫌がらせ等の事情は、一般的に慰謝料金額を増額させる事情といえるでしょう。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
不貞(不倫)慰謝料の裁判例の紹介(妻の里帰り出産中に夫が不貞を行った場合の慰謝料額)
1 本事案の概要
ご紹介する裁判例は、東京地方裁判所平成20年12月26日判決です。
原告である妻は、いわゆる里帰り出産のため実家に帰省していました。しかし、夫は、職場の同僚女性(以下「A」といいます)に対して、別居中で離婚予定であると告げ、その旨誤信したAと不貞行為に及びました。
そのため、妻は、夫の不貞(不倫)相手であるAに対して300万円の慰謝料を請求しました。なお、本裁判中に妻と夫との離婚は成立していませんでしたが、妻は、夫に対して離婚を求めており、実質的に婚姻関係が破綻している状態でした。
2 認容された慰謝料額
100万円
3 算定にあたって考慮された事情
⑴ 増額事情
・Aと夫との不貞行為が、原告と夫との婚姻関係破綻の原因なっていること
・Aと夫が、原告が子どもを出産して間もない時期に不貞行為に及んでいること
⑵ 減額事情
・Aは、原告と夫との婚姻関係が破綻しているものと認識し、夫との交際を開始したこと
・原告と夫との婚姻期間が約7か月と短いこと
・Aと原告との不貞期間が約3か月と短いこと
4 弁護士からのコメント
不貞行為の継続期間、婚姻期間の長さといった事情は、慰謝料金額を決める際によく考慮される事情であり、本事案においても、それぞれの期間が短いことが減額事情として考慮されています。
もっとも、このような減額事情はありますが、婚姻関係が破綻している事案としては100万円という慰謝料額は低い印象を受けます。
本事案がこのような慰謝料額となったのは、やはり不貞(不倫)相手が夫の言動により、別居中で離婚予定であると誤信したという特殊性があったからだと考えられます。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。