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【結論】財産分与の請求期限は5年に。ただし全員が対象ではない
離婚を急ぐあまり、財産分与の取り決めを十分にしないまま離婚届を提出し、後になって元配偶者に多額の財産があったと気づき後悔する。残念ながら、このようなご相談は実務上、決して少なくありません。
2026年4月1日に施行された改正民法により、2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与を家庭裁判所に請求できる期間は、離婚の時から5年となりました。ただし、2026年3月31日以前に離婚した場合の請求期間は、従前どおり離婚の時から2年です。
この改正は、離婚後に財産分与を検討する方にとって、請求期間を確認する重要な契機となります。しかし、誰もが無条件で請求できるようになるわけではありません。この記事では、離婚後の財産分与請求について、知っておくべき結論をまずお伝えします。
- 民法改正で請求期限が離婚後2年から5年に延長
- 2026年3月31日以前に離婚した人は、原則として従前どおり2年の請求期間が適用
- 注意点:「清算条項」や証拠の有無が請求の壁になる
ご自身の状況がどう当てはまるのか、冷静に読み進めていただければと思います。離婚に関する様々な問題については、離婚で揉めることで体系的に解説しています。
民法改正で請求期限が離婚後2年から5年に延長
2026年4月1日に施行された改正民法により、2026年4月1日以降に離婚した場合、財産分与を家庭裁判所に請求できる期間は、離婚の時から5年となりました。ただし、2026年3月31日以前に離婚した場合の請求期間は、従前どおり離婚の時から2年です。
すでに離婚した人も「経過措置」で対象になる可能性
今回の法改正では、2026年3月31日以前に離婚した場合の財産分与の請求期間については、従前どおり離婚の時から2年とされています。施行日時点で離婚から2年が経過していない場合でも、自動的に5年へ延長されるわけではないため注意が必要です。
注意点:「清算条項」や証拠の有無により請求が困難になる場合がある
ただし、請求期限が延長されたからといって、必ず財産を取り戻せるわけではありません。離婚時に交わした離婚協議書や公正証書に「今後一切の金銭請求をしない」といった趣旨の「清算条項」が含まれている場合、原則として追加の請求は困難です。また、相手に財産があることをこちらが証拠をもって証明できなければ、裁判所は分与を認めてくれません。期限の問題を満たしていても、これらの事情により請求が困難になる場合があります。
いつから?誰が対象?改正民法の施行日と「経過措置」のすべて
今回の財産分与に関するルール変更は、共同親権の改正点などを含む、令和6年(2024年)の家族法制全体の見直しの一環として行われました。ここでは、ご自身が5年延長の対象になるのかを正確に判断できるよう、施行日と経過措置のルールを具体的に解説します。

施行日は2026年4月1日|離婚時期で適用ルールが異なる
改正民法の施行日は、2026年(令和8年)4月1日です。この日を境に、適用されるルールが変わります。
- 2026年4月1日以降に離婚する方
原則として新しい法律が適用され、財産分与の請求期限は離婚時から5年となります。 - 2026年3月31日以前に離婚した方
財産分与の請求期間は、従前どおり離婚の時から2年です。
【重要】施行日前に離婚した方の経過措置をケース別に解説
すでに離婚されている方にとって、最も重要なのがこの経過措置です。ご自身の離婚日と施行日(2026年4月1日)を照らし合わせて、どちらに該当するかご確認ください。
ケース1:2026年3月31日以前に離婚した場合
この場合、請求期間は従前どおり離婚の時から2年です。
例えば、2024年10月2日に離婚した方は、原則として2026年10月1日までに家庭裁判所へ財産分与の申立てをする必要があります。
ケース2:2026年4月1日以降に離婚した場合
この場合、改正後の民法が適用され、財産分与の請求期間は離婚の時から5年です。
一方、2026年3月31日以前に離婚した方については、原則として従前どおり離婚の時から2年以内に申立てをする必要があります。
期限を守るには家庭裁判所への「調停申立て」が必要
注意すべきは、「請求」の意味です。財産分与の請求期限(除斥期間)は、相手に内容証明郵便を送ったり、電話で「財産を分けてほしい」と伝えたりするだけでは守られません。期限内に権利を保全するためには、家庭裁判所に対して「財産分与請求調停」または「審判」を申し立てる必要があります。
期限が迫っている状況で、相手との話し合いが長引くようであれば、まずは家庭裁判所に財産分与請求調停または審判を申し立てることが、権利を失わないために重要です。
「清算条項」による制約と離婚後の財産調査の難しさ
請求期限を満たしていても、検討すべき法的・事実上の要件は他にもあります。特に、離婚時に交わした合意の存在と、財産の証拠をいかに集めるかという問題は、実務上、極めて重要です。

離婚協議書の「清算条項」は追加請求を阻む強力な合意
離婚協議書や公正証書に、「本協議書に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった一文が入っていることがあります。これが「清算条項」です。
この条項は、単なる形式的な文言ではなく、法的には「これ以上お互いに金銭的な請求はしません」という強力な和解契約にあたります。そのため、清算条項を含む合意書に署名・押印している場合、原則として後から新たな財産が見つかったとしても、追加で財産分与を請求することはできません。
ただし、相手方が意図的に多額の財産を隠しており、その存在を知っていれば到底その条件では合意しなかった、と評価できるような極めて悪質なケースでは、例外的に請求が認められる余地はあります。しかし、その立証は容易ではありません。
離婚後の財産調査は極めて困難|証拠収集の現実
元配偶者の財産を正確に把握することは、離婚後には極めて困難になります。同居中であれば目にすることができたはずの給与明細、銀行からの郵便物、保険の契約書類などが一切手に入らなくなるからです。どの銀行に口座があるのか、どの保険会社と契約しているのかすら分からない状態では、財産を特定することは困難です。
今回の法改正では、財産開示の制度も整備されましたが、これも万能ではありません。ある程度、財産の所在を特定できていなければ活用が難しいのが実情です。具体的な調査手法については相手の財産を調べる方法で解説していますが、簡単なことではないとご理解ください。
平井・柏﨑法律事務所(北九州市小倉北区)では、離婚後の財産分与請求のご相談を初回60分まで無料でお受けしています。
見落としがちな財産と複雑化するケース
離婚から時間が経ってから「もらい損ねた」と気づきやすい財産には、いくつかの典型的なパターンがあります。また、婚姻期間が長い熟年離婚などでは、財産が複雑化し、把握がより一層難しくなる傾向があります。
弁護士として多くの家事事件を扱う中で感じるのは、離婚という精神的に大きな負担がかかる手続きの中で、多くの方が財産分与の問題を後回しにしてしまいがちだということです。しかし、財産分与は離婚後の生活設計に直結する極めて重要な問題です。今回の法改正は、そうした状況に置かれた方々にとって、改めてご自身の権利を見つめ直す機会となるかもしれません。
ただし、前述のとおり、請求には「経過措置」や「清算条項」といった法的な要件が伴います。「必ず取り戻せる」といった楽観的な見通しを持つのではなく、ご自身の状況が法的に請求可能な条件を満たしているのか、客観的に見極める冷静な視点が不可欠です。
将来の退職金も分与対象|計算方法と注意点
離婚後に発覚する代表的な財産が「退職金」です。すでに支払われた退職金はもちろん、まだ支払われていない将来の退職金も、婚姻期間に対応する部分は財産分与の対象となります。しかし、その評価額の計算や、相手が退職する前にどう請求するかなど、専門的な知識が必要となります。詳しくは退職金の財産分与のページで解説しています。
相続した遺産は対象外?「特有財産」の考え方
元配偶者から「これは親から相続した財産だから渡さない」と主張されるケースも少なくありません。婚姻中に得た財産であっても、親からの相続や贈与によって得た財産は、原則として分与対象外となる「特有財産」にあたります。ただし、その特有財産を元手に夫婦で協力して価値を維持・増加させた場合など、判断が分かれるケースも存在します。詳細は特有財産の考え方をご参照ください。
財産が複雑化しやすい熟年離婚と法改正の影響
婚姻期間が長い熟年離婚では、不動産、退職金、個人年金、株式など財産の種類が多岐にわたり、評価も複雑になります。財産の全体像を把握するだけでも相当な時間を要するため、今回の請求期間延長は、こうしたケースにおいて特に大きな意味を持つ可能性があります。熟年離婚の財産分与では、より慎重な対応が求められます。
よくあるご質問(FAQ)
法改正に関して、特にお問い合わせの多いご質問にお答えします。
Q. 離婚して3年経ちます。法改正で5年に延びたと聞いたので、今から元夫に財産分与を請求できますか?
【結論】原則として請求できません。
【法的理由】2026年3月31日以前に離婚した場合、財産分与の請求期間は従前どおり離婚の時から2年です。離婚から3年が経過している場合、原則として家庭裁判所に財産分与を申し立てることはできません。
Q. 離婚時に「お互いに一切の請求をしない」という書面にサインしました。後から夫の隠し口座が見つかっても請求は無理ですか?
【結論】事案によっては請求できる余地があります。
【法的理由】原則として、その書面にある「清算条項」によって追加の財産分与請求はできません。しかし、相手方が意図的に多額の財産を隠しており、その財産の存在を知っていれば到底その条件では合意しなかったと法的に評価されるような悪質なケースでは、例外的に合意(清算条項)の無効を主張し、再度の分与請求が認められる可能性があります。ただし、これを法的に立証するハードルは非常に高く、示談後の追加請求と同様に慎重な検討が必要です。弁護士との詳細な相談が不可欠となります。
北九州市で離婚後の財産分与にお悩みの方へ
離婚後の財産分与請求は、単に期限が延長されたというだけでなく、法的な立証という高いハードルを越えなければならない手続きです。安易な自己判断で行動を起こす前に、まずは弁護士に相談し、法的な見通しを確認することが重要です。
特に、離婚協議書の有効性や、残された証拠から何が立証できるのかといった点は、個別の事情によって結論が大きく異なります。
北九州市の当事務所では、平日の営業時間内にお越しいただき、お手元にある合意書や財産の資料を拝見しながら、法的な要件を満たしているか、請求の可能性があるのかを客観的に判断するお手伝いをしています。小倉駅からもアクセスしやすい場所にございますので、まずはお気軽にお問い合わせください。初回のご相談は60分無料です。

平井・柏﨑法律事務所は、北九州市を中心に福岡県内の離婚・男女問題に特化した法律事務所です。
財産分与や慰謝料請求、親権、養育費など、複雑な法律問題を数多く解決してきた豊富な実績とノウハウが強みです。
特に、ご相談者様のお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案することで、不安な気持ちを和らげ、未来へ踏み出すお手伝いをいたします。
また、複数の男女弁護士が在籍しています。
離婚や男女問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。
